恐怖の谷

アーサー・コナン・ドイル卿


挿絵


第一部 バールストンの惨劇

第一章 警告

「僕はこう思うんだが――」と、私は言った。

「そうしたまえ」と、シャーロック・ホームズが苛立たしげに口を挟んだ。

自分では、この世でも屈指の辛抱強い人間だと思っている。だが、その皮肉な遮り方には、さすがに腹が立った。「まったく、ホームズ」と、私は厳しい口調で言った。「君は時々、実に人を苛立たせるな。」

ホームズは自分の思索に没頭しきっていて、私の抗議にすぐ答えようとはしなかった。手に頭をもたせかけ、手つかずの朝食を前にしたまま、たった今、封筒から取り出した紙片を見つめている。それから封筒そのものを手に取り、光に透かし、表側と封の部分を念入りに調べた。

「ポーロックの筆跡だ」と、考え深げに言った。「これまで二度しか見たことはないが、まず間違いない。ギリシャ文字のイプシロンに似た e と、その上の独特な飾りが決め手だ。しかし、これがポーロックからなら、よほど重大な知らせに違いない。」

ホームズは私よりも、むしろ自分自身に語りかけていた。だが、その言葉に興味をそそられ、私の苛立ちは消えた。

「そのポーロックとは何者なんだ?」

私は尋ねた。

「ポーロックというのはね、ワトソン、偽名だ。単なる識別用の符号にすぎない。だが、その背後には、油断ならず、尻尾をつかませない人物がいる。以前の手紙で、本人もこれは本名ではないとはっきり認めたうえ、この大都会のうごめく何百万という人間のなかから、自分を探し出せるものならやってみろと挑んできた。ポーロックが重要なのは、本人ゆえではない。彼が接触している大人物ゆえだ。鮫に付き従う小魚、獅子に付き従う山犬を思い浮かべたまえ――恐るべきものの傍らにいる、取るに足りない存在なら何でもいい。ただし相手は、恐るべきだけではないぞ、ワトソン。邪悪なのだ――この上なく邪悪だ。だからこそ、僕の守備範囲に入ってくる。モリアーティ教授の話はしたことがあったね?」

「あの有名な科学者にして犯罪者だな。悪党の間では、ちょうど――」

「照れるじゃないか、ワトソン!」

ホームズが謙遜めかしてつぶやいた。

「ちょうど世間にはまったく知られていないのと同じくらい、有名だと言おうとしたんだ。」

「一本取られた! 見事な一撃だ!」ホームズは叫んだ。「君には思いがけず、ひねりの利いたユーモアの才が芽生えてきたようだね、ワトソン。今後は用心しなければならない。だが、モリアーティを犯罪者と呼べば、法律上は名誉毀損になる――そこにこそ、彼の栄光と驚異があるのだ! 史上最大の策士、あらゆる悪事の組織者、暗黒街を操る頭脳。その頭脳は、一国の運命さえ築きもすれば滅ぼしもしただろう――それがあの男だ! ところが世間の疑いからはあまりにも遠く、非難を受けることもなく、その統率と自己隠蔽はあまりにも見事だ。だから君が今口にした言葉だけで、彼は君を法廷に引きずり出し、傷つけられた名誉への慰謝料として、君の一年分の年金を奪い取って悠々と帰っていける。彼はあの名高い『小惑星の力学』の著者ではないか。純粋数学のあまりにも高遠な領域に達しているため、科学雑誌界にも批評できる人間が一人もいなかったといわれる本だ。そんな人物を中傷できるかね? 口汚い医師と、誹謗された教授――それぞれの役回りはそうなる! これこそ天才だよ、ワトソン。だが、僕が小物どもに倒されずに済めば、いずれ必ず我々の日が来る。」

「その場に立ち会えますように!」

私は心から叫んだ。「だが、今はポーロックの話をしていたんだろう。」

「ああ、そうだった――いわゆるポーロックは、巨大な環に連なる鎖の、少し離れたところにある一つの輪だ。ここだけの話、ポーロックはあまり丈夫な輪ではない。僕が調べたかぎり、その鎖にある唯一の弱点だ。」

「だが、鎖の強さは一番弱い輪の強さで決まる。」

「そのとおりだ、ワトソン! だからこそポーロックはきわめて重要なのだ。芽生えたばかりの正義感に突き動かされ、さらに時折、十ポンド紙幣を回りくどい方法で送りつけるという適切な刺激にも励まされて、彼は一、二度、価値ある情報を事前に知らせてくれた。犯罪を報復するのではなく、先回りして防ぐという、最上の価値を持つ情報だ。暗号さえ分かれば、今回の知らせも、今言ったような性質のものだと判明するに違いない。」

ホームズは再び、使っていない皿の上に紙を広げた。私は立ち上がり、その肩越しに、奇妙な文字列をのぞき込んだ。そこには、こう記されていた。

534 C2 13 127 36 31 4 17 21 41 ダグラス 109 293 5 37 バールストン 26 バールストン 9 47 171

「どう見る、ホームズ?」

「秘密の情報を伝えようとしているのは明白だ。」

「だが、解読鍵のない暗号文に何の意味がある?」

「この場合は、何の意味もない。」

「なぜ『この場合は』と言うんだ?」

「暗号には、僕が新聞の身の上相談欄に載る怪文書を読むのと同じくらい簡単に解けるものがいくらでもあるからだ。そういう幼稚な仕掛けは、頭を疲れさせずに楽しませてくれる。しかし、これは違う。ある本の一ページに並ぶ単語を参照しているのは明らかだ。何ページの、何という本か分からないかぎり、僕には手も足も出ない。」

「だが、なぜ『ダグラス』と『バールストン』だけは書いてある?」

「問題のページに、その二語がなかったからに決まっている。」

「では、なぜ本の名を書かなかった?」

「君が生まれつき備えている明敏さ、友人たちを楽しませてやまない天性の抜け目なさがあれば、暗号表と暗号文を同じ封筒に入れたりはしないだろう、ワトソン。途中で奪われれば一巻の終わりだ。別々に送れば、両方が同時に敵の手に落ちないかぎり害はない。二度目の郵便はもう届いてよい頃だ。説明を書いた追加の手紙か、さらにありそうなのは、この数字が参照している本そのものが届かなければ驚きだね。」

その数分後、給仕のビリーが、まさに我々の待っていた手紙を持って現れ、ホームズの予想は的中した。

「同じ筆跡だ」と、ホームズは封を切りながら言った。「しかも実際に署名までしてある」と、書状を広げ、得意げな声で付け加えた。「さあ、進展してきたぞ、ワトソン。」

しかし、内容に目を通すと、その額には雲がかかった。

「おやおや、これはひどく落胆させられる! どうやら、我々の期待はすべて水の泡だ、ワトソン。ポーロックの身に何も起こらなければよいのだが。

「『ホームズ様』とある。『この件からは手を引きます。あまりにも
危険です――あの方は私を疑っています。疑われているのが分かります。
暗号の鍵をお送りするつもりで、この封筒に宛名まで書き終えた直後、
あの方が何の前触れもなく私のところへ来ました。どうにか隠すことは
できました。もし見つかっていたら、私はただでは済まなかったでしょう。
しかし、あの方の目には疑いがありました。暗号文は焼き捨ててください。
もはや、あなたのお役には立ちません。

「『フレッド・ポーロック』。」

ホームズはしばらく、指の間で手紙をひねりながら、眉をひそめて火を見つめていた。

「結局のところ」と、やがて口を開いた。「何もないのかもしれない。罪の意識がそう思わせただけかもしれん。自分が裏切り者だと知っているからこそ、相手の目に非難を読み取ったのだろう。」

「相手というのは、モリアーティ教授だろう?」

「そのほかに誰がいる! あの一味が『あの方』と言えば、誰のことかは決まっている。彼ら全員にとって、絶対的な『あの方』は一人しかいない。」

「だが、教授に何ができる?」

「ふむ! それは大きな問いだ。ヨーロッパ随一の頭脳を敵に回し、その背後に暗黒の力が総動員されているとなれば、可能性は無限にある。ともかく、友人ポーロックが正気を失うほど怯えているのは明らかだ――この便箋の筆跡と、封筒の宛名を見比べてみたまえ。封筒のほうは、不吉な訪問の前に書いたと本人が言っている。一方は明瞭でしっかりしている。もう一方は、ほとんど判読できない。」

「そもそも、なぜ手紙を書いたんだ? そのまま放っておけばよかったのに。」

「そうすれば、僕が彼の身を案じて何か調べ、かえって災いを招くかもしれないと恐れたのだろう。」

「なるほど」と、私は言った。「確かにそうだ。」

私は最初の暗号文を手に取り、眉を寄せて見つめていた。「この小さな紙切れに重大な秘密が隠されているかもしれないのに、人間の力では解けないと思うと、ひどく腹立たしいな。」

シャーロック・ホームズは手つかずの朝食を脇へ押しやり、最も深い思索に沈むときの相棒である、悪臭のするパイプに火をつけた。「果たしてそうかな!」椅子に深くもたれ、天井を見つめて言った。「君のマキャヴェリ顔負けの頭脳にも、見落とした点があるのかもしれない。純粋な理性の光に照らして、この問題を考えてみよう。この男が参照しているのは本だ。まず、そこを出発点とする。」

「ずいぶん曖昧な出発点だ。」

「では、絞り込めるか試してみよう。精神を集中させると、それほど難攻不落とも思えなくなってきた。この本について、どんな手がかりがある?」

「何もない。」

「いやいや、そこまで絶望的ではないだろう。暗号文は大きな数字、534から始まっているね? ひとまず、534は暗号が参照するページ番号だと仮定してみよう。すると、すでにこれは分厚い本だと分かる。確かな前進だ。この大きな本の性質について、ほかにどんな手がかりがある? 次の記号は C2 だ。どう解釈する、ワトソン?」

「第二章だろう、きっと。」

「それは考えにくいな、ワトソン。ページ数が示されているなら、章番号は必要ない。それに、534ページに来てまだ第二章だとすれば、第一章の長さは実に耐え難いものだったはずだ。」

「段!」

私は叫んだ。

「見事だ、ワトソン。今朝の君は冴えわたっている。これが段を意味しないなら、僕はよほど見当違いをしていることになる。さて、これで相当な厚さがあり、二段組みで印刷された本が見えてきた。しかも暗号文には二百九十三番目の単語まで指定されているのだから、各段はかなり長い。我々は、理性によって導き出せる限界まで来たのだろうか?」

「残念だが、そうらしい。」

「君は自分を過小評価しているぞ。もう一度きらめいてみたまえ、親愛なるワトソン――さらなるひらめきを! 珍しい本なら、彼はその本自体を僕に送ったはずだ。ところが計画を阻まれるまでは、この封筒で手がかりを送るつもりだった。手紙にもそう書いてある。つまり、その本は僕が自力で簡単に見つけられる、と彼は考えていたことになる。彼自身が持っていて、僕も持っていると思った。要するに、ワトソン、ごくありふれた本なのだ。」

「確かに、もっともらしい話だ。」

「こうして捜索範囲は、二段組みで印刷され、広く使われている大きな本にまで絞り込まれた。」

「聖書だ!」

私は勝ち誇って叫んだ。

「いいぞ、ワトソン、いいぞ! だが、失礼ながら、あと一歩だ! 僕自身へのお世辞として受け取るにしても、モリアーティ一味の手元に最も置かれていそうにない本を一冊挙げろと言われれば、聖書以上のものはなかなか思いつかない。それに聖書には版が多すぎて、二冊のページ割りが同じだとは期待できない。この本は明らかに規格が統一されている。彼の持つ534ページと、僕の持つ534ページが完全に一致すると確信できる本だ。」

「だが、そんな本はほとんどないぞ。」

「そのとおり。そこに救いがある。誰もが持っていると考えられる、規格の統一された本に絞られたのだ。」

「ブラッドショー時刻表!」

「難点がある、ワトソン。ブラッドショーの語彙はきびきびとして簡潔だが、限られている。一般的な文章を送るのに必要な単語を選ぶのは難しいだろう。ブラッドショーは除外しよう。辞書も、同じ理由で不適格だ。では、何が残る?」

「年鑑だ!」

「すばらしい、ワトソン! まさに核心を突いたのではないかと思う。年鑑だ! 『ウィテカー年鑑』が条件に合うか検討してみよう。広く使われている。必要なページ数もある。二段組みだ。前半の語彙こそ控えめだが、僕の記憶が正しければ、後半になるにつれて実に饒舌になる。」

ホームズは机から一冊を取り上げた。「これが534ページ、第二段だ。かなりまとまった文章で、英領インドの貿易と資源について書かれているらしい。単語を書き留めてくれ、ワトソン! 十三番は『マラーター』だ。残念ながら、あまり幸先のよい出だしではない。百二十七番は『政府』。少なくとも意味のある語だが、我々やモリアーティ教授には少々無関係だ。では続けよう。マラーター政府が何をするのか? ああ! 次の語は『豚毛』だ。万事休すだ、ワトソン君! これで終わりだ!」

冗談めかした口調だったが、茂った眉がぴくぴく動き、失望と苛立ちを物語っていた。私はなすすべもなく、沈んだ気持ちで火を見つめた。長い沈黙を、ホームズの突然の叫びが破った。彼は戸棚に飛びつき、そこから黄色い表紙の別の一冊を手にして戻ってきた。

「最新情報に敏感すぎた代償だよ、ワトソン!」ホームズは叫んだ。「我々は時代を先取りし、その者が常に受ける罰を味わったのだ。今日は一月七日だから、当然ながら新しい年鑑を用意してある。だが、ポーロックが暗号に使ったのは去年の年鑑である可能性が高い。説明の手紙を書けていたなら、きっとそう知らせたはずだ。さて、この534ページには何が待っているかな。十三番は『そこに』。これはずっと期待が持てる。百二十七番は『ある』――『そこに、ある』」――ホームズの目は興奮に輝き、細く神経質な指が、単語を数えるたびに震えていた――「『危険が』。ははあ! すばらしい! 書き留めたまえ、ワトソン。『そこに危険が――おそらく――来る――ごく近く――ある人物』。次が『ダグラス』という名――『富裕な――地方――今――バールストン――館――バールストン――確信――切迫』。できたぞ、ワトソン! 純粋な理性と、その結実をどう思う? 八百屋に月桂冠が売っているなら、ビリーを買いに走らせたいところだ。」

私はホームズが解読するそばから、膝の上の大判紙に走り書きした奇妙な文を見つめていた。

「ずいぶん妙で、しどろもどろな表現だな」と、私は言った。

「いや、むしろ驚くほどよくやった」と、ホームズは言った。「たった一段の文章から、伝えたい意味に合う単語を探すのだ。欲しい語が何でもそろうはずはない。受け手の理解力に委ねなければならない部分も、当然出てくる。要旨は完全に明瞭だ。何者かは分からないが、指定された場所に住む裕福な地方紳士、ダグラスに対して、悪事が企てられている。しかも切迫していると、彼は確信している――『確信』は『確信している』に最も近い語だったのだろう。これが我々の得た結論だ――なかなか手際のよい、小さな分析だった!」

ホームズは真の芸術家らしく、出来のよい仕事には私心のない喜びを覚え、目指す高みに届かなければ深く嘆いた。まだ成功を思ってくすくす笑っていたところへ、ビリーが勢いよく扉を開け、スコットランドヤードのマクドナルド警部を部屋へ案内した。

それは一八八〇年代末の初期、アレック・マクドナルドが今日のような全国的名声を得るより、はるか以前のことである。彼は若くして信頼を集める刑事であり、任された事件のいくつかで目覚ましい働きを見せていた。背の高い骨太の体つきは並外れた腕力をうかがわせ、大きな頭蓋と、奥深く据わった輝く目は、茂った眉の下できらめく鋭敏な知性を、同じくらい明瞭に示していた。無口で几帳面、気難しい気質の男で、アバディーン地方特有のきつい訛りがあった。

これまでにも二度、ホームズは彼を成功へ導いたことがある。ホームズ自身が得た報酬は、事件を解く知的な喜びだけだった。そのため、このスコットランド人は素人探偵である同僚に深い敬愛を抱き、難題にぶつかるたび、率直にホームズへ相談することでそれを示していた。凡人は自分より上の存在を知らないが、才能ある者は天才を即座に見抜く。マクドナルドには、その職業に必要なだけの才能があった。能力と経験の両面で、すでにヨーロッパに並ぶ者のない人物へ助力を求めることが、何ら屈辱ではないと理解できたのである。ホームズは友情を結びたがる男ではなかったが、この大柄なスコットランド人には寛容で、その姿を見ると微笑んだ。

「早起きだね、マク君」と、ホームズは言った。「うまく獲物にありつけるよう祈っているよ。だが、その様子では何か厄介事が起きたらしい。」

「『祈る』より『期待する』と言ったほうが、本音に近いのではありませんかな、ホームズさん」と、警部は訳知り顔でにやりと笑った。「まあ、朝の冷え込みを追い払うには、少し一杯やるのもいいでしょう。いや、煙草は結構です。ありがとうございます。先を急がねばなりません。事件は発生直後の数時間が何より貴重だと、あなたほどよくご存じの方はいないでしょうから。しかし――しかし――」

警部は突然言葉を切り、テーブルの上の紙を、心底驚いた顔で見つめた。それは、私が謎めいた文を書きつけた紙だった。

「ダグラス!」警部は口ごもった。「バールストン! これは何です、ホームズさん? まるで魔法ではありませんか! いったい全体、どこでこの名前を知ったのです?」

「これは何です、ホームズさん? まるで魔法ではありませんか! いったい全体、どこでこの名前を知ったのです?」

「ワトソン博士と僕が、たまたま解読することになった暗号です。しかし、どうして――この名に何か問題でも?」

警部は茫然とした驚きのなか、私とホームズを交互に見た。「問題も何も」と、彼は言った。「バールストン館のダグラス氏が、昨夜、惨たらしく殺されたのです!」

第二章 シャーロック・ホームズの推論

こうした劇的瞬間のために、我が友は生きていた。驚くべき知らせに衝撃を受けた、あるいは興奮したと言えば、言いすぎになるだろう。その奇特な性格には残酷さなど微塵もなかったが、長年あまりに強い刺激を受け続けたせいで、感覚が麻痺していたことは否めない。とはいえ、感情が鈍っている一方で、知的感覚は並外れて鋭敏だった。ぶっきらぼうな宣告に私が覚えたような恐怖は、その顔に少しも浮かばなかった。むしろ、過飽和溶液のなかで結晶が形を整えていくのを眺める化学者のように、静かで興味深げな落ち着きを見せていた。

「驚くべきことだ!」と、ホームズは言った。「実に驚くべきだ!」

「驚いていないようですね。」

「興味はありますよ、マク君。だが、驚いてはいません。なぜ驚く必要があるのです? 重要な筋だと分かっている相手から、匿名の知らせが届き、ある人物に危険が迫っていると警告された。それから一時間もしないうちに、その危険が実際に生じ、当人が死んだと知らされた。興味は覚えますが、あなたの言うとおり、驚きはしません。」

ホームズは短い数文で、手紙と暗号について警部に説明した。マクドナルドは両手に顎を載せ、大きな黄褐色の眉を黄色い茂みのように寄せて聞いていた。

「今朝、バールストンへ行くつもりでした」と、彼は言った。「あなたにも同行する気があるか尋ねに来たのです――そちらのご友人もご一緒に。しかし今のお話からすると、ロンドンに残ったほうが有益な捜査ができるかもしれませんな。」

「僕はそうは思いませんね」と、ホームズは言った。

「まったく、ホームズさん!」警部は叫んだ。「一、二日もすれば、新聞はバールストンの怪事件で持ちきりになるでしょう。しかし、犯罪が起こる前に予言した男がロンドンにいるなら、どこが怪事件なのです? その男を捕まえさえすれば、あとは芋づる式に片づくでしょう。」

「確かにそうです、マク君。しかし、いわゆるポーロックを、どうやって捕まえるおつもりです?」

マクドナルドはホームズから渡された手紙を裏返した。「キャンバーウェルから投函――大した手がかりにはなりません。名前は偽名だとおっしゃる。確かに手がかりは乏しい。金を送ったことがあると言いませんでしたか?」

「二度あります。」

「どうやって?」

「キャンバーウェル郵便局留めで、紙幣を送りました。」

「誰が受け取りに来るか、調べようとはしなかったのですか?」

「しませんでした。」

警部は驚き、少々非難するような顔をした。「なぜです?」

「僕は必ず約束を守るからです。最初に手紙を受け取ったとき、正体を突き止めようとはしないと約束しました。」

「彼の背後に誰かいるとお考えで?」

「考えているのではなく、知っているのです。」

「以前からお話に出る、あの教授ですか?」

「そのとおり!」

マクドナルド警部は笑みを浮かべ、まぶたを震わせながら私を見た。「隠し立てはしませんがね、ホームズさん。犯罪捜査部では、あなたはその教授のことになると、少々思い込みが激しくなると見ています。私も自分で少し調べてみました。どうやら、非常に立派で博識、才能に恵まれた人物のようですな。」

「少なくとも、才能を認めるところまでは来たようで何よりです。」

「いや、あの才能を認めずにはいられませんよ! あなたの見方を聞いてから、実際に会っておこうと思いましてね。日食について話をしました。どうしてそんな話になったのかは、さっぱり分かりませんが、教授は反射鏡付きのランタンと地球儀を取り出し、一分で何もかも分かるように説明してくれました。本も貸してくれましたが、正直なところ、アバディーンできちんと教育を受けた私にも、少々難しすぎましたな。あの細い顔、灰色の髪、重々しい話しぶりなら、さぞ立派な牧師になったでしょう。別れ際に肩へ手を置かれたときなど、冷たく残酷な世間へ旅立つ前に、父親から祝福を受けているような心持ちになりましたよ。」

ホームズはくすくす笑い、両手をこすった。「すばらしい!」と言った。「実にすばらしい! 教えてください、友人マクドナルド。この楽しく感動的な面会は、教授の書斎で行われたのでしょうね?」

「そのとおりです。」

「立派な部屋でしょう?」

「実に立派で――たいへん見事でした、ホームズさん。」

「あなたは教授の書き物机の前に座った?」

「さようです。」

「光があなたの目に当たり、教授の顔は陰になっていた?」

「いや、夕方でした。しかし、ランプが私の顔を照らしていたのは覚えています。」

「そうでしょうね。教授の頭上にある絵に気づきましたか?」

「私はあまり見落としませんよ、ホームズさん。それは、あなたから学んだのかもしれませんな。ええ、絵は見ました――若い女が両手に頭を載せ、横目でこちらをのぞいていました。」

「あの絵を描いたのは、ジャン=バティスト・グルーズです。」

警部は興味があるような顔をしようと努めた。

「ジャン=バティスト・グルーズは」と、ホームズは指先を合わせ、椅子に深くもたれながら続けた。「一七五〇年から一八〇〇年にかけて活躍したフランス人画家です。もちろん、ここで言っているのは画業の時期ですがね。現代の批評家たちは、同時代人が彼に下した高い評価を、さらに上回るほど称賛しています。」

警部の目から焦点が失われた。「そろそろ――」と、彼は言った。

「今まさに、その話をしているのです」と、ホームズは遮った。「僕が話していることはすべて、あなたの言うバールストン怪事件に、直接かつ重大な関係があります。ある意味では、これこそ事件の中心と言ってもよい。」

マクドナルドは弱々しく笑い、助けを求めるように私を見た。「あなたの思考は、私には少し速すぎますよ、ホームズさん。途中の輪を一つ二つ飛ばされるので、隙間を越えられません。この亡くなった画家と、バールストンの事件に、いったいどんな関係があるのです?」

「どんな知識も、探偵には役立つものです」と、ホームズは言った。「たとえば一八六五年、ポルタリスの競売で、グルーズの『少女と仔羊』という絵に百二十万フラン――四万ポンド以上――の値がついたという、些細な事実でさえ、あなたの頭に一連の連想を呼び起こすかもしれません。」

実際、そうなったのは明らかだった。警部は心から興味を惹かれた様子を見せた。

「ついでに申し上げれば」と、ホームズは続けた。「教授の俸給は、信頼できる参考文献を何冊か当たれば分かります。年七百ポンドです。」

「では、どうしてそんな絵を――」

「そのとおり! どうして買えたのでしょう?」

「なるほど、それは妙ですな」と、警部は考え深げに言った。「続けてください、ホームズさん。これは面白い。実にいい!」

ホームズは微笑んだ。真の芸術家に共通する特質として、心からの称賛を向けられると、彼はいつも上機嫌になった。「バールストンの件は?」と尋ねた。

「まだ時間はあります」と、警部は時計を見て言った。「表に辻馬車を待たせてありますし、ヴィクトリア駅までは二十分もかかりません。しかし、この絵についてですが、ホームズさん。あなたは以前、モリアーティ教授には一度も会ったことがないと言いませんでしたか?」

「ええ、一度もありません。」

「では、どうして教授の部屋のことをご存じなのです?」

「ああ、それは別の話です。教授の部屋には三度入ったことがあります。二度は、それぞれ違う口実で教授を待ち、帰ってくる前に立ち去りました。もう一度は――まあ、その一度については、官憲の探偵には話しにくい。最後に訪れた際、失礼して書類にざっと目を通しました――まったく予想外の結果になりましたよ。」

「弱みになるものを見つけたのですか?」

「何一つ。それこそ驚きでした。しかし、これで絵の意味はお分かりでしょう。あの男が非常な富豪である証拠です。その富をどうやって得たのか? 独身で、弟はイングランド西部の駅長。教授職の年俸は七百ポンド。それなのにグルーズの絵を所有している。」

「それで?」

「推論は明白でしょう。」

「莫大な収入があり、しかも違法な手段で稼いでいるはずだ、と?」

「そのとおり。もちろん、そう考える理由はほかにもあります――かすかで細い糸が幾十本もあり、毒を持つ動かぬ怪物が潜む蜘蛛の巣の中心へ、ぼんやりとつながっている。グルーズの話だけをしたのは、あなた自身が観察できる範囲に、この問題を引き寄せるためです。」

「確かに、ホームズさんのお話が興味深いことは認めます。興味深いどころではない――驚異的です。しかし、できればもう少し明確にしていただきたい。文書偽造か、贋金造りか、強盗か――その金はどこから来るのです?」

「ジョナサン・ワイルドについて読んだことは?」

「まあ、その名には聞き覚えがあります。小説の登場人物ではありませんでしたか? 私は小説の探偵にはあまり感心しませんね――何かやってのけるくせに、その方法を読者に見せようとしない連中です。ただのひらめきで、仕事とは言えません。」

「ジョナサン・ワイルドは探偵でも、小説の登場人物でもありません。大犯罪者です。前世紀――一七五〇年頃の人物です。」

「では、私には役に立ちませんな。私は実務家です。」

「マク君、あなたが人生で最も実際的なことをするとすれば、三か月ほど部屋に閉じこもり、一日十二時間、犯罪史を読むことでしょう。すべては巡ります――モリアーティ教授も例外ではない。ジョナサン・ワイルドはロンドンの犯罪者たちを陰で操る力であり、十五パーセントの手数料と引き換えに、頭脳と組織力を提供していました。古い車輪が回り、同じ輻がまた上へ来る。すべては以前にも行われ、いずれまた繰り返されます。モリアーティについて、あなたが興味を持ちそうなことを一つ二つお話ししましょう。」

「きっと興味深いでしょうな。」

「僕は、彼の鎖の最初の輪が誰かを知っています。一方の端には道を誤ったナポレオン、もう一方には落ちぶれた喧嘩屋、掏摸、恐喝屋、いかさま賭博師が百人もいて、その間をありとあらゆる犯罪が埋める鎖です。参謀長はセバスチャン・モラン大佐。本人と同じく世間から超然とし、用心深く、法律の手が届かない人物です。モリアーティが彼にいくら払っていると思います?」

「ぜひ聞きたいですな。」

「年六千ポンド。頭脳には金を払うという、アメリカ式の商売原則です。その詳細は、まったく偶然知りました。首相の給料より高い。これでモリアーティの稼ぎと、事業の規模が分かるでしょう。もう一つ。最近、僕はモリアーティの振り出した小切手を何枚か追跡しました――家の支払いに使う、ごく普通の怪しくも何ともない小切手です。六つの異なる銀行から振り出されていました。これを聞いて、何か感じませんか?」

「確かに妙です! しかし、そこから何が分かるのです?」

「自分の財産について噂されたくないのです。一人の人間に全資産を知られないようにしている。銀行口座は二十ほどあるに違いありません。財産の大半は国外、おそらくドイツ銀行かクレディ・リヨネに置いているでしょう。いつか一年か二年、暇ができたら、モリアーティ教授の研究をお勧めしますよ。」

話が進むにつれ、マクドナルド警部は着実に感銘を深めていった。興味に我を忘れていたのだ。だが今、実際的なスコットランド人の知性が、彼を一気に当面の問題へ引き戻した。

「まあ、その男はひとまず置いておきましょう」と、彼は言った。「ホームズさんの面白い逸話で、すっかり脇道へそれてしまいました。肝心なのは、教授と犯罪には何らかのつながりがある、というあなたの指摘です。ポーロックという男を通じて届いた警告から、そう判断した。今の捜査に必要な実際的結論として、そこから先へ進めますか?」

「犯行の動機について、ある程度の見当はつけられます。当初のお話から察するに、これは不可解な、少なくともまだ説明のつかない殺人事件です。さて、犯罪の源が我々の疑うところにあると仮定すれば、動機は二通り考えられる。まずお話ししておきますが、モリアーティは一味を鉄の杖で支配しています。規律は凄まじく厳しい。彼の掟にある罰は一つだけ。死です。そこで、殺された男――大犯罪者の部下の一人が、その差し迫る運命を知っていたダグラスという男――が、何らかの形で首領を裏切ったと仮定できます。その罰が下され、一味全員にも知らされる――彼らに死の恐怖を植えつけるためだけにでもね。」

「なるほど、それが一つの見方ですな、ホームズさん。」

「もう一つは、モリアーティが通常の仕事として手配したというものです。何か盗まれていましたか?」

「聞いていません。」

「盗難があれば、もちろん第一の仮説には不利で、第二の仮説に有利です。モリアーティは分け前を約束され、犯行を取り仕切ったのかもしれない。あるいは一定額の報酬を前払いされ、処理を任されたのかもしれない。どちらもあり得ます。しかし、いずれであれ、あるいは第三の組み合わせであれ、解決を探すべき場所はバールストンです。あの男のことはよく知っています。自分へつながる手がかりを、このロンドンに残しているとは思えません。」

「ならば、バールストンへ行きましょう!」マクドナルドは椅子から跳び上がって叫んだ。「何と! 思ったより遅くなってしまった。お二人とも、支度に使えるのは五分だけです。」

「二人には十分です」と、ホームズは立ち上がり、部屋着を上着に替えようと急ぎながら言った。「道中で、事件のすべてをお話しいただけますね、マク君。」

「事件のすべて」と言っても、がっかりするほどわずかしかなかった。とはいえ、我々を待つ事件が、専門家の細心の注意を向けるに十分なものだと確信させるだけの内容はあった。その乏しくも異様な詳細を聞くにつれ、ホームズの顔は明るくなり、細い両手をこすり合わせた。不毛な数週間が長く続いた末、ようやく、あの並外れた能力を存分に振るうにふさわしい対象が現れたのだ。あらゆる特殊な才能と同じく、使われなければ、その能力は持ち主自身を苦しめる。剃刀のような頭脳も、無為のうちに鈍り、錆びついていた。

仕事の呼び声を聞くと、シャーロック・ホームズの目は輝き、青白い頬には温かな色が差し、熱意に満ちた顔全体が内なる光に照らされた。辻馬車のなかで身を乗り出し、サセックス州で我々を待つ問題について、マクドナルドが語る短い概略に熱心に耳を傾けた。警部自身も、早朝の牛乳列車で届けられた走り書きの報告だけが頼りだと説明した。地元の捜査官ホワイト・メイソンは個人的な友人だった。そのため、地方警察がスコットランドヤードの助力を必要とする際の通常よりも、はるかに迅速に知らせを受けられたのだ。ロンドン警視庁の専門家が追跡を頼まれる頃には、たいてい手がかりはひどく冷えきっている。

「マクドナルド警部殿。」
と、彼が読み聞かせた手紙にはあった。――「正式な出動要請書は別封。
こちらは私信です。朝、バールストン行きの何時の列車に乗れるか、電報で
知らせてください。私が出迎えます――手が離せなければ、誰かを向かわせます。
この事件はとんでもない大物です。一刻も無駄にせず出発してください。
ホームズ氏を連れてこられるなら、ぜひお願いします。氏なら、まさに好みの
事件だと思うでしょう。真ん中に死体さえなければ、芝居じみた効果を狙って
すべて仕組まれたのだと思うところです。まったく、これは*とんでもない大物*です。」

「ご友人は、なかなか頭の切れる人物らしい」と、ホームズは言った。

「ええ、ホワイト・メイソンは実に有能な男です。私の見る目が確かならね。」

「ほかには何か?」

「会えば詳細をすべて話す、ということだけです。」

「では、ダグラス氏の名と、惨たらしく殺されたという事実は、どうやって知ったのです?」

「同封されていた正式な報告書にありました。『惨たらしい』とは書かれていません。正式な用語ではありませんからな。氏名はジョン・ダグラス。散弾銃の発射により、頭部に損傷を負ったとありました。通報時刻も記載されており、昨夜の真夜中近くです。殺人であることに疑いはないものの、逮捕者はなく、きわめて難解かつ異常な特徴を持つ事件だ、ともありました。現時点で分かっているのは、本当にそれだけです、ホームズさん。」

「では、マク君、ご許可をいただいて、今はそれだけにしておきましょう。不十分な材料から早まって仮説を組み立てたくなる誘惑こそ、我々の職業の災いです。現時点で確かなものは、二つしか見えません――ロンドンにいる偉大な頭脳と、サセックス州にいる一人の死者。その間をつなぐ鎖こそ、我々がこれからたどるものです。」

第三章 バールストンの惨劇

ここでしばらく、取るに足りない私自身を舞台から退け、我々が現場に到着する前に起こった出来事を、後に得た知識に照らして描くことをお許しいただきたい。そうしなければ、関係者たちがどのような人物であり、どれほど奇妙な舞台で運命に翻弄されたのか、読者に十分理解していただくことはできない。

バールストン村は、サセックス州北端にある、小さく非常に古い集落で、木骨造りの家々が寄り集まっている。何世紀もの間、村の姿は変わらなかった。しかし近年、その美しい景観と立地に惹かれ、裕福な住民が何人も移り住み、周囲の林から彼らの屋敷がのぞくようになった。この林は、地元ではウィールド地方の大森林の最外縁と考えられており、北部の白亜質の丘陵に至るまで次第にまばらになっていく。増えた住民の需要に応えるため、小さな商店も何軒かできた。したがってバールストンは、遠からず古い村から近代的な町へ成長する見込みがある。周辺のかなり広い地域の中心地でもある。最寄りの主要都市タンブリッジ・ウェルズは、ケント州との境を越えて東へ十ないし十二マイル(約十六ないし十九キロメートル)離れているからだ。

町から半マイル(約八百メートル)ほど離れた、巨大なブナで名高い古い庭園に、歴史あるバールストン館が建っている。この由緒ある建物の一部は、第一次十字軍の時代にまで遡る。当時、ユーゴー・ド・カパスは、赤顔王から与えられた所領の中央に砦を築いた。その砦は一五四三年に火災で焼失し、煙で黒くなった隅石の一部は、ジェームズ一世時代、封建時代の城跡に煉瓦造りの田園邸宅が建てられた際、再利用された。

多くの切妻と、小さな菱形の窓ガラスを備えたバールストン館は、十七世紀初めに建築者が完成させた頃の姿を、今なおほぼそのままとどめていた。戦闘的だった前身の城を守っていた二重の堀のうち、外堀は干上がるに任され、今では菜園という慎ましい役目を果たしている。内堀は今も残り、幅四十フィート(約十二メートル)、深さはわずか数フィートながら、館全体を取り巻いていた。小川が堀へ流れ込み、その先へ抜けているため、水は濁ってはいても、溝のようによどんだり、不衛生になったりはしなかった。一階の窓は、水面から一フィート(約三十センチメートル)も離れていない。

館へ入る唯一の道は跳ね橋だったが、その鎖と巻き上げ機は、とうの昔に錆びつき、壊れていた。しかし、直近の入居者は持ち前の行動力でこれを修復し、跳ね橋は上げられるようになったばかりか、実際に毎晩上げられ、毎朝下ろされていた。古い封建時代の習慣を復活させた結果、夜になると館は島へ変わったのである。この事実は、やがて全イングランドの注目を集める謎に、きわめて直接的な関わりを持つことになる。

ダグラス夫妻が入居するまで、館は数年間空き家で、美しい廃墟へ朽ち果てようとしていた。この一家は、ジョン・ダグラスと妻の二人だけである。ダグラスは、性格にも風貌にも際立ったところのある男だった。年齢は五十歳ほど。顎の張った荒々しい顔、白髪交じりの口髭、ひときわ鋭い灰色の目、若い頃の力と敏捷さをまったく失っていない、引き締まった頑健な体つきをしていた。誰に対しても明るく親しみやすかったが、振る舞いにはややぞんざいなところがあり、サセックス州の上流社会よりも、はるかに低い階層で人生を見てきたような印象を与えた。

そのため、教養ある近隣住民からは多少の好奇心と遠慮をもって見られたが、村人の間ではたちまち大変な人気者になった。地元のあらゆる事業へ気前よく寄付し、喫煙音楽会などの催しにも出席した。しかも見事に豊かなテノールの声を持っていたため、求められればいつでも素晴らしい歌を披露した。財産は潤沢らしく、カリフォルニア州の金鉱で築いたと噂されていた。本人と妻の話から、人生の一時期をアメリカ合衆国で過ごしたことも明らかだった。

その気前のよさと、身分にこだわらない振る舞いが生んだ好印象は、危険をものともしない人物だという評判によって、さらに高まった。乗馬はひどく下手だったが、狩猟の集合には毎回顔を出し、名手たちに遅れまいとして、仰天するような落馬を繰り返した。牧師館が火事になった際にも、地元の消防隊が救出不能と断念したあと、家財を救おうと建物へ戻り、並外れた勇敢さを見せた。こうしてバールストン館のジョン・ダグラスは、わずか五年で村に確固たる名声を築いたのである。

妻もまた、知り合った者たちからは好かれていた。もっとも、紹介もなく地方へ移り住んできた他人を訪問する人は、イングランドの慣習どおり、ごくわずかだった。だが、それは彼女にとって大した問題ではなかった。もともと引っ込み思案な性格で、見たところ夫と家事に夢中だったからである。彼女はイングランド人で、当時すでに妻を亡くしていたダグラス氏と、ロンドンで知り合ったことが知られていた。美しい女性で、背が高く、黒髪で、ほっそりとしており、夫より二十歳ほど若かった。だが、その年齢差が円満な家庭生活を損なっている様子はまったくなかった。

しかし二人をよく知る者は、夫婦の間に完全な信頼があるようには見えない、と時折口にした。妻は夫の過去について、ひどく口が堅かった。あるいは、こちらの可能性のほうが高そうだが、十分には知らされていなかった。また、観察力のある少数の者たちは、ダグラス夫人が時折、神経を張りつめている兆候を見せることにも気づき、話題にしていた。夫が外出し、いつもより帰りが遅くなると、激しい不安をあらわにしたという。どんな噂も歓迎される静かな田舎で、館の女主人が持つこの弱点は、人々の口の端に上らずには済まなかった。そして、それにきわめて特別な意味を与える事件が起こると、人々の記憶のなかで、いよいよ大きなものとなった。

その屋根の下には、もう一人の人物がいた。住んでいたといっても時折滞在するだけだったが、これから語る奇怪な事件の発生時に居合わせたため、その名は世間に広く知られることとなった。ハムステッド、ヘイルズ・ロッジのセシル・ジェームズ・バーカーである。

背が高く、関節の目立つセシル・バーカーの姿は、バールストン村の大通りではよく知られていた。バールストン館を頻繁に訪れる歓迎すべき客だったからである。ダグラス氏の謎に包まれた過去から続く友人のなかで、新たなイングランドでの暮らしに姿を現したのは彼だけだったため、ひときわ人目を引いた。バーカー自身は間違いなくイングランド人だったが、その話から、初めてダグラスと知り合ったのはアメリカ合衆国で、現地では親密に付き合っていたことが分かった。相当な財産を持つ男らしく、独身だと噂されていた。

ダグラスより少し若く、せいぜい四十五歳。背が高く、姿勢がよく、胸板の厚い男で、きれいに剃った顔は拳闘家を思わせた。太く力強い黒い眉と、人を圧する一対の黒い目を持ち、その有能な両手を使わずとも、敵意に満ちた群衆をかき分けて進めそうだった。乗馬も射撃もせず、日中はパイプをくわえて古い村を歩き回るか、主人と馬車に乗り、主人がいなければ女主人と、美しい田園を巡って過ごした。「気さくで、金離れのいい紳士ですよ」と、執事のエイムズは言った。「ですが、あの方を怒らせる役だけは、まっぴらですな!」

バーカーはダグラスと親密で、気心の知れた間柄だった。そして妻に対しても同じくらい親しかった。その友情は幾度となく夫を苛立たせているように見え、使用人たちにさえ不快感が見て取れた。惨事が起きたとき、一家の一員同然だった第三の人物は、このような男である。

古い館に住むほかの者については、大勢の使用人のうち、謹厳で立派、仕事のできるエイムズと、ふくよかで陽気な女性で、女主人の家事の負担をいくらか軽くしていたアレン夫人だけを挙げれば十分だろう。館にいた残り六人の使用人は、一月六日夜の出来事には関係していない。

最初の通報が、サセックス州警察のウィルソン巡査軍曹が詰める小さな地元警察署へ届いたのは、十一時四十五分だった。ひどく興奮したセシル・バーカーが戸口まで駆け込み、猛烈な勢いで呼び鈴を鳴らしたのである。バールストン館で恐ろしい惨劇が起き、ジョン・ダグラスが殺された。それが、息を切らして伝えた知らせだった。バーカーは急いで館へ戻り、数分後には巡査軍曹もあとを追った。何か重大な事態が起きたと州警察へ至急知らせる手配を済ませ、十二時を少し過ぎた頃、犯行現場へ到着した。

バールストン館に着くと、跳ね橋は下り、窓には明かりがともり、屋敷中が激しい混乱と不安に包まれていた。青ざめた使用人たちは玄関ホールに身を寄せ合い、怯えきった執事は戸口で両手をもみ絞っていた。自分自身と感情を制御できているように見えたのは、セシル・バーカーだけだった。入口に一番近い扉を開き、巡査軍曹に手招きして、ついてくるよう促した。そのとき、村の開業医で、きびきびした有能なウッド博士も到着した。三人は一緒に運命の部屋へ入った。恐怖に打ちのめされた執事もすぐあとに続き、女中たちの目からおぞましい光景を隠すため、背後で扉を閉めた。

死者は部屋の中央で仰向けになり、手足を大きく広げて倒れていた。身につけているのは、寝間着を覆う桃色の部屋着だけだった。裸足には室内履きが履かれている。医師は傍らにひざまずき、テーブルに置かれていた手提げランプを低く掲げた。被害者を一目見ただけで、医師には自分の出る幕がないと分かった。男は見るも無惨な傷を負っていた。胸の上には奇妙な武器が横たわっていた。引き金から一フィート(約三十センチメートル)先で銃身を切り詰めた散弾銃である。至近距離から発砲され、散弾を顔面にまともに受けたため、頭部はほとんど吹き飛ばされていた。二つの引き金は針金でつながれ、同時に発射することで破壊力が増すよう細工されていた。

田舎の警察官は、あまりにも突然、途方もない責任を背負わされ、動揺し、困惑していた。「上官が到着するまで、何にも触れないでおきましょう」と、恐ろしい頭部を戦慄しながら見つめ、押し殺した声で言った。

「今まで、何一つ触れていません」と、セシル・バーカーは言った。「それは私が保証します。私が発見したときのままです。」

「発見したのはいつです?」

巡査軍曹は手帳を取り出した。

「ちょうど十一時半です。まだ寝支度を始めておらず、寝室の暖炉のそばに座っていたとき、銃声を聞きました。それほど大きくはありませんでした――こもって聞こえたのです。私は駆け下りました――三十秒もしないうちに、この部屋へ入ったと思います。」

「扉は開いていましたか?」

「ええ、開いていました。気の毒なダグラスは、ご覧のとおり倒れていました。寝室から持ってきた蝋燭が、テーブルの上で燃えていました。数分後にランプへ火をつけたのは私です。」

「誰も見ませんでしたか?」

「誰も。私のあとからダグラス夫人が階段を下りてくる音がしたので、私は飛び出し、この恐ろしい光景を見せまいとしました。家政婦のアレン夫人が来て、奥様を連れていきました。そのときにはエイムズも来ていたので、二人でこの部屋へ戻りました。」

「しかし、跳ね橋は一晩中、上げておくと聞いていますが。」

「ええ、私が下ろすまでは上がっていました。」

「では、殺人犯はどうやって逃げたのです? あり得ません! ダグラス氏は自分を撃ったに違いない。」

「私たちも最初はそう考えました。しかし、これを!」

バーカーはカーテンを引き、菱形のガラスがはめ込まれた縦長の窓が、いっぱいに開いているのを見せた。「そして、これを見てください!」

ランプを低く掲げると、木製の窓台に、靴底の跡のような血の染みが照らし出された。「誰かが、ここを踏んで外へ出たのです。」

「堀の中を歩いて渡ったと言うのですか?」

「そのとおりです!」

「では、あなたが犯行から半分もたたず部屋へ入ったのなら、犯人はまさにそのとき水の中にいたはずです。」

「間違いありません。すぐ窓へ駆け寄っていればよかった! しかし、ご覧のとおりカーテンに隠れていたため、思いも寄りませんでした。それからダグラス夫人の足音が聞こえ、部屋へ入れるわけにはいかなかったのです。あまりにも恐ろしすぎます。」

「確かに恐ろしい!」医師は、砕けた頭部と、その周囲に残る凄惨な跡を見つめて言った。「バールストンの列車事故以来、こんな傷は見たことがない。」

「しかし」と、窓が開いていたことを、のんびりした田舎者らしい常識でまだ考え続けていた巡査軍曹が言った。「犯人がこの堀を歩いて渡って逃げた、と言うのは結構です。だが私が聞きたいのは、橋が上がっていたなら、そもそもどうやって館へ入ったのか、ということです。」

「そこが問題なのです」と、バーカーは言った。

「橋を上げたのは何時です?」

「六時近くでした」と、執事のエイムズが言った。

「いつもは日没に上げると聞いています」と、巡査軍曹は言った。「今の時期なら、六時より四時半に近いでしょう。」

「ダグラス夫人がお茶に客を招いておられました」と、エイムズが言った。「その方々が帰るまでは、上げられませんでした。それから私自身が巻き上げました。」

「すると、こうなります」と、巡査軍曹は言った。「もし誰かが外から来たのなら――本当に来たのなら――六時前に橋を渡って中へ入り、それから十一時を過ぎてダグラス氏がこの部屋へ来るまで、ずっと隠れていたことになる。」

「そのとおりです! ダグラス氏は毎晩、寝る前の最後の日課として館内を見回り、明かりに問題がないか確認していました。そのため、この部屋へ入った。男は待ち伏せて撃った。それから窓を抜けて逃げ、銃は置いていった。事実に合う説明はほかにありません。私はそう見ています。」

巡査軍曹は、死者のそばの床に落ちていたカードを拾い上げた。そこには V.V. という頭文字と、その下に341という数字が、インクで乱雑に書かれていた。

「これは?」と、カードを掲げて尋ねた。

バーカーは興味深げに見た。「今まで気づきませんでした」と、彼は言った。「殺人犯が残したに違いありません。」

「V.V.――341。私には、さっぱり意味が分からない。」

巡査軍曹は太い指で、カードを何度も裏返した。「V.V.とは何だ? 誰かの頭文字かもしれない。ウッド博士、そちらの物は何です?」

暖炉前の敷物に落ちていた、かなり大きな金槌だった。しっかりした、実用本位の道具である。セシル・バーカーは、暖炉棚にある真鍮頭の釘の箱を指さした。

「ダグラス氏は昨日、絵の位置を変えていました」と、彼は言った。「私自身、あの椅子の上に立ち、その上の大きな絵を取りつけているところを見ました。金槌があるのは、そのためです。」

「見つけた場所、敷物の上へ戻しておいたほうがよさそうですな」と、巡査軍曹は困惑のあまり頭をかきながら言った。「これを解明するには、警察で最も優秀な頭脳が必要でしょう。片がつくまでには、ロンドンの出番になりそうです。」

手提げランプを掲げ、ゆっくりと部屋を一周した。「おや!」興奮した声を上げ、窓のカーテンを片側へ引いた。「このカーテンを閉めたのは何時です?」

「ランプをつけたときです」と、執事が言った。「四時を少し過ぎた頃でしょう。」

「確かに、誰かがここへ隠れていた。」

巡査軍曹が明かりを低くすると、隅に泥靴の跡がはっきり見えた。「バーカーさん、これはあなたの説を裏づけていると認めざるを得ません。男は、カーテンを閉めた四時過ぎから、橋を上げた六時までの間に、館へ入ったらしい。最初に目に入った部屋なので、ここへ忍び込んだ。ほかに隠れる場所がなかったため、このカーテンの裏へ飛び込んだ。そこまでは、十分に明らかです。おそらく最初の目的は、館へ盗みに入ることだった。しかし、たまたまダグラス氏に見つかったため、殺して逃げたのでしょう。」

「私もそう考えています」と、バーカーは言った。「しかし、こうして貴重な時間を無駄にしていていいのですか? 男が逃げ切る前に、外へ出て周辺を捜索できないでしょうか?」

巡査軍曹は少し考えた。

「朝六時まで列車はないので、鉄道では逃げられません。脚をずぶ濡れにしたまま街道を行けば、誰かに気づかれる可能性が高い。いずれにせよ、交替が来るまで私自身はここを離れられません。それに、全員の立場がもっとはっきりするまで、あなた方も出ていかないほうがよいでしょう。」

医師はランプを手に取り、遺体を注意深く調べていた。「この印は何です?」と、尋ねた。「事件と何か関係があるのでは?」

死者の右腕は部屋着の袖から突き出し、肘まで露出していた。前腕の中ほどに、円の中に三角形がある奇妙な褐色の印が、脂蝋のような肌の上へ鮮明に浮き出ていた。

「刺青ではない」と、医師は眼鏡越しにのぞき込んで言った。「こんなものは見たことがない。この男は、牛に焼き印を押すように、いつか焼き印を押されたのだ。これは何を意味する?」

「意味までは分かりません」と、セシル・バーカーは言った。「しかし、ここ十年、ダグラスにその印があるのを何度も見ています。」

「私もです」と、執事が言った。「旦那様が袖をまくり上げるたび、何度もその印を見ました。いったい何なのだろうと、よく不思議に思ったものです。」

「ならば、いずれにしても事件とは無関係ですな」と、巡査軍曹は言った。「だが、それでも奇妙なものだ。この事件は何もかも奇妙だ。さて、今度は何です?」

執事が驚きの声を上げ、死者の伸ばされた手を指さしていた。

「結婚指輪が奪われています!」彼は息を呑んだ。

「何ですと!」

「間違いありません。旦那様はいつも、左手の小指に飾りのない金の結婚指輪をはめていました。その上に、原石のついた指輪があり、薬指には蛇をねじった形の指輪がありました。原石も蛇もありますが、結婚指輪がなくなっています。」

「彼の言うとおりです」と、バーカーは言った。

「結婚指輪は」と、巡査軍曹は尋ねた。「もう一つの指輪のにあったのですか?」

「いつもそうでした!」

「では殺人犯、あるいは何者にせよ、まず原石の指輪とやらを外し、次に結婚指輪を外してから、原石の指輪を元へ戻したのですな。」

「そうなります!」

善良な田舎警察官は首を振った。「一刻も早くロンドンにこの事件を任せたほうがよさそうです」と、彼は言った。「ホワイト・メイソンは切れ者です。どんな地元の事件も、あの人の手に余ったことはありません。もうじき、ここへ来て助けてくれるでしょう。だが、片がつくまでには、やはりロンドンを頼らねばならないと思います。いずれにせよ、私などには難しすぎると白状しても、恥とは思いません。」

第四章 暗闇

午前三時、バールストンのウィルソン巡査軍曹から緊急連絡を受けたサセックス州警察の主任刑事は、息を切らした速歩馬が引く軽い二輪馬車に乗り、本部から到着した。朝五時四十分の列車でスコットランドヤードへ知らせを送り、正午には我々を迎えるため、バールストン駅へ出向いていた。ホワイト・メイソンは、ゆったりしたツイードの服を着た、物静かで人のよさそうな男だった。きれいに剃った血色のよい顔、やや太めの体、ゲートルをつけた頑丈な蟹股の脚。小さな農場主か、引退した猟場番、あるいは地上の何者にでも見えたが、地方警察の刑事として非常に優秀な人物には、とても見えなかった。

「まったく、とんでもない大物です、マクドナルドさん!」彼は何度も繰り返した。「事情が分かれば、新聞記者どもが蠅のように押し寄せますよ。連中が鼻を突っ込み、手がかりをめちゃくちゃにする前に、仕事を終えられればよいのですが。私の記憶には、こんな事件はありません。ホームズさんの琴線に触れそうな点もいくつかあります。そうでなければ、私の見当違いです。ワトソン博士も同じです。終わるまでには、医者の意見も必要になるでしょう。お部屋はウェストヴィル・アームズに用意しました。ほかに宿はありませんが、清潔でよい所だと聞いています。この男に荷物を運ばせます。皆さん、どうぞこちらへ。」

このサセックス州の刑事は、実によく動き、愛想のよい人物だった。十分後には、全員が宿へ落ち着いていた。さらに十分後には宿屋の談話室に座り、前章で概略を述べた事件について、手早い説明を受けていた。マクドナルドが時折メモを取る一方、ホームズはすっかり没頭し、植物学者が珍しく貴重な花を眺めるときの、驚きと畏敬に満ちた表情で聞いていた。

「驚くべき事件です!」話が終わると、ホームズは言った。「実に驚くべきだ! これほど異様な特徴を備えた事件は、ほかにほとんど思い出せません。」

「そうおっしゃると思いましたよ、ホームズさん」と、ホワイト・メイソンは大喜びで言った。「サセックス州も、時代に遅れてはいません。今朝三時から四時の間に、私がウィルソン巡査軍曹から引き継ぐまでの状況は、これで全部お話ししました。いや、老いぼれ牝馬をずいぶん急がせましたよ! ですが結局のところ、あれほど急ぐ必要はありませんでした。すぐにできることは、何もなかったのです。ウィルソン巡査軍曹が、事実はすべて押さえていました。私は確認し、検討し、自分で気づいたことを少々付け加えた程度です。」

「それは何です?」ホームズが身を乗り出して尋ねた。

「まず、金槌を調べました。ウッド博士にも手伝ってもらいましたが、暴力を振るった形跡はありませんでした。もしダグラス氏が金槌で身を守り、敷物へ落とす前に犯人へ一撃を加えていたなら、その痕跡が残っているかもしれないと期待したのです。しかし、染みはありませんでした。」

「もちろん、それでは何の証明にもなりません」と、マクドナルド警部が言った。「金槌で殺人が行われても、金槌に痕跡が残らないことはいくらでもある。」

「そのとおりです。使われなかった証拠にはなりません。しかし、もし染みがあれば、捜査の助けになったでしょう。実際には何もありませんでした。次に銃を調べました。弾薬は大粒の鹿撃ち散弾です。ウィルソン巡査軍曹が指摘したように、引き金は針金でつながれ、後ろの一つを引けば両方の銃身から同時に発射されるようになっていました。こんな細工をした者は、標的を撃ち損なう危険を一切冒さないと決めていたのでしょう。切り詰められた銃は、全長二フィート(約六十一センチメートル)もなく、上着の下へ簡単に隠せます。製造者名は完全には残っていませんでしたが、銃身の間の溝に P-E-N という活字体があり、残りは鋸で切り落とされていました。」

「大きな P の上に飾りがあり、E と N は小さい?」と、ホームズが尋ねた。

「そのとおりです。」

「ペンシルベニア・スモール・アームズ社――有名なアメリカ合衆国の会社です」と、ホームズは言った。

ホワイト・メイソンは、村の開業医が、たった一言で悩みを解いてくれるハーレー街の専門医を見るように、我が友を見つめた。

「大変な助けになります、ホームズさん。きっとおっしゃるとおりでしょう。驚きました! 実に驚きました! 世界中の銃器製造会社の名を、すべて記憶しておられるのですか?」

ホームズは手を振り、その話題を退けた。

「間違いなく、アメリカ製の散弾銃でしょう」と、ホワイト・メイソンは続けた。「アメリカ合衆国の一部では、銃身を切り詰めた散弾銃が武器として使われる、と読んだ覚えがあります。銃身の名前は別にしても、その考えは頭に浮かんでいました。すると、館へ侵入して主人を殺した男はアメリカ人だった、という証拠が多少はあるわけです。」

マクドナルドは首を振った。「いや、話を急ぎすぎでしょう」と、彼は言った。「そもそも、見知らぬ者が館へ入ったという証拠すら、まだ聞いていません。」

「開いた窓、窓台の血、奇妙なカード、隅にある靴跡、そして銃です!」

「どれも仕組めないものではありません。ダグラス氏はアメリカ人だったか、少なくとも長くアメリカ合衆国に住んでいた。バーカー氏も同じです。アメリカ式の行為を説明するために、外からアメリカ人を連れてくる必要はない。」

「執事のエイムズは――」

「彼がどうしたのです? 信用できるのですか?」

「チャールズ・チャンドス卿に十年仕えた、岩のように堅実な男です。ダグラス氏が五年前にバールストン館を借りて以来、ずっと仕えています。館内で、こんな銃を見たことは一度もないそうです。」

「この銃は隠せるよう作られています。だから銃身を切った。どんな箱にも収まるでしょう。そんな銃が館になかったと、彼に断言できるはずがありません。」

「まあ、いずれにせよ、見たことはないのです。」

マクドナルドは、頑固なスコットランド人らしく首を振った。「館の中に誰かいたという話には、まだ納得できません」と、彼は言った。「考えてみていただきたい」――議論に熱が入るにつれ、アバディーン訛りがいっそう強くなった――「この銃が館へ持ち込まれ、外から来た人物が、あの奇妙な事柄をすべて行ったと仮定すれば、何を意味するか考えてみていただきたい。いや、まったく想像もできません! 常識に真っ向から反しています! ホームズさん、これまで聞いた話から判断して、どう思われます?」

「では、あなたの論を述べてください、マク君」と、ホームズは裁判官のような口調で言った。

「その男が実在したと仮定しても、盗賊ではありません。指輪の件とカードは、個人的な理由による計画的殺人を示しています。それはよい。ここに、殺人を犯す明確な意図を持って、館へ忍び込んだ男がいる。少しでも事情を知っていれば、館は水に囲まれているため、逃げるのが難しいと分かるはずです。どんな武器を選ぶでしょう? 世界で最も音のしない武器を選ぶはずです。そうすれば犯行後すぐ窓から抜け出し、堀を歩いて渡り、悠々と逃げる見込みがある。それなら理解できます。しかし、わざわざ選べるかぎり最も大きな音のする武器を持ち込むでしょうか? 発砲すれば館内の全員が全速力で駆けつけ、堀を渡りきる前に目撃される可能性がきわめて高いと承知しているのにです。そんな話を信じられますか、ホームズさん?」

「実に強力な論ですね」と、我が友は考え深げに答えた。「確かに、十分な説明を必要とします。ホワイト・メイソンさん、堀の向こう側をすぐに調べ、男が水から上がった痕跡がないか確認しましたか?」

「痕跡はありませんでした、ホームズさん。ですが、石造りの縁なので、痕跡が残るとは期待できません。」

「足跡も、何かの印も?」

「ありません。」

「なるほど! ホワイト・メイソンさん、今すぐ館へ行っても差し支えありませんか? 何かを示唆する小さな点が、見つかるかもしれません。」

「私もそう提案するつもりでした、ホームズさん。しかし行く前に、すべての事実を知っておいていただくほうがよいと思いまして。もし何かにお気づきになったら――」ホワイト・メイソンは、素人探偵を疑わしげに見た。

「私は以前にもホームズさんと仕事をしました」と、マクドナルド警部は言った。「この方は筋を通します。」

「少なくとも、僕なりの筋はね」と、ホームズは微笑んだ。「僕が事件へ加わるのは、正義の実現と、警察の仕事を助けるためです。正式な捜査機関と別行動を取ったことがあるとすれば、先に僕を排除したのは向こうです。彼らの犠牲によって手柄を立てようなどとは、決して思いません。ただし、ホワイト・メイソンさん、僕自身のやり方で捜査し、結論は段階的にではなく、完成したときに発表する権利だけは主張します。」

「お越しいただけたのは光栄ですし、我々が知ることはすべてお見せします」と、ホワイト・メイソンは心から言った。「さあ、行きましょう、ワトソン博士。いつかその時が来たら、我々全員が博士の本に登場できるよう願っておりますよ。」

我々は、両側に枝を刈り込まれた楡の木が並ぶ、趣深い村の通りを歩いていった。少し先に、風雨にさらされ、地衣類の斑点に覆われた二本の古い石柱があった。その頂には、かつてバールストンのカパス家の立ち上がる獅子像だった、形の崩れた何かが載っていた。イングランドの田園地帯でしか見られない芝生と樫に囲まれ、曲がりくねった馬車道を少し歩く。やがて急に道が折れると、くすんだ赤褐色の煉瓦で造られた、横に長く低いジェームズ一世時代の館が姿を現した。両側には、イチイを刈り込んだ古風な庭園がある。近づいていくと、木造の跳ね橋と、冷たい冬の日差しのなか、水銀のように静かに輝く美しい広い堀が見えた。

三百年の歳月が、古いバールストン館の上を流れていた。誕生、帰郷、田園舞踏会、狐狩りの集い――そうしたものを幾世代にもわたり見てきた。老境に入った今、この暗い事件が由緒ある壁に影を落としたとは、何とも奇妙だった! だが、あの風変わりな尖った屋根と、上部が張り出した趣深い切妻は、陰惨で恐ろしい陰謀を覆い隠すのにふさわしくもあった。深くくぼんだ窓と、くすんだ色をして水に洗われる長い正面を眺めていると、これほど惨劇にふさわしい舞台はほかにないと感じられた。

「あれが問題の窓です」と、ホワイト・メイソンは言った。「跳ね橋のすぐ右にある窓です。昨夜発見されたときと同じく、開いたままにしてあります。」

「人が通るには、少し狭そうですね。」

「まあ、太った男ではなかったでしょう。それくらいは、ホームズさんの推理を借りなくても分かります。しかし、あなたや私なら、問題なく押し通れます。」

ホームズは堀の縁まで歩き、向こう側を見た。それから石造りの縁と、その先の草地を調べた。

「念入りに調べましたよ、ホームズさん」と、ホワイト・メイソンは言った。「何もありません。誰かが上陸した痕跡はまったくありません――しかし、なぜ痕跡が残るはずだと?」

「そのとおり。なぜ残るはずがある? 水はいつも濁っているのですか?」

「だいたい、これくらいの色です。小川が粘土を運んできますので。」

「深さは?」

「両岸では二フィート(約六十一センチメートル)、中央では三フィート(約九十一センチメートル)ほどです。」

「では、渡る途中で男が溺れた可能性は、完全に除外できますね。」

「ええ、子供でも溺れません。」

我々は跳ね橋を渡り、風変わりで節くれ立ち、干からびたような人物に迎え入れられた。執事のエイムズである。気の毒な老人は衝撃のあまり、青ざめて震えていた。背が高く、堅苦しく、陰気な村の巡査軍曹は、運命の部屋でなお見張りを続けていた。医師はすでに帰っていた。

「何か新しいことは、ウィルソン巡査軍曹?」と、ホワイト・メイソンが尋ねた。

「いいえ。」

「では、帰っていい。もう十分働いた。必要なら呼びにやる。執事は外で待っていたほうがいい。セシル・バーカー氏、ダグラス夫人、家政婦には、後ほど少し話を伺うかもしれないと伝えてくれ。さて、皆さん。まず私が立てた見解をお話しし、そのあとで、ご自分の結論を出していただくのがよいでしょう。」

この地方の専門家には感心させられた。事実をしっかり把握し、冷静で明晰な常識を備えている。その職業で、かなりのところまで行ける頭脳だろう。正式な捜査官の説明を聞くとき、しばしばホームズが見せる苛立ちも、今回は少しも現れなかった。

「自殺か、殺人か――それが第一の問題です。そうでしょう、皆さん? 自殺だとすれば、この男はまず結婚指輪を外して隠し、次に部屋着姿でここへ下りてきて、誰かが待ち伏せていたように見せかけるため、カーテンの裏の隅を泥で汚し、窓を開け、窓台に血をつけ――」

「その可能性は、除外してよいでしょう」と、マクドナルドが言った。

「私もそう思います。自殺はあり得ない。ならば殺人が行われた。次に判断すべきは、館の外の者が行ったのか、中の者が行ったのかです。」

「では、論拠を聞きましょう。」

「どちらにも大きな難点がありますが、それでも、どちらかでなければなりません。まず、館内の誰かが犯行に及んだと仮定しましょう。誰もが起きていながら、あたりが静まり返った時刻に、男をこの部屋へ呼び出した。そして、館内の全員へ何が起きたか知らせるような、世界で最も奇妙かつ騒々しい武器で犯行に及んだ。しかも、その武器はそれまで館内で一度も目撃されていない。あまりありそうな出だしではないでしょう?」

「ええ、ありそうにない。」

「さて、警報が発せられてから、せいぜい一分で使用人全員が現場へ集まったことについては、異論がありません。最初に来たと主張するセシル・バーカー氏だけではなく、エイムズも、ほかの全員もです。その短い間に犯人が、隅へ足跡をつけ、窓を開け、窓台へ血をつけ、死者の指から結婚指輪を外し、残りの工作もすべて済ませたとおっしゃるのですか? 不可能です!」

「非常に明快な説明です」と、ホームズは言った。「僕も同意したい。」

「すると、外部の者による犯行という説へ戻らざるを得ません。依然として大きな難点はありますが、少なくとも不可能ではなくなる。男は四時半から六時までの間、つまり日暮れから橋を上げるまでの間に館へ入った。客が何人か来ていて、扉は開いていた。したがって、侵入を妨げるものはありません。普通の盗賊だったかもしれないし、ダグラス氏に個人的な恨みを持っていたのかもしれない。ダグラス氏は人生の大半をアメリカ合衆国で過ごし、この散弾銃もアメリカ製らしい。したがって、個人的な恨みの可能性が高いでしょう。最初に行き当たった部屋なので、ここへ忍び込み、カーテンの裏へ隠れた。そして夜十一時過ぎまで、そこにとどまった。その頃、ダグラス氏が部屋へ入ってきた。話し合いがあったとしても、短いものだったでしょう。ダグラス夫人によれば、夫がそばを離れてから数分もしないうちに、銃声を聞いたそうです。」

「蝋燭がそれを示しています」と、ホームズは言った。

「そのとおりです。新しい蝋燭で、半インチ(約一・三センチメートル)も燃えていません。襲われる前に、テーブルへ置いたはずです。そうでなければ、もちろん本人が倒れたとき、蝋燭も落ちていたでしょう。つまり、部屋へ入った瞬間に襲われたのではありません。バーカー氏が来たとき、蝋燭には火がつき、ランプは消えていました。」

「そこまでは明瞭です。」

「では、この線に沿って状況を再現できます。ダグラス氏が部屋へ入る。蝋燭を置く。カーテンの裏から男が現れる。この銃で武装している。そして結婚指輪を要求する――理由は神のみぞ知るところですが、そう考えるほかありません。ダグラス氏は指輪を渡す。それから、冷酷に撃ったのか、格闘の最中だったのか――ダグラスは敷物の上で見つかった金槌をつかんだのかもしれない――犯人はこの恐ろしい方法でダグラスを撃つ。銃と、意味は不明ながら V.V. 341 と記された奇妙なカードを落とし、窓から逃げ、堀を歩いて渡る。ちょうどその瞬間、セシル・バーカーが犯行を発見した。いかがです、ホームズさん?」

「非常に興味深いですが、わずかに説得力を欠きます。」

「しかし、それ以外の説明はもっとひどいのだから、絶対的な馬鹿話とも言い切れんでしょう!」マクドナルドが叫んだ。「誰かがこの男を殺した。そして犯人が誰であれ、別の方法で殺すべきだったと、私は明確に証明できます。あんなふうに退路を断たれるとは、どういうつもりなのです? 音を立てないことだけが逃げ切る望みなのに、散弾銃を使うとはどういうつもりです? さあ、ホームズさん。ホワイト・メイソンさんの説に説得力がないとおっしゃるなら、我々を導く番です。」

この長い議論の間、ホームズは集中して観察し、一言も聞き漏らさなかった。鋭い目を左右へ走らせ、思案に額をしわだらけにしていた。

「仮説を立てるところまで進む前に、もう少し事実が欲しいですね、マク君」と、遺体のそばへひざまずいて言った。「これはひどい! 本当に恐ろしい傷だ。執事を少し呼んでいただけますか? ……エイムズ。ダグラス氏の前腕にある、この非常に珍しい印――円の中に三角形を描いた焼き印――を、何度も見たことがあるそうですね?」

「しばしばございます。」

「その意味について、何か推測を聞いたことは?」

「ございません。」

「押されたときには、ひどい苦痛だったはずです。間違いなく火傷の跡だ。さて、エイムズ。ダグラス氏の顎の端に、小さな絆創膏が貼ってありますね。生前もありましたか?」

「はい。昨日の朝、髭剃りで切られました。」

「以前にも、髭剃りで顔を切ったことは?」

「ここ何年もございませんでした。」

「示唆的だ!」と、ホームズは言った。「もちろん、単なる偶然かもしれない。あるいは、危険を予期する理由があり、神経質になっていたことを示すのかもしれない。昨日の様子に、何か変わったところはありませんでしたか、エイムズ?」

「少し落ち着かず、興奮しておられるように感じました。」

「なるほど! 襲撃は、完全に予想外ではなかったのかもしれない。少しずつ進展しているようですね。マク君、ご自分で質問なさいますか?」

「いや、ホームズさん。あなたに任せたほうがよい。」

「では、このカードへ移りましょう――V.V. 341。粗い厚紙です。館に同じ種類のものはありますか?」

「ないと思います。」

ホームズは書き物机へ歩み寄り、各インク壺から吸取紙へ少量ずつインクをつけた。「この部屋で書かれたものではありません」と、彼は言った。「ここのインクは黒だが、カードのものは紫がかっている。太いペンで書かれているが、ここにあるのは細いペンだ。やはり、別の場所で書かれたのでしょう。この記号に心当たりは、エイムズ?」

「いいえ、まったく。」

「マク君は、どう考えます?」

「何らかの秘密結社を思わせますな。前腕の印も同じです。」

「私もそう考えています」と、ホワイト・メイソンが言った。

「では、それを作業仮説として採用し、難点がどれだけ消えるか見てみましょう。そのような結社の一員が館へ侵入し、ダグラス氏を待ち、この武器で頭をほとんど吹き飛ばし、死体のそばへカードを残してから、堀を歩いて渡り逃げた。カードの存在が新聞で報じられれば、復讐が遂げられたと、結社のほかの者たちに伝わる。全体として筋は通ります。しかし、数ある武器のなかで、なぜこの銃を?」

「まさにそこです。」

「結婚指輪を持ち去ったのは、なぜ?」

「そのとおりです。」

「そして、なぜ逮捕されない? もう二時を過ぎています。夜明け以来、四十マイル(約六十四キロメートル)以内の全警官が、濡れた見知らぬ男を警戒しているのでしょう?」

「そのとおりです、ホームズさん。」

「近くに隠れ穴があるか、着替えを用意していないかぎり、見逃すはずがない。それでも今のところ、実際に見逃している!」

ホームズは窓へ行き、レンズで窓台の血痕を調べていた。「明らかに靴底の跡です。異様に幅が広い。外反足とでも言うべきでしょう。奇妙なのは、泥で汚れたあの隅に残る足跡を、判別できる範囲で見るかぎり、もっと形の整った靴底に思えることです。もっとも、非常に不鮮明ではありますが。脇机の下にあるのは?」

「ダグラス氏のダンベルです」と、エイムズが言った。

「ダンベル――一つしかない。もう一つは?」

「分かりません、ホームズさん。もともと一つだけだったのかもしれません。ここ数か月は、気に留めておりませんでした。」

「ダンベルが一つ――」ホームズは真剣な口調で言った。しかし、その言葉は、扉を鋭く叩く音に遮られた。

背が高く、日に焼け、いかにも有能そうな、きれいに髭を剃った男が、室内をのぞき込んだ。話に聞いていたセシル・バーカーだと、すぐに分かった。人を圧する目が、問いかけるように一同の顔から顔へ、素早く走った。

「相談中に失礼します」と、彼は言った。「しかし、最新の知らせをお聞きになるべきでしょう。」

「逮捕ですか?」

「それほど幸運ではありません。しかし、自転車が見つかりました。男は自転車を置いていったのです。見に来てください。玄関から百ヤード(約九十一メートル)も離れていません。」

馬丁や野次馬が三、四人、馬車道に立ち、常緑樹の茂みから引き出された自転車を眺めていた。よく使い込まれたラッジ・ホイットワースで、かなり長い距離を走ってきたらしく、泥が跳ねている。鞍袋にはスパナと油差しが入っていたが、持ち主を示す手がかりはなかった。

「こうした物に番号をつけ、登録する制度があれば、警察にとって大きな助けになるのですが」と、警部は言った。「だが、手に入ったものに感謝せねばなりません。どこへ行ったか分からなくても、少なくとも、どこから来たかは突き止められそうです。しかし、いったいなぜ、男はこれを置き去りにしたのでしょう? そして、自転車なしで、どうやって逃げたのです? 事件には一筋の光さえ見えてこないようですな、ホームズさん。」

「本当にそうでしょうか?」我が友は考え深げに答えた。「どうかな!」

第五章 劇中の人々

「書斎はもう十分ご覧になりましたか?」と、家の中へ戻ったところでホワイト・メイソンが尋ねた。

「ひとまずはな」と警部が答え、ホームズもうなずいた。

「では、そろそろ屋敷の人たちから話を聞きましょう。エイムズ、食堂を使わせてもらおう。まず君から来て、知っていることを話してくれ。」

執事の供述は簡潔で明瞭であり、その態度からも誠実さが強く感じられた。雇われたのは五年前、ダグラスが初めてバールストンに来たときだという。ダグラス氏はアメリカ合衆国で財を成した裕福な紳士だと聞いていた。親切で思いやりのある雇い主だった――もっとも、エイムズが慣れ親しんだ型の紳士とは、やや違っていたらしい。だが何もかも望みどおりにはいかない。ダグラス氏が何かに怯えている様子を見たことは一度もなく、それどころか、これまで出会ったなかで最も恐れを知らぬ男だった。毎晩跳ね橋を上げさせていたのは、この古い館に伝わる昔ながらの慣習であり、本人も古式を守ることを好んでいたからだという。

ダグラス氏はめったにロンドンへ行かず、村を離れることさえ少なかった。だが事件の前日には、タンブリッジ・ウェルズへ買い物に出かけていた。その日、エイムズは主人がどことなく落ち着かず、気が昂っているのに気づいた。普段にはないほど苛立ち、短気になっていたのである。その晩、エイムズはまだ寝ておらず、屋敷の裏手にある配膳室で銀器を片づけていた。そのとき呼び鈴が激しく鳴った。銃声は聞かなかったが、それも無理はない。配膳室や厨房は屋敷の最も奥にあり、書斎とのあいだには閉ざされた扉がいくつもあり、長い廊下まで横たわっていたからだ。激しい呼び鈴に気づき、家政婦も部屋から出てきた。二人は連れ立って屋敷の表側へ向かった。

階段の下まで来ると、ダグラス夫人が降りてくるのが見えた。いや、急いではいなかった。少なくともエイムズの目には、ひどく取り乱しているようには見えなかったという。夫人が階段の下へ着くのとほぼ同時に、バーカーが書斎から飛び出してきた。そして夫人を押しとどめ、戻るよう懇願した。

「お願いです、部屋へお戻りください!」と彼は叫んだ。「かわいそうに、ジャックは死んでいます! あなたには何もできません。お願いですから、戻ってください!」

階段でしばらく説得された末、ダグラス夫人は引き返した。悲鳴は上げず、声を立てることさえなかった。家政婦のアレン夫人が二階へ連れていき、そのまま寝室に付き添った。エイムズとバーカーは書斎へ戻ったが、室内は警察が見たときとまったく同じ状態だった。その時点では蝋燭は消えており、ランプが燃えていた。二人は窓の外をのぞいたものの、夜はひどく暗く、何も見えず、何の音も聞こえなかった。それから玄関広間へ駆け出し、エイムズが巻き上げ機を回して跳ね橋を下ろした。バーカーは警察を呼びに急いで出ていった。

要点をまとめれば、執事の証言は以上であった。

家政婦アレン夫人の証言も、その範囲では同僚の使用人の話を裏づけるものだった。家政婦の部屋は、エイムズが働いていた配膳室よりも多少、屋敷の表側に近い。寝支度をしていたところ、呼び鈴が激しく鳴ったので気づいたという。夫人は少々耳が遠かった。銃声が聞こえなかったのはそのせいかもしれないが、いずれにせよ書斎はかなり遠かった。呼び鈴が鳴るよりずっと前――少なくとも三十分ほど前に、扉を勢いよく閉めたような音を聞いた記憶はあった。エイムズが屋敷の表へ走ると、夫人も一緒についていった。書斎から、真っ青になって興奮したバーカーが出てくるのを見た。階段を降りてきたダグラス夫人を彼が引き止め、戻るよう必死に頼んだ。夫人も何か答えたが、何と言ったのかまでは聞き取れなかった。

「奥様を二階へ! そばについていてください!」と、バーカーはアレン夫人に言った。

そこで家政婦は夫人を寝室へ連れ戻し、落ち着かせようと努めた。ダグラス夫人はひどく動揺し、全身を震わせていたが、もう一度階下へ行こうとはしなかった。ただ寝間着姿で寝室の暖炉のそばに座り、両手に顔を埋めていた。アレン夫人は夜の大半をそのそばで過ごした。他の使用人たちは全員すでに寝ており、警察が到着する直前まで騒ぎには気づかなかった。寝室が屋敷のいちばん奥にあったため、何か聞こえるはずもなかった。

反対尋問をしても、家政婦が付け加えられたのは嘆きと驚きの言葉ばかりであった。

アレン夫人に続いて、セシル・バーカーが証人として呼ばれた。昨夜の出来事については、すでに警察へ語ったことにほとんど付け加えるものはないという。個人的には、犯人が窓から逃げたと確信していた。窓枠の血痕が、その決定的な証拠だというのである。それに、橋が上がっていた以上、ほかに逃げ道はありえなかった。犯人がどこへ消えたのか、また、あの自転車が本当に犯人のものなら、なぜ乗っていかなかったのかは説明できなかった。濠で溺れた可能性はない。どこも深さ三フィート(約九十一センチ)を超えないからだ。

殺人について、バーカー自身はかなり明確な説を抱いていた。ダグラスは口の堅い男で、生涯のうち決して語ろうとしない時期がいくつかあった。まだ非常に若いころ、アメリカ合衆国へ移住した。そこで大いに成功し、バーカーが初めて出会ったのはカリフォルニア州だった。二人はベニート・キャニオンという土地にある有望な鉱区の共同経営者となった。事業は大成功を収めたが、ダグラスは突然、権利を売り払い、イングランドへ旅立った。当時は妻に先立たれた身だった。その後、バーカーも資産を現金化してロンドンに移り住み、そこで二人は友情を新たにした。

ダグラスは、何らかの危険が頭上に迫っているような印象をバーカーに与えていた。カリフォルニア州を突然去ったことも、イングランドのこれほど静かな土地に家を借りたことも、その危険と関係しているのだろうとバーカーは以前から考えていた。何らかの秘密結社、執念深い組織がダグラスを追っていて、殺すまでは決して手を休めないのではないか。ダグラスが漏らしたいくつかの言葉から、そう思うようになったという。ただし、それがどんな結社なのか、なぜ敵に回すことになったのかは、一度も聞かされなかった。死体のそばに置かれたカードの文句も、その秘密結社に関係しているとしか考えられなかった。

「カリフォルニア州では、ダグラスとどれくらい一緒にいた?」とマクドナルド警部が尋ねた。

「全部で五年です。」

「独身だったと言ったな?」

「妻に先立たれていました。」

「最初の奥さんがどこの出身か、聞いたことは?」

「いいえ。ドイツ系だと言っていたのは覚えていますし、肖像画も見ました。とても美しい女性でした。私が彼と出会う前年に、腸チフスで亡くなったそうです。」

「彼の過去と、アメリカ合衆国の特定の地域とを結びつけるものはないか?」

「シカゴの話なら聞いたことがあります。あの街をよく知っていて、そこで働いたこともあったそうです。石炭や鉄鉱の産地について話すのも聞きました。若いころはずいぶん各地を旅したようです。」

「政治活動に関わっていたのか? 秘密結社は政治に関係するものか?」

「いいえ。政治にはまるで関心がありませんでした。」

「犯罪組織だったと考える理由は?」

「とんでもない。彼ほどまっすぐな男には、生涯で一度も会ったことがありません。」

「カリフォルニア州での暮らしに、何か妙な点はなかったか?」

「山の鉱区にこもって働くのを何より好んでいました。避けられるかぎり、ほかの人間がいる場所へは行こうとしませんでした。誰かに狙われているのではないかと最初に思ったのも、それが理由です。それから、あまりに突然ヨーロッパへ旅立ったので、やはり間違いないと確信しました。何か警告を受けたのだと思います。彼が去って一週間もしないうちに、半ダースほどの男たちが訪ねてきました。」

「どんな男たちだ?」

「見るからに筋の悪い連中でした。鉱区まで来て、彼がどこにいるのか訊いたんです。ヨーロッパへ行った、居場所は知らないと答えました。ろくな目的で探していないことは、一目でわかりました。」

「その男たちはアメリカ人か――カリフォルニア州の人間か?」

「カリフォルニア州の者かどうかはわかりません。アメリカ人なのは確かです。ただ、鉱夫ではありませんでした。何者かはわかりませんし、帰ってくれたときには心底ほっとしました。」

「それが六年前か?」

「七年近く前です。」

「その前に、カリフォルニア州で五年間一緒にいた。つまり、この因縁は少なくとも十一年前にまで遡るわけだな?」

「そうなります。」

「それほど長く執拗に追われ続けたのなら、よほど深刻な争いだったに違いない。生半可な理由で生じる恨みではないだろう。」

「彼の生涯すべてに影を落としていたのだと思います。完全に忘れることは、一度もできなかったのでしょう。」

「だが、何らかの危険が迫っていて、その正体もわかっているなら、普通は警察に保護を求めるものではないか?」

「警察にも防げない危険だったのかもしれません。知っておいていただきたいことが一つあります。彼はいつも武装していました。拳銃をポケットから離すことはありませんでした。ところが昨夜にかぎって、運悪く寝間着姿だったため、寝室に置いてきてしまった。橋さえ上がれば安全だと思っていたのでしょう。」

「日付をもう少しはっきりさせたい」とマクドナルドが言った。「ダグラスがカリフォルニア州を離れてから、丸六年は経っている。その翌年、君も後を追ったのだな?」

「そのとおりです。」

「そして彼は結婚して五年になる。君が帰国したのは、結婚したころということになるな。」

「約一か月前です。結婚式では介添人を務めました。」

「ダグラス夫人とは、結婚前からの知り合いか?」

「いいえ。私は十年間、イングランドを離れていました。」

「しかし結婚後は、夫人ともずいぶん親しくしてきた。」

バーカーは険しい目で刑事を見た。「ずいぶん親しくしてきたのは、あくまでとです」と答えた。「夫人に会うことが多かったとしても、男の家を訪ねて、その妻と知り合わずにいることなどできないからです。もし何か関係があるとお考えなら――」

「何も決めつけてはいない、バーカーさん。この事件に関わりうることは、すべて調べる義務がある。ただし、侮辱するつもりはない。」

「質問によっては、それ自体が侮辱です」とバーカーは怒りを露わにした。

「われわれが求めているのは事実だけだ。真相が明らかになることは、あなたにも、ほかの皆にも利益になる。ダグラス氏は、あなたと妻との親交を全面的に認めていたのか?」

バーカーはさらに青ざめ、大きく力強い両手を痙攣するように組み合わせた。「そんなことを訊く権利はない!」と叫んだ。「あなたが調べている事件と、何の関係があるんです?」

「質問を繰り返さねばならない。」

「なら、回答を拒否します。」

「拒否することはできる。だが、その拒否自体が答えになることは承知してもらいたい。隠すことがなければ、答えを拒む理由もないからだ。」

バーカーはしばし厳しい顔つきで立ち尽くし、濃い黒眉を寄せて考え込んだ。やがて顔を上げ、微笑んだ。「まあ、結局のところ、皆さんは当然の務めを果たしているだけなのでしょう。それを妨げる権利は私にはありません。ただ一つ、この件でダグラス夫人を苦しめないでいただきたい。今でもすでに、十分すぎるほど辛い思いをしているのです。かわいそうなダグラスには、この世でたった一つだけ欠点がありました。嫉妬深いことです。彼は私を慕ってくれていた――友人をあれほど大切にする男はいません。そして妻を心から愛していました。私がここへ来るのを喜び、しょっちゅう呼び寄せてくれた。それなのに、夫人と私が話していたり、気が合うように見えたりすると、嫉妬の波に呑まれたようになって、たちまち我を失い、途方もないことを口走るのです。そのせいで、もう二度と来ないと誓ったことも一度や二度ではありません。すると彼が、後悔と懇願に満ちた手紙を送ってくるので、来ないわけにはいかなくなる。しかし皆さん、これが私の最後の言葉になろうとも断言します。これほど愛情深く貞淑な妻を持った男はいません――そして私ほど忠実な友人もいなかったと!」

熱情と真心のこもった言葉だった。それでもマクドナルド警部は、この話題を打ち切ろうとはしなかった。

「ご存じだろう」と彼は言った。「死者の指から結婚指輪が抜き取られていた。」

「そう見えるようですね」とバーカーは答えた。

「『そう見える』とはどういう意味だ? 事実として知っているはずだ。」

バーカーは当惑し、答えあぐねているようだった。「『そう見える』と言ったのは、本人が指輪を外した可能性も考えられる、という意味です。」

「誰が外したにせよ、指輪がなくなっているという事実だけで、結婚とこの悲劇とのあいだに何らかの関係があると誰しも考えるのではないか?」

バーカーは広い肩をすくめた。「それが何を意味するのか、私にはわかりません」と答えた。「しかし、もしあなたが、それによって夫人の名誉に何らかの疑いがかかると言いたいのなら――」一瞬、両眼が燃え上がった。だが明らかに懸命な努力をして感情を抑え込み、「見当違いも甚だしい。ただそれだけです。」

「今のところ、ほかに訊くことはない」とマクドナルドは冷ややかに言った。

「小さな点が一つあります」とシャーロック・ホームズが口を挟んだ。「あなたが部屋に入ったとき、灯りはテーブルの蝋燭一本だけだったのですね?」

「ええ、そうです。」

「その明かりで、何か恐ろしいことが起きたとわかった?」

「そのとおりです。」

「すぐに呼び鈴を鳴らして助けを呼んだ?」

「ええ。」

「そして人はすぐに来た?」

「一分かそこらで。」

「ところが彼らが来たときには、蝋燭は消され、ランプに火がついていた。これは実に奇妙です。」

バーカーはまたも迷いの色を見せた。「奇妙とは思いませんが、ホームズさん」と、間を置いて答えた。「蝋燭はひどく暗かった。まず、もっと明るい灯りが欲しいと思ったんです。ランプがテーブルにあったので、それに火をつけました。」

「そして蝋燭を吹き消した?」

「そのとおりです。」

ホームズはそれ以上質問しなかった。バーカーは私たち一人ひとりを意図的に見回した。その視線には、私にはどこか挑戦的なものが感じられた。そして身を翻し、部屋を出ていった。

マクドナルド警部は、ダグラス夫人の部屋まで出向く旨を書いた紙を届けさせた。だが夫人は、食堂へ行くと返事を寄越した。やがて現れたのは、背が高く美しい三十歳の女性だった。驚くほど慎み深く、冷静で、私が想像していた悲嘆に暮れた取り乱した姿とはまるで違う。たしかに顔は青ざめ、強い衝撃に耐えた者のようにやつれていた。しかし物腰は落ち着き、テーブルの端に置いた形のよい手も、私の手と同じほどしっかりしていた。悲しげですがるような瞳が、妙に探るような色を帯びながら、私たちのあいだを順に行き来した。その問いかける視線は、突然、端的な言葉へと変わった。

「もう何かわかりましたか?」

その問いに込められていたのは、希望よりもむしろ恐れではなかったか。そう思ったのは、私の気のせいだろうか。

「可能なかぎり、あらゆる手を尽くしております、ダグラス夫人」と警部は答えた。「一つとしておろそかにはいたしません。どうぞご安心を。」

「費用は惜しまないでください」と夫人は生気のない平坦な声で言った。「できるかぎりのことをしていただきたいのです。」

「事件の解明に役立つことを、何か教えていただけませんか?」

「おそらく何も。でも、知っていることならすべてお話しします。」

「セシル・バーカーさんから、実際にはご覧になっていない――つまり、事件が起きた部屋には一度も入っていないと伺いました。」

「はい。階段で引き止められました。部屋へ戻ってくれと懇願されたのです。」

「なるほど。銃声を聞き、すぐに階下へ向かったのですね?」

「寝間着を羽織ってから、降りていきました。」

「銃声を聞いてから、階段でバーカーさんに止められるまで、どれくらい経っていました?」

「二分ほどだったかもしれません。あのようなときに時間を測るのは難しいものです。彼は先へ行かないでくれと必死に頼み、私には何もできないと言いました。それから家政婦のアレン夫人に二階へ連れ戻されました。すべてが恐ろしい悪夢のようでした。」

「銃声を聞くまで、ご主人がどれくらい階下にいたのか見当はつきますか?」

「いいえ、わかりません。衣装部屋から出ていきましたが、出る音は聞こえませんでした。火事を恐れて、毎晩屋敷を見回っていたのです。あの人が怖がるのを見たことがあるのは、火事だけでした。」

「まさにそこを伺いたかったのです、ダグラス夫人。ご主人と知り合ったのは、イングランドへ来てからですね?」

「はい。結婚して五年になります。」

「アメリカ合衆国で起きたことで、後々ご主人に危険をもたらしかねないような話を、本人から聞いたことはありますか?」

ダグラス夫人は真剣に考えてから答えた。「はい」と、ようやく口を開いた。「何らかの危険が、いつもあの人の身に迫っていると感じていました。でも、そのことを私と話そうとはしませんでした。私を信頼していなかったわけではありません――私たちのあいだには、この上ない愛情と信頼がありました――ただ私を不安にさせまいとしていたのです。すべて知れば、私はいつまでも思い悩むだろうと考え、だから黙っていました。」

「では、どうして危険があるとわかったのです?」

ダグラス夫人の顔に、ふと微笑が差した。「夫が一生秘密を抱えていて、愛する妻が何も疑わずにいられるものでしょうか? アメリカ合衆国での暮らしの一部を、決して話したがらなかったことからわかりました。ある種の用心をしていたことからも。ふと漏らす言葉からも。見知らぬ人が不意に現れたときの目つきからも。あの人には強大な敵がいて、敵が自分を追っており、常に警戒しなければならないと信じている――私はそう確信していました。あまりに確信していたので、帰宅が予定より遅くなるたび、何年ものあいだ恐怖に震えてきたほどです。」

「差し支えなければ」とホームズが訊いた。「どのような言葉が、あなたの注意を引いたのでしょう?」

「恐怖の谷」と夫人は答えた。「私が問いただすと、あの人はそう言うことがありました。『私は恐怖の谷にいた。今もまだ、そこから抜け出してはいない』――いつもより深刻そうな顔をしているとき、私は尋ねました。『私たちは永遠に恐怖の谷から出られないの?』するとあの人は、『ときどき、この先も決して出られないのではないかと思う』と答えました。」

「もちろん、恐怖の谷とは何か訊いたのでしょう?」

「ええ。でも、あの人はひどく険しい顔になり、首を振るだけでした。『私たちの一人が、その影の中にいたというだけでも十分すぎるほど恐ろしい。神よ、どうかその影が君にまで及びませんように!』と言いました。あの人が実際に暮らし、何か恐ろしい目に遭った谷なのだと確信しています。でも、それ以上のことはお話しできません。」

「名前を口にしたことは一度も?」

「あります。三年前、狩猟中の事故で熱を出し、譫妄状態になったことがありました。そのとき、何度も口にした名前があったのを覚えています。怒りと、ある種の恐怖を込めて呼んでいました。マクギンティ――ボディマスター・マクギンティです。回復したあと、ボディマスター・マクギンティとは誰なのか、いったい誰の肉体を支配しているのかと訊きました。すると笑って、『ありがたいことに、私の肉体ではない!』と答えただけでした。それ以上は何も聞き出せませんでした。でも、ボディマスター・マクギンティと恐怖の谷には、何らかのつながりがあります。」

「もう一点あります」とマクドナルド警部が言った。「あなたはロンドンの下宿屋でダグラス氏と出会い、そこで婚約されたのですね? 結婚には、何か恋愛上の劇的な事情や、秘密、謎めいた点がありましたか?」

「恋愛上の物語ならありました。恋にはいつでも物語があるものです。でも、謎めいたことは何もありません。」

「彼に恋敵は?」

「いいえ。私は誰ともお付き合いしていませんでした。」

「ご主人の結婚指輪が抜き取られていたことは、すでにお聞きでしょう。何か思い当たることはありませんか? 過去の敵がご主人を突き止め、この犯行に及んだと仮定しましょう。その敵が結婚指輪を持ち去る理由として、何が考えられますか?」

ほんの一瞬、夫人の唇にごく淡い微笑の影がよぎった――そう断言できるように、私には思えた。

ほんの一瞬、夫人の唇にごく淡い微笑の影がよぎった――そう断言できるように、私には思えた。

「本当にわかりません」と夫人は答えた。「たしかに、あまりにも異様なことです。」

「では、これ以上お引き止めはいたしません。このような折にお手間を取らせ、申し訳ありませんでした」と警部が言った。「ほかにも伺うことが出てくるでしょうが、その都度お尋ねすることにします。」

夫人は立ち上がった。そのとき私はまた、先ほど私たちを見渡したのと同じ、鋭く問いかけるような視線を感じた。「私の証言から、あなた方は何を感じ取ったのですか?」

その問いは、実際に声に出されたも同然だった。夫人は一礼すると、流れるような足取りで部屋を出ていった。

「美しい女性だ――実に美しい」と、扉が閉まったあと、マクドナルドは考え深げに言った。「バーカーという男が、頻繁にここへ来ていたのは間違いない。女に好かれそうな男でもある。死んだ男が嫉妬深かったと本人も認めているし、嫉妬するだけの理由があったのかどうか、いちばんよく知っているのも本人だろう。それに、あの結婚指輪だ。あれは無視できない。死人の指から結婚指輪をむしり取る男――どう思われます、ホームズさん?」

友人は両手で頭を抱え、深い思索に沈んで座っていた。やがて立ち上がり、呼び鈴を鳴らした。「エイムズ」と、執事が入ってくるなり言った。「セシル・バーカーさんは今どこに?」

「見てまいります。」

すぐ戻ってきて、バーカーは庭にいると報告した。

「エイムズ、昨夜、書斎でバーカーさんと合流したとき、彼が何を履いていたか覚えているか?」

「はい、ホームズさん。室内履きでした。警察を呼びに行くとき、私が長靴を持ってきました。」

「その室内履きは今どこに?」

「玄関広間の椅子の下に、まだ置いてあります。」

「よろしい、エイムズ。どの足跡がバーカーさんのもので、どれが外部の者のものか知るのは、当然ながら重要だからね。」

「はい。室内履きには血がついていたのを覚えております。私の靴にもついていました。」

「あの部屋の状態を考えれば、当然だ。よろしい、エイムズ。必要になったら呼ぶよ。」

数分後、私たちは書斎にいた。ホームズは玄関広間から室内履きを持ってきていた。エイムズの言葉どおり、左右どちらの底にも黒ずんだ血がついていた。

「妙だ!」窓の光の中に立ち、それを念入りに調べながらホームズが呟いた。「実に妙だ!」

猫のように素早く身を屈めると、室内履きを窓敷居の血痕へ重ねた。ぴたりと一致した。ホームズは黙ったまま、仲間たちに微笑みかけた。

警部の顔は興奮で一変した。生来の訛りが、鉄柵を棒で叩くように激しく響いた。

「まったく!」と彼は叫んだ。「疑いようがない! 窓の跡はバーカー自身がつけたんだ。どんな長靴の跡よりずっと幅広い。あなたが平べったい足跡だと言ったのを覚えているが、これが答えだ。しかし、何の企みです、ホームズさん――いったい何を企んでいる?」

「ああ、何の企みだろうね?」と友人は考え深げに繰り返した。

ホワイト・メイソンは含み笑いをし、職業的な満足感に浸って太った両手を擦り合わせた。「とんでもない大事件だと言ったでしょう!」と叫んだ。「いやはや、本当にとんでもない!」

第六章 差し始めた光

三人の探偵には細部まで調べるべきことが山ほどあったので、私は一人、村の宿にある質素な部屋へ戻った。だがその前に、館の脇に広がる古風で風変わりな庭を散歩した。奇妙な形に刈り込まれた、樹齢の高いイチイの列が周囲を取り巻いている。その内側には美しい芝生が広がり、中央には古い日時計が据えられていた。全体に心を鎮める穏やかさがあり、やや張り詰めていた私の神経にはありがたかった。

これほど深い平穏に包まれていると、暗い書斎の床に血まみれの死体が手足を投げ出していたことなど忘れられた。思い出しても、異様な悪夢の一場面にしか感じられなかった。ところが庭を歩き、その優しい慰めに心を浸そうとしていたとき、奇妙な出来事が起きた。私はたちまち悲劇へ引き戻され、不吉な印象を胸に刻まれることとなった。

すでに述べたように、庭はイチイの装飾樹に囲まれていた。館から最も遠い端では、それが密集して切れ目のない生け垣となっている。その生け垣の向こう側、館の方角から近づく者の目には触れない場所に、石の腰掛けがあった。そこへ近づいたとき、話し声が聞こえた。男の低い声で何か言い、それに女のさざ波のような笑い声が応えている。

次の瞬間、生け垣の端を回った私は、ダグラス夫人とバーカーの姿を目にした。二人はまだ私の存在に気づいていなかった。夫人の様子を見て、私は衝撃を受けた。食堂では慎ましく、控えめだった。ところが今は、悲嘆のそぶりなどすっかり消えている。生きる喜びに瞳を輝かせ、連れの言葉を面白がった名残で、まだ顔をほころばせていた。バーカーは前屈みになり、両手を組んで前腕を膝に置き、大胆で端整な顔に同じような笑みを浮かべていた。ほんの一瞬で――だが、わずかに一瞬遅れて――私の姿が見えると、二人は厳粛な仮面をかぶり直した。急いで二言三言を交わすと、バーカーが立ち上がり、こちらへ歩いてきた。

「失礼ですが」と彼は言った。「ワトソン博士でいらっしゃいますか?」

私は冷ややかに一礼した。二人を目にしてどんな印象を受けたのか、その態度にはっきり表れていたことだろう。

「そうではないかと思いました。シャーロック・ホームズさんとのご交友は、あまりにも有名ですから。少しこちらへ来て、ダグラス夫人とお話しいただけませんか?」

私は険しい顔のまま、後についていった。脳裏には、床に横たわる無残な死体が鮮明に浮かんでいた。悲劇からまだ数時間しか経っていないというのに、妻と親友が、故人の庭の茂みの陰で笑い合っているのだ。私はよそよそしく夫人に挨拶した。食堂では、その悲しみに心を寄せていた。だが今、すがるような視線を向けられても、私の目には何の反応も浮かばなかった。

「私を冷酷で、薄情な女だとお思いでしょう」と夫人が言った。

私は肩をすくめた。「私には関係のないことです。」

「いつかは、私を正しく見てくださるかもしれません。事情さえわかっていただければ――」

「ワトソン博士に理解してもらう必要はありません」とバーカーが素早く遮った。「ご本人がおっしゃったとおり、博士には何の関係もないことです。」

「まさにそのとおり」と私は言った。「では、散歩に戻らせていただきます。」

「少しだけ、ワトソン博士」と夫人がすがるような声で呼び止めた。「世界中の誰よりも、あなたこそ確かな答えをお持ちの質問が一つあります。そして、その答え次第で私の身に大きな違いが生じるかもしれません。あなたほどホームズさんを、そして警察との関係をよくご存じの方はいません。仮に、秘密としてある事情を打ち明けられた場合、ホームズさんは必ずそれを刑事たちへ伝えなければならないのでしょうか?」

「そう、それです」とバーカーが勢い込んだ。「彼は独自に動いているのか、それとも警察と完全に一体なのですか?」

「そのようなことを私が論じてよいものか、正直なところわかりません。」

「お願いします――どうかお願いします、ワトソン博士! その点を教えていただければ、私たちを――いいえ、私を大いに助けることになるのです。」

夫人の声には実に真摯な響きがあったので、その瞬間、私は先ほどの浮ついた振る舞いを忘れ、望みに応えてやりたい気持ちだけになった。

「ホームズ氏は独立した調査者です」と私は答えた。「誰の指図も受けず、自らの判断に従って行動します。同時に、同じ事件を捜査する官憲に対して当然ながら義理を感じてもいますから、犯人を裁きへ導く助けになる事実を隠すことはないでしょう。それ以上は何も申し上げられません。さらに詳しくお知りになりたいなら、ホームズ氏本人にお尋ねください。」

そう言って帽子を上げ、私はその場を離れた。二人はなお、生け垣の陰の腰掛けに座っていた。反対側の端を回ったところで振り返ると、まだひどく真剣に話し合っている。私の後ろ姿を見つめていたことからして、先ほどの会話が議題なのは明らかだった。

「私はあの二人から秘密を打ち明けてもらいたくなどないね」と、話を聞いたホームズは言った。彼は午後いっぱいをバールストン館で二人の同僚との協議に費やし、五時ごろ、私が注文しておいた軽い夕食を猛烈な勢いで平らげに戻ってきたところだった。「秘密は御免だよ、ワトソン。共謀と殺人で逮捕ということになれば、たいへん厄介だからね。」

「そこまで行くと思うのか?」

ホームズは、ことのほか上機嫌で快活だった。「親愛なるワトソン君、この四個目の卵を片づけたら、事件の全体像を君に示す用意が整う。謎を解き明かしたとは言わない――それにはほど遠い――しかし、なくなったダンベルの行方さえ突き止めれば――」

「ダンベルだって!」

「おやおや、ワトソン。この事件すべてが、消えたダンベルにかかっていると、まだ見抜いていなかったのかね? まあまあ、落ち込むことはない。ここだけの話、マック警部も、立派な地元の同業者も、この事実の圧倒的な重要性を理解してはいないと思う。ダンベルが一個だよ、ワトソン! 一個のダンベルで鍛える運動家を考えてみたまえ! 体の片側だけが発達し、脊柱が湾曲する危険が目前に迫る姿を想像したまえ。由々しきことだ、ワトソン。実に由々しきことだ!」

口いっぱいにトーストを頬張り、いたずらっぽく瞳を輝かせながら、私が思考の迷路でもがく様子を眺めている。その旺盛な食欲を目にしただけで、成功を確信できた。解けぬ難問に思考を焦がし、細く鋭い顔立ちが、精神の完全な集中による禁欲生活でいっそう痩せ細っていったとき、食事など念頭にないまま幾日も幾夜も過ごした姿を、私ははっきり覚えていたからだ。やがてパイプに火をつけると、古い村宿の暖炉脇に腰を下ろし、事件についてゆっくり、とりとめなく語り始めた。それは熟慮した見解を述べるというより、声に出して考えているようだった。

「嘘だよ、ワトソン――途方もなく大きく、あからさまで、妥協の余地もない、これ見よがしの大嘘――それが入口でわれわれを待ち構えている! 出発点はそこだ。バーカーが語った話は、すべて嘘だ。しかし、その話をダグラス夫人も裏づけている。したがって夫人も嘘をついている。二人とも嘘をつき、共謀している。そこで問題は明確になった。なぜ嘘をつくのか、必死に隠そうとしている真実は何なのか? さあワトソン、君と私で嘘の裏側へ回り込み、真実を組み立て直してみよう。

「なぜ嘘だとわかるのか? 到底事実ではありえない、稚拙な作り話だからだ。考えてみたまえ! 聞かされた話によれば、犯人には殺人後、一分も時間がなかった。その間に、別の指輪の下にあった結婚指輪を死者の指から抜き、外側の指輪を元へ戻し――そんなことを犯人がする理由はまずない――あの奇妙なカードを死体のそばに置いたことになる。明らかに不可能だ。

「殺す前に指輪を外させた可能性もある、と君は反論するかもしれない――もっとも、君の判断力を高く評価している私としては、そんな反論をするとは思えないがね、ワトソン。蝋燭が点けられて間もなかったという事実から、長い話し合いはなかったとわかる。聞くところによれば恐れを知らぬ性格のダグラスが、突然要求されて結婚指輪を差し出す男だろうか? そもそも、いかなる場合であれ指輪を差し出す姿を想像できるかね? できないよ、ワトソン。犯人はランプを点けたまま、死者としばらく二人きりでいた。これは間違いない。

「だが死因は、どう見ても銃撃だった。したがって発砲は、聞かされた時刻より前でなければならない。ところが、そのような音を聞き違えるはずはない。つまり銃声を聞いた二人――バーカーとダグラス夫人――が意図的に共謀したとしか考えられない。そのうえ、警察を誤った方向へ導くため、窓敷居の血痕をバーカーが故意につけたと証明できるのだから、彼への疑いはいよいよ深まると認めざるをえないだろう。

「次に考えるべきは、殺人が実際には何時に起きたかだ。十時半までは使用人が屋敷内を動き回っていた。したがって、それ以前ではありえない。十時四十五分には、配膳室にいたエイムズを除き、全員が自室へ戻っていた。今日の午後、君が別れたあとでいくつか実験したのだが、すべての扉を閉めると、マクドナルドが書斎でどれほど音を立てても、配膳室にいる私の耳には届かなかった。

「しかし、家政婦の部屋では事情が違う。廊下をそこまで奥へ行った場所ではなく、書斎でかなり大声を出せば、声がかすかに聞こえた。散弾銃は、ごく至近距離で撃つと銃声がある程度抑えられる。今回がまさにそうだったのは疑いない。それほど大きな音ではなかっただろうが、それでも夜の静けさの中なら、アレン夫人の部屋まで容易に届いたはずだ。本人も言ったように、いくらか耳が遠い。だがそれでも、警報が鳴る三十分前に、扉を強く閉めるような音を聞いたと証言している。警報の三十分前なら、十時四十五分だ。あれは銃声であり、その瞬間こそ実際に殺人が起きた時刻だと、私は確信している。

「それが正しいなら、次に解明すべきことがある。バーカーとダグラス夫人が実際の殺人犯ではないとして、銃声を聞いて階下へ駆けつけた十時四十五分から、呼び鈴を鳴らして使用人を呼んだ十一時十五分まで、二人はいったい何をしていたのか。何をしていた? なぜすぐ警報を発しなかった? いまわれわれの前にあるのは、その疑問だ。答えが出れば、謎の解明へ確実に一歩近づくだろう。」

「私も確信しているよ」と私は言った。「あの二人のあいだには何らかの了解がある。夫が殺されてから数時間しか経っていないのに、冗談を聞いて笑っていられるとは、よほど薄情な女に違いない。」

「まさにそうだ。本人の供述だけを見ても、妻としての姿は感心できるものではない。君も知ってのとおり、私は君ほど女性全般を無条件に賛美してはいない。だが人生経験から言えば、夫を少しでも大切に思う妻なら、男に一言止められた程度で、夫の死体へ向かうのを諦めはしない。もし私が結婚することがあれば、ワトソン、わずか数ヤード先に私の死体があるというのに、家政婦に連れ去られて平気でいるような妻にはならぬ程度の感情を、せめて抱かせたいものだ。演出がまずかった。通常なら女が上げる嘆きの叫びがまったくないことには、どんな駆け出しの捜査官でも気づくはずだ。ほかに何もなくとも、この一点だけで、私なら事前に打ち合わせた共謀を疑う。」

「では、バーカーとダグラス夫人が殺人犯だと、はっきり考えているのか?」

「君の質問は恐ろしいほど直截だね、ワトソン」とホームズは、パイプを私に向けて振った。「弾丸のように飛んでくる。ダグラス夫人とバーカーは殺人の真相を知り、それを隠そうと共謀している――そういう問いなら、心から断言できる。間違いない。だが、さらに踏み込んだ危険な命題となると、そこまで明白ではない。しばし、それを阻む難点について考えてみよう。

「仮に、この二人が不義の愛で結ばれ、邪魔な男を排除しようと決意したとする。これは大胆な仮定だ。使用人その他に慎重に聞き込んでも、それを裏づける話は一つも得られなかった。それどころか、ダグラス夫妻が深く愛し合っていたことを示す証言が数多くある。」

「それだけは真実とは思えない」と私は言った。庭で見た、美しく微笑む顔を思い出していた。

「まあ、少なくとも周囲にはそう見せていた。ともかく、二人が並外れて狡猾で、その点について全員を欺き、夫殺しを企てたと仮定しよう。たまたま、その夫の身には何らかの危険が迫っていた――」

「そう言っているのも、あの二人だけだ。」

ホームズは考え込む顔になった。「なるほど、ワトソン。二人が初めから語ったことは、すべて嘘だという説を組み立てているのだね。君の考えでは、隠れた脅威も、秘密結社も、恐怖の谷も、何とかいうボスも、何一つ存在しなかった。なるほど、思い切った包括的仮説だ。では、それがどこへ行き着くか見てみよう。二人は犯行を説明するため、この説をでっち上げる。それに信憑性を持たせるため、外部の犯人がいた証拠として、公園に自転車を置く。窓敷居の血痕も同じ印象を与える。死体の上のカードも同様で、館内で用意した可能性がある。すべて君の仮説には合うよ、ワトソン。ところがここで、どうしても所定の位置に収まらない、角張った厄介な事実が現れる。凶器に、なぜよりにもよって銃身を切り詰めた散弾銃を――しかもアメリカ製のものを選んだ? 銃声を聞いて誰も駆けつけないと、どうして確信できた? アレン夫人が扉の音を確かめに出てこなかったのは、たまたまにすぎない。君の言う共犯の二人は、なぜこんなことをしたのだ、ワトソン?」

「説明できないことは認めるよ。」

「それに、女と愛人が夫殺しを企むとして、死後、これ見よがしに結婚指輪を外し、自分たちの罪を宣伝するだろうか? そんなことがありそうに思えるかね、ワトソン?」

「いや、思えない。」

「もう一つ。外に自転車を隠しておくことを思いついたとして、実行する価値があると思うだろうか? どんな鈍い刑事でも、逃亡者が逃げるために真っ先に必要とするのが自転車なのだから、これは明らかな目くらましだと言うはずだ。」

「説明は思いつかない。」

「それでも、人間の知恵で説明を思いつけぬ出来事の組み合わせなど、あってはならない。これが真実だと主張するつもりはなく、単なる頭の体操として、考えられる筋道を示してみよう。認めるが、これは想像にすぎない。だが、想像が真実の母となることは、いかに多いことか。

「ダグラスという男の人生に、後ろ暗い秘密――本当に恥ずべき秘密があったと仮定しよう。そのため、復讐者とでも呼ぶべき外部の人間に殺された。この復讐者は、私にもまだ説明できぬ理由から、死者の結婚指輪を持ち去った。怨恨は最初の結婚にまで遡る可能性があり、それに関連して指輪が持ち去られたのかもしれない。

「復讐者が逃げる前に、バーカーと夫人が部屋へ来た。犯人は、逮捕しようとすれば恐ろしい醜聞が世間へ公表されると二人に信じ込ませた。二人は納得し、犯人を逃がすほうを選んだ。そのため、おそらく二人は、まったく音を立てずに下ろせる橋を下ろし、あとでまた上げた。犯人は逃走したが、何らかの理由で、自転車より徒歩のほうが安全だと考えた。そこで自分が十分遠くへ逃げるまで発見されぬ場所に、自転車を残した。ここまでは、可能性の範囲内だろう?」

「まあ、たしかに不可能ではない」と私はいささか留保しつつ答えた。

「ワトソン、何が起きたにせよ、並外れて奇妙な出来事だったことは忘れてはならない。さて、仮定の話を続けよう。犯人が去ったあと、二人は――必ずしも不義の二人ではない――自分たちが犯行を行ったのでも、黙認したのでもないと証明するのが難しい立場に陥ったと気づく。そこで急いで、かなり不器用に取り繕った。逃亡者が窓から逃げたように見せるため、バーカーが血のついた室内履きで窓敷居に跡をつけた。銃声を聞いたはずの人間は、明らかにこの二人だ。そこで本来ならしたであろうとおり警報を鳴らした――ただし、事件からたっぷり三十分後にね。」

「それをどうやって証明するつもりだ?」

「外部の人間がいたなら、追跡して捕らえられるかもしれない。それが何より有効な証明になる。だが捕まらなくとも――科学の手段は、まだ尽きたわけではない。あの書斎で一晩、一人きりで過ごせば、大いに役立つと思う。」

「一晩、一人で!」

「これから行くつもりだ。立派なエイムズと話をつけてある。彼はバーカーを全面的に信頼しているわけではない。あの部屋に座り、その空気が私に霊感を与えるか試してみよう。私は土地に宿る霊気を信じているのだよ。笑うのかね、友ワトソン。まあ見ていよう。それはそうと、君の大きな傘があったね?」

「ここにある。」

「では、よければ借りよう。」

「もちろんだが――ひどく頼りない武器だぞ! 危険があるのなら――」

「深刻な危険はないよ、親愛なるワトソン。もしあれば、当然君に助力を頼む。だが傘は借りていく。今はただ、タンブリッジ・ウェルズへ行った同僚たちの帰りを待っているところだ。自転車の持ち主らしい人物を探しているからね。」

マクドナルド警部とホワイト・メイソンが遠征から戻ったのは、日が暮れてからだった。二人は意気揚々と現れ、捜査が大きく進展したと報告した。

「いや、外部の人間など本当にいたのかと疑っていたことは認めますよ」とマクドナルドは言った。「だが、その疑いももう消えた。自転車の身元が割れ、男の人相もわかった。目的地へ向かって大きく前進したわけです。」

「終わりの始まりのように聞こえる」とホームズは言った。「お二人に心からお祝いを申し上げるよ。」

「まず、前日にタンブリッジ・ウェルズへ行って以来、ダグラス氏が落ち着かない様子だったという事実から始めました。つまりタンブリッジ・ウェルズで、何らかの危険に気づいたということになる。したがって、自転車で来た男がいるなら、タンブリッジ・ウェルズから来た可能性が高い。われわれは自転車を持っていき、各ホテルで見せました。するとイーグル・コマーシャルの支配人がすぐ、二日前から宿泊していたハーグレイヴという男のものだと確認しました。所持品はこの自転車と、小さな旅行鞄だけ。宿帳にはロンドンから来たと書いてありましたが、住所は記していなかった。旅行鞄はロンドン製で、中身も英国の品でした。しかし本人がアメリカ人なのは間違いありません。」

「いやはや」とホームズは嬉しそうに言った。「私が友人と座って空論を紡いでいるあいだに、実に堅実な仕事を成し遂げたのだね! 実践的であることの教訓だよ、マック君。」

「ええ、まさにそうです、ホームズさん」と警部は満足げに答えた。

「だが、すべて君の説にも合うかもしれない」と私は言った。

「そうかもしれないし、違うかもしれない。だが、最後まで聞こう、マック君。その男の身元を示すものは何もなかったのか?」

「ほとんど何も。身元が割れないよう、細心の注意を払っていたことが明らかなほどです。書類も手紙もなく、衣服にも印はない。寝室のテーブルには、この州の自転車用地図が置かれていました。昨日の朝、朝食後に自転車でホテルを出て、それきり、われわれが問い合わせるまで何の便りもありませんでした。」

「そこがわからないんですよ、ホームズさん」とホワイト・メイソンが言った。「大騒ぎになって追われたくなかったのなら、何食わぬ顔でホテルへ戻り、無害な旅行客として滞在すればよかったはずです。このままではホテルの支配人が警察へ届け出て、失踪と殺人が結びつけられると本人にもわかるでしょう。」

「普通はそう考える。だが少なくとも現在まで捕まっていない以上、今のところその判断は正しかったのだろう。それで、人相は?」

マクドナルドは手帳を開いた。「聞き出せたのはこれだけです。誰も特に注意して観察してはいなかったようですが、ポーターと事務員と客室係は、だいたいこの特徴で一致しています。身長は五フィート九インチ(約百七十五センチ)、年齢は五十歳前後。髪にはやや白いものが混じり、口髭は灰色がかっていた。鉤鼻で、三人とも凶暴で近寄りがたい顔つきだったと表現しています。」

「表情を除けば、ほとんどダグラス自身の人相書きだな」とホームズは言った。「彼も五十歳を少し過ぎ、髪と口髭に白いものが混じり、身長もほぼ同じだ。ほかには?」

「厚手の灰色の服に、リーファー型の上着。丈の短い黄色い外套と、柔らかい帽子を身につけていました。」

「散弾銃は?」

「長さ二フィート(約六十一センチ)未満です。旅行鞄に十分収まります。外套の内側にも、難なく隠して持てたでしょう。」

「このすべてが、事件全体にどう関係すると考える?」

「まあホームズさん、男を捕まえれば――人相を聞いて五分以内に、電信で各所へ手配したことは保証します――もっと正確に判断できます。しかし現状でも、かなり先まで来たはずです。ハーグレイヴと名乗るアメリカ人が二日前、自転車と旅行鞄を持ってタンブリッジ・ウェルズへ来た。その鞄には銃身を切った散弾銃が入っていた。つまり、初めから犯行を目的として来たのです。昨日の朝、外套に銃を隠し、自転車でここへ向かった。聞き込んだかぎり、到着を見た者はいません。しかし公園の門へ行くには村を通る必要がなく、街道には自転車乗りも大勢います。おそらく到着後すぐ、発見された月桂樹の茂みに自転車を隠し、自分もそこに潜んで館を見張り、ダグラス氏が出てくるのを待った。散弾銃は屋内で使うには奇妙な武器ですが、初めは屋外で使うつもりだったのでしょう。屋外なら明白な利点があります。まず撃ち損じることがない。それに英国の狩猟が盛んな土地では銃声など珍しくなく、特に注意を引きません。」

「実に筋が通っている」とホームズが言った。

「ところがダグラス氏は姿を現さなかった。では、次にどうするか? 自転車を残し、夕闇のなか館へ近づいた。橋は下りており、辺りには誰もいない。誰かに会えば適当な口実を作るつもりで、一か八か近づいたのでしょう。誰にも会わなかった。最初に見つけた部屋へ忍び込み、カーテンの陰に隠れた。そこから跳ね橋が上がるのを見て、逃げ道は濠を渡るしかないと悟った。十一時十五分まで待ち、いつもの夜の見回りでダグラス氏が部屋へ入ってきたところを撃ち、予定どおり逃げた。自転車はホテルの人間に特徴を話され、自分に不利な手がかりになるとわかっていた。そこで置き去りにし、別の手段でロンドンか、あらかじめ準備していた安全な隠れ家へ向かった。どうです、ホームズさん?」

「いいだろう、マック君。そこまでは実に明快で立派だ。それが君の側の物語。私の側では、犯行は報告された時刻より三十分早く起きた。ダグラス夫人とバーカーは、何かを隠すため共謀している。二人は犯人の逃亡を助けた――少なくとも、犯人が逃げる前に部屋へ来ていた。そして窓から逃げたように証拠をでっち上げたが、実際には二人自身が橋を下ろし、犯人を逃がした可能性が高い。これが前半についての私の読みだ。」

二人の刑事は首を振った。

「ホームズさん、それが本当なら、一つの謎から転がり出て、別の謎へ落ち込むだけです」とロンドンの警部が言った。

「しかも、ある意味もっとひどい謎です」とホワイト・メイソンが付け加えた。「夫人は生まれてから一度もアメリカ合衆国へ行っていません。アメリカ人の殺し屋を庇うほど、どんな関係がありうるというのです?」

「難点があることは率直に認める」とホームズは言った。「今夜、少々独自の調査をするつもりだ。それが皆の捜査に多少なりとも役立つかもしれない。」

「お手伝いできますか、ホームズさん?」

「いや、いや! 必要なのは暗闇とワトソン博士の傘だけ――私の要求は慎ましい。それに忠実なるエイムズなら、きっと多少の便宜を図ってくれる。私の思考は、どの道筋を辿っても、必ず一つの根本的な疑問へ戻ってくる――運動神経に優れた男が、なぜ一個だけのダンベルなどという不自然な器具で体を鍛えるのか?」

ホームズが単独の遠征から戻ったのは、その夜も遅くなってからだった。小さな田舎宿が用意できる最上の部屋は、二つの寝台が並ぶ相部屋だった。私はすでに眠っており、ホームズが入ってきた音で半ば目を覚ました。

「どうだった、ホームズ」と私は呟いた。「何かわかったか?」

ホームズは蝋燭を手に、黙って私のそばに立った。やがて長身痩躯をこちらへかがめた。「なあ、ワトソン」と囁いた。「狂人と同じ部屋で眠るのは怖いかね? 脳が軟化した男、理性を失った白痴と一緒でも?」

「ワトソン、狂人と同じ部屋で眠るのは怖いかね?」

「少しも」と私は驚いて答えた。

「ああ、それはよかった」と言い、それきり、その晩は一言も口にしなかった。

第七章 解決

翌朝、朝食を終えると、私たちは地元警察の巡査部長が使う小さな応接室へ向かった。そこではマクドナルド警部とホワイト・メイソンが、顔を寄せて相談していた。二人の前のテーブルには、何通もの手紙と電報が積み上げられ、慎重に仕分けされ、整理番号をつけられている。そのうち三通は、脇へ取り分けられていた。

「まだ、すばしこい自転車乗りを追っているのかね?」

ホームズは陽気に尋ねた。「悪党について、最新の知らせは?」

マクドナルドは、うんざりした顔で書類の山を指さした。

「現在のところ、レスター、ノッティンガム、サウサンプトン、ダービー、イースト・ハム、リッチモンド、その他十四か所で目撃されたことになっています。そのうち三か所――イースト・ハム、レスター、リヴァプール――では容疑が明白で、実際に逮捕までされています。この国は、黄色い外套を着た逃亡者だらけらしい。」

「それはそれは!」とホームズは同情するように言った。「さてマック君、そしてホワイト・メイソン君。お二人に、ぜひとも真剣に聞いてもらいたい助言がある。この事件に加わったとき、私が約束したことを覚えておられるだろう。半ばしか証明されていない説を披露することはせず、自分で正しいと納得できるまで、考えを胸に収めて検討し続ける、と。そのため、今この瞬間に私の頭にあるすべてを話すわけにはいかない。その一方で、私はお二人に対して公正に振る舞うとも言った。無益な仕事に、不要な一瞬たりとも労力を浪費させるのは、公正なやり方とは思えない。そこで今朝、助言をするために来た。その助言は三語に要約できる――この捜査を捨てたまえ。」

マクドナルドとホワイト・メイソンは、名高い同僚を驚愕の目で見つめた。

「解決の見込みがないとお考えで?」と警部が叫んだ。

「君たちが進めている捜査には、見込みがないと考えている。真相へ到達する見込みがない、とは考えていない。」

「しかし、この自転車乗りは実在します。人相書きも、旅行鞄も、自転車もある。どこかにいるはずです。なぜ捕まえられないのです?」

「うん、もちろんどこかにいるし、いずれ捕まえられるだろう。しかしイースト・ハムやリヴァプールで、君たちに労力を浪費してほしくはない。結論へ至る、もっと近道があるはずだ。」

「何か隠していますね。あまり公正とは言えませんよ、ホームズさん。」

警部は苛立っていた。

「私の仕事の進め方はご存じだろう、マック君。だが、隠しておくのは可能なかぎり短いあいだだけだ。ある一点を確認したいだけで、それはごく簡単にできる。それが済めば一礼してロンドンへ帰り、結果をすべて君たちに提供する。君には恩がありすぎて、それ以外の行動などできない。なにしろ私の全経験を振り返っても、これほど奇妙で興味深い研究対象は思い出せないのだからね。」

「さっぱり理解できませんよ、ホームズさん。昨夜タンブリッジ・ウェルズから戻ったとき、われわれはあなたに会い、あなたも捜査結果におおむね同意していた。それから何が起きて、事件についてまったく新しい考えを持つに至ったのです?」

「そう訊かれたからには答えよう。前もって言ったとおり、昨夜はバールストン館で数時間を過ごした。」

「そこで何が?」

「ああ、今のところは、かなり大まかな答えしかできない。そうそう、古い館について短くも明快で興味深くまとめた冊子を読んだよ。地元の煙草屋で、一ペニーという手頃な値段で売られている。」

そう言ってホームズは、古い館の粗末な版画をあしらった小冊子を、チョッキのポケットから取り出した。

「周囲の歴史的な雰囲気と意識的に心を通わせると、捜査の妙味は大いに増すものだよ、親愛なるマック君。そう苛立った顔をしないでくれたまえ。このような無味乾燥な記述からでも、過去の情景が多少は心に浮かぶのだからね。一例を読ませていただこう。『ジェームズ一世治世第五年、さらに古い建造物の跡地に築かれたバールストン館は、濠を巡らせたジェームズ朝様式の邸宅として現存する、最も優れた例の一つであり――』。」

「われわれをからかっているのですか、ホームズさん!」

「まあまあ、マック君! 君が腹を立てるところを初めて見たよ。そこまで嫌なら、一字一句読むのはやめよう。だが一六四四年、議会派の大佐に館が占拠されたことや、内戦中にチャールズが数日間ここへ身を隠したこと、さらにはジョージ二世が訪れたことまで記されていると言えば、この古い館にさまざまな興味深い由緒があることは認めるだろう。」

「疑いませんよ、ホームズさん。しかし、それはわれわれの事件とは無関係です。」

「無関係かね? 本当に? 親愛なるマック君、広い視野はわれわれの職業に欠かせぬ資質の一つだ。思想の相互作用や、知識を斜めから応用することは、しばしば並外れて興味深い成果を生む。犯罪愛好家にすぎぬとはいえ、君より少々年長で、おそらく少々経験も多い者の言葉として、聞き流してくれたまえ。」

「それは真っ先に認めます」と刑事は率直に答えた。「あなたが要点へたどり着くことも認めますが、そこまでがひどく回りくどい。」

「よろしい。では過去の歴史は捨て、現在の事実へ移ろう。すでに言ったとおり、昨夜私はバールストン館を訪れた。バーカーにも、ダグラス夫人にも会っていない。二人を煩わせる必要はないと思った。ただ、夫人が目に見えて憔悴しているわけではなく、立派な夕食を召し上がったと聞いて安心したよ。訪問の目的は、善良なるエイムズだった。しばらく愛想のよい会話を交わした末、ほかの誰にも断らず、私一人で書斎にしばらく座ることを許してもらった。」

「何ですって! あれがある部屋で?」

私は思わず叫んだ。

「いやいや、今ではすべて片づいている。マック君が許可したと聞いている。部屋は普段どおりの状態で、私はそこで有益な十五分間を過ごした。」

「何をしていたのです?」

「こんな単純なことを謎めかせても仕方がない。なくなったダンベルを探していた。私の事件評価では、初めから非常に大きな意味を持っていた。そして、ついに見つけた。」

「どこで?」

「ああ、そこから先は未踏の領域だ。もう少しだけ――ほんの少しだけ進ませてもらいたい。そうすれば、私の知ることをすべてお二人と共有すると約束しよう。」

「まあ、あなたの条件を呑むしかないでしょう」と警部は言った。「しかし捜査を放棄しろとは――いったいなぜ、われわれが捜査を放棄しなければならないのです?」

「理由は簡単だよ、親愛なるマック君。君たちは自分が何を捜査しているのか、まるで理解していないからだ。」

「バールストン館のジョン・ダグラス氏殺害事件を捜査しているのです。」

「そう、たしかにそうだ。しかし、謎の自転車乗りを追う必要はない。それが役に立たないことは保証する。」

「では、何をしろと?」

「言うとおりにしてくれるなら、何をすべきか正確に教えよう。」

「まあ、あなたの奇妙なやり方には、いつも理由があるとわかっています。助言どおりにしましょう。」

「ホワイト・メイソン君は?」

田舎の刑事は困り果てたように、二人を交互に見た。ホームズも、その手法も、彼には初めてだった。「警部がそれでよいというなら、私もそれで結構です」と最後に答えた。

「素晴らしい!」とホームズは言った。「では、お二人には、気持ちのよい田舎道を楽しく散歩することをお勧めする。バールストン丘陵からウィールド地方を望む景色は、実に見事だそうだ。適当な宿屋で昼食も取れるだろう。土地勘がないので、どこがよいとは勧められないがね。そして夕刻、疲れてはいるが幸福な気分で――」

「もう冗談では済みませんぞ!」とマクドナルドは叫び、怒って椅子から立ち上がった。

「まあまあ、一日を好きに過ごしたまえ」とホームズは朗らかに肩を叩いた。「好きなことをし、好きな場所へ行けばよい。ただし日暮れ前には、必ずここで私と会ってくれたまえ――必ずだよ、マック君。」

「それなら、少しは正気らしく聞こえます。」

「すべて素晴らしい助言なのだがね。必要なときここにいてくれさえすれば、無理強いはしない。さて別れる前に、バーカーさんへ手紙を書いてもらいたい。」

「何と?」

「よければ口述しよう。用意はいいかね? 

「拝啓――濠を干すことは、われわれの義務ではないかと思い至りました。
そうすれば、何か――」

「不可能です」と警部が言った。「すでに調べました。」

「まあまあ! どうか私の頼むとおりにしてくれたまえ。」

「わかりました。続けてください。」

「――捜査に関係するものが見つかるかもしれません。
すでに手配を済ませ、明朝早くから作業員が水路を迂回させる工事を――」

「不可能です!」

「――水路を迂回させる工事を始めますので、事前に事情を説明しておくのが
よいと考えました。

「では署名し、四時ごろ人に持たせて届けてくれたまえ。その時刻に、われわれもまたこの部屋で会おう。それまでは各自、好きに過ごしてよい。この捜査は、明確な停止点へ達したのだからね。」

再び集まったころには、夕闇が迫っていた。ホームズはひどく真剣で、私は好奇心に満ち、二人の刑事は明らかに疑い深く苛立っていた。

「さて皆さん」と友人は厳かに切り出した。「これから、すべてを私と一緒に試していただきたい。私が行った観察が、その結論を正当化するかどうかは、ご自身で判断していただこう。今夜は冷え込むし、遠征がどれほど長引くかもわからない。いちばん暖かい外套を着ていただきたい。暗くなる前に所定の位置へつくことが何より重要なので、お許しいただければすぐ出発しよう。」

私たちはバールストン館の公園の外周に沿って進み、囲いの柵が途切れている場所へ来た。そこから中へ忍び込み、濃くなっていく薄闇のなかをホームズについていくと、正面玄関と跳ね橋のほぼ向かいにある植え込みへたどり着いた。橋は下りたままだった。ホームズは月桂樹の茂みの陰に身を低くし、私たち三人もそれに倣った。

「さて、今度は何をするのです?」とマクドナルドがやや刺々しく訊いた。

「辛抱強く待ち、できるだけ音を立てないことだ」とホームズは答えた。

「そもそも、何のためにここへ? もう少し率直に話してくださってもよいのでは?」

ホームズは笑った。「ワトソンは、私が現実世界の劇作家だと言い張るのだよ」と言った。「私の内には、芸術家の血がいくらか湧き上がっていて、きちんと演出された舞台を執拗に求めるらしい。マック君、たまには舞台を整えて成果を華やかに見せなければ、われわれの職業は味気なく、卑俗なものになってしまうではないか。ぶっきらぼうな告発、肩への無慈悲な一撃――そんな大団円から、何が生まれる? それに比べて、鋭い推理、巧妙な罠、来たる出来事の見事な予測、大胆な仮説が勝利のうちに証明される瞬間――これこそ、われわれが生涯を捧げる仕事の誇りであり、正当性ではないか? 今この瞬間、君は状況の妖しい魅力と、狩りへの期待に胸を躍らせている。私が時刻表のように事細かく話していたら、そんな興奮がどこにあった? もう少しだけ辛抱してくれたまえ、マック君。すべてが明らかになる。」

「その誇りだの正当性だのが、全員凍死する前に現れてくれるといいのですがね」と、ロンドンの刑事は滑稽なほど諦めきった調子で言った。

その願いには、私たち全員が加わるだけの理由があった。待ち伏せは長く、寒さは身を切るほどだった。古い館の長く陰鬱な正面に、ゆっくりと闇が深まっていく。濠から立ち上る冷たく湿った霧が骨まで凍えさせ、歯をがちがち鳴らした。門の上にはランプが一つだけ灯り、惨劇の書斎には丸い光がじっと浮かんでいる。それ以外はすべて闇に沈み、静まり返っていた。

「いつまで続けるのです?」と、ついに警部が尋ねた。「何を待っているのですか?」

「どれほど続くかは、君と同じく私にも見当がつかない」とホームズはいささか苛立って答えた。「犯罪者がいつも汽車のように行動予定を組んでくれれば、われわれ全員にとってずっと便利なのだがね。何を待っているかについては――おや、あれこそ、われわれが待っていたものだ!」

そう言ったとき、書斎の明るい黄色の光が、その前を行き来する何者かに遮られた。私たちが潜む月桂樹は窓の真正面にあり、距離は百フィート(約三十メートル)もない。やがて蝶番が軋み、窓が開かれた。男の頭と肩の黒い輪郭が、薄闇のなかへ突き出すのがぼんやり見えた。男は数分にわたり、誰にも見られていないと確かめるかのように、こそこそと用心深く外を見回した。それから身を乗り出した。張り詰めた静寂のなか、水面が乱され、柔らかく波打つ音が聞こえた。手にした何かで、濠をかき回しているらしい。やがて突然、漁師が魚を引き上げるように何かをたぐり寄せた。大きく丸い物体が、開いた窓を通して引きずり込まれるとき、灯りを遮った。

「今だ!」とホームズが叫んだ。「今だ!」

全員が立ち上がった。こわばった手足でよろめきながら、素早く橋を駆け渡るホームズを追った。彼は呼び鈴を激しく鳴らした。内側で閂を外す音がし、驚き呆れたエイムズが入口に立った。ホームズは一言もなく彼を押しのけ、私たち全員を従えて、見張っていた男がいる部屋へ飛び込んだ。

テーブルの上の石油ランプが、外から見えていた光の正体だった。今、そのランプはセシル・バーカーの手にあり、私たちが入るとこちらへ差し向けられた。光は意志の強そうな、きれいに髭を剃った顔と、威嚇するような瞳を照らした。

「いったい何の真似だ!」と彼は叫んだ。「何を狙っている?」

ホームズは素早く室内を見回し、書き物机の下へ押し込まれていた、紐で縛ったずぶ濡れの包みに飛びついた。

「われわれが狙っているのはこれですよ、バーカーさん――ダンベルの重しをつけ、あなたがたった今、濠の底から引き上げたこの包みです。」

バーカーは仰天した顔でホームズを見つめた。「いったいどうして、これを知ったんです?」と訊いた。

「簡単です。私がそこへ沈めたからですよ。」

「あなたが沈めた! あなたが!」

「正確には、『沈め直した』と言うべきでしたね」とホームズは答えた。「マクドナルド警部、私がダンベルが一個ないことに、いささか注目したのを覚えておられるでしょう。その点をご指摘したものの、次々に起きる出来事に追われ、その事実から推論を引き出すだけの時間がなかったようだ。水が近くにあり、重しが消えているなら、何かが水中へ沈められたと考えても、さほど突飛ではない。少なくとも試してみる価値はある。そこで昨夜、部屋へ入れてくれたエイムズの助けと、ワトソン博士の傘の曲がった柄を借り、包みを引き上げて調べることができた。

「しかし、誰がそこへ沈めたかを証明することが何より重要だった。そこで明日、濠を干すと知らせるという、ごく単純な手を使った。当然ながら、包みを隠した人物は、闇に紛れられるようになった瞬間、必ず回収しようとする。その機会を誰が利用したかについて、われわれには四人もの証人がいる。さてバーカーさん、今度はあなたが話す番でしょう。」

シャーロック・ホームズは滴の垂れる包みをランプ脇のテーブルへ置き、縛っていた紐を解いた。中からダンベルを取り出し、隅にある片割れのところへ放った。次に出てきたのは、一足の長靴だった。「ご覧のとおり、アメリカ製です」と、爪先を指しながら言った。それから鞘に収められた、長く恐ろしい短刀をテーブルへ置いた。最後に衣類の包みを広げた。肌着一式、靴下、灰色のツイード服、そして丈の短い黄色の外套だった。

「服はありふれた品です」とホームズは言った。「ただし、この外套だけは示唆に富む特徴に満ちている。」

大切そうに光へかざした。「ご覧のとおり、内ポケットが裏地の奥まで延長され、銃身を切り詰めた猟銃を入れるのに十分な空間がある。襟には仕立屋の札――『衣料品店ニール、アメリカ合衆国バーミッサ』。私は牧師の書斎で有益な午後を過ごし、知識を広げることができた。バーミッサは、アメリカ合衆国でも指折りの石炭・鉄鉱地帯の入口に位置する、繁栄した小さな町だ。バーカーさん、あなたはダグラス氏の最初の妻を石炭産地と結びつけて話していたように記憶している。死体のそばのカードにあるV・Vがバーミッサ渓谷を意味し、あるいは殺人の使者を送り出すこの谷こそ、われわれが耳にした恐怖の谷ではないかと推論しても、さほど突飛ではあるまい。ここまではかなり明らかだ。さてバーカーさん、私があなたの説明を邪魔しているようですね。」

名探偵がこう解説するあいだの、セシル・バーカーの表情は見ものだった。怒り、驚愕、狼狽、迷いが次々と顔をよぎった。最後には、やや刺のある皮肉へ逃げ込んだ。

「そこまで何でもご存じなら、ホームズさん、もっと話してくださったらどうです?」と嘲るように言った。

「もっと多くのことを話せるのは間違いありません、バーカーさん。しかし、あなたの口から話すほうが、よほど潔いでしょう。」

「へえ、そう思いますか? では、私から言えるのはこれだけです。ここに何か秘密があるとしても、それは私の秘密ではない。人の秘密を売るような男でもありません。」

「そういう態度を取られるなら、バーカーさん」と警部が静かに言った。「令状を取り、拘束できるようになるまで、あなたを監視下に置かねばなりません。」

「好きにしやがれ」とバーカーは反抗的に吐き捨てた。

彼に関するかぎり、これで手続きは完全に行き詰まったかに見えた。その花崗岩のような顔を一目見れば、どんな「peine forte et dure」[訳注:自白を拒む被告に加えられた、重石を載せる拷問]を用いようと、意に反して口を割らせることなどできないとわかる。しかし女の声が、その膠着を破った。ダグラス夫人が半開きの扉の外に立ち、話を聞いていたのだ。今、夫人は部屋へ入ってきた。

「セシル、もう十分です」と夫人は言った。「この先どうなろうとも、あなたはもう十分してくれました。」

「十分どころか、十分すぎるほどです」とシャーロック・ホームズが厳かに言った。「奥様、私はあなたに心から同情しております。そして、この国の司法が備える良識をもう少し信頼し、自ら進んで警察へすべてを打ち明けるよう、強くお勧めします。友人のワトソン博士を通じて伝えられた合図を、私が追究しなかったのは過ちだったかもしれません。しかしあの時点では、あなたが犯罪に直接関わっていると考えるだけの理由が十分にあった。今では、そうでないと確信しております。それでも、説明されていない点は数多く残っている。ダグラス氏に、本人の物語を語ってもらうよう頼むことを強くお勧めします。」

ホームズの言葉に、ダグラス夫人が驚きの声を上げた。刑事たちも私も同じ声を上げたに違いない。壁から抜け出してきたような男が、突然現れた隅の暗がりからこちらへ進み出たからだ。ダグラス夫人は振り向くなり、男に両腕を回した。バーカーは、差し出された手を固く握った。

「これがいちばんよ、ジャック」と妻は繰り返した。「きっと、これがいちばんいいの。」

「まったくそのとおりです、ダグラスさん」とシャーロック・ホームズが言った。「そうしてよかったと、きっとおわかりになるでしょう。」

男は闇から光の中へ出てきた者のように目を瞬き、呆然として私たちを見つめた。印象的な顔だった。大胆な灰色の瞳、短く刈り込まれ白いものの混じった力強い口髭、角張って前へ突き出た顎、ユーモラスな口元。私たち一人ひとりをじっくり眺めると、驚いたことに私のところへ歩み寄り、紙束を手渡した。

「あなたの噂は聞いています」と彼は言った。完全な英国訛りでも、完全なアメリカ訛りでもないが、低く心地よい声だった。「この一団の記録係でしょう。ワトソン博士、こんな話が手元へ転がり込んだことは、これまで一度もないはずです。最後の一ドルを賭けてもいい。書き方はお任せします。だが事実はそこにある。それさえあれば、読者を逃すはずがない。二日間閉じ込められ、昼のあいだ――あの鼠の巣で得られるかぎりの日光を頼りに――すべてを書き記しました。あなたに差し上げます――あなたと、あなたの読者に。そこにあるのが、恐怖の谷の物語です。」

「それは過去の話です、ダグラスさん」とシャーロック・ホームズは静かに言った。「今われわれが聞きたいのは、現在の物語です。」

「もちろんお話しします」とダグラスは言った。「話しながら煙草を吸っても? これはどうも、ホームズさん。たしか、あなたも愛煙家でしたね。ポケットに煙草があるというのに、匂いで居場所がばれそうで、二日も吸えずにいた気持ちはおわかりでしょう。」

暖炉の上枠にもたれ、ホームズから渡された葉巻を吸った。「噂は聞いていましたよ、ホームズさん。まさかお会いするとは思いませんでした。しかし、それを読み終えれば――」私が持つ紙束へ顎をしゃくり、「あなたにも目新しい事件を持ち込めたと思っていただけるでしょう。」

マクドナルド警部は、現れた男をこの上ない驚愕の目で見つめていた。「いや、これは完全に一本取られた!」と、ついに叫んだ。「あなたがバールストン館のジョン・ダグラス氏なら、この二日間、われわれが死を捜査してきた男はいったい誰なのです? それに今、どこから飛び出してきた? びっくり箱の人形のように、床から湧いたように見えましたぞ。」

「ああ、マック君」とホームズは、人差し指を振ってたしなめた。「チャールズ王の隠れ場所について書かれた、あの立派な郷土資料を読もうとしなかったね。昔の人々は、優れた隠し場所がないかぎり、身を隠したりはしなかった。そして一度使われた隠れ場所は、再び使うことができる。この屋根の下にダグラス氏がいると、私は確信していた。」

「いつからわれわれを相手に、こんな芝居をしていたのです、ホームズさん?」と警部は腹立たしげに言った。「馬鹿げた捜索だと知りながら、いつまでわれわれに無駄骨を折らせたのです?」

「一瞬たりとも、親愛なるマック君。事件についてこの見解に至ったのは、昨夜になってからだ。今夕まで証明することができなかったので、君と同僚には一日休暇を取るよう勧めた。それ以上、私に何ができたというのかね? 濠で一式の衣服を見つけた瞬間、われわれが発見した死体はジョン・ダグラス氏ではありえず、タンブリッジ・ウェルズから来た自転車乗りのものに違いないと明らかになった。それ以外の結論はありえない。そこで次に、ジョン・ダグラス氏本人がどこにいるかを考えねばならなかった。最も可能性が高いのは、逃亡者を隠す設備のあるこの館で、妻と友人の協力を得て身を潜め、ほとぼりが冷めて最後の逃亡を果たせるときを待っている、というものだった。」

「ほぼ正解です」とダグラスは感心したように言った。「英国法を出し抜こうと思ったんです。法律上、自分がどんな立場になるのかわからなかったし、これを機に、あの猟犬どもをきっぱり私の足跡から追い払えると思った。いいですか、私は最初から最後まで、恥じるようなことは何一つしていないし、同じことが起きればまた同じ行動を取ります。話を聞いたあと、ご自分で判断してください。警部、警告は結構です。真実だけで勝負する覚悟はできています。

「初めから話すつもりはありません。それは全部そこにある」彼は私の紙束を示した。「実に奇妙な物語だとわかるでしょう。要するにこうです。私を憎むだけの十分な理由を持ち、仕留めたと知るためなら最後の一ドルまで差し出す男たちがいる。私が生き、連中も生きているかぎり、この世に安全な場所はない。連中はシカゴからカリフォルニア州まで私を追い、やがてアメリカ合衆国からも追い出した。しかし結婚し、こんな静かな土地へ落ち着いたとき、晩年は平穏に暮らせると思ったんです。

「妻には事情を説明しませんでした。なぜ巻き込む必要がある? 話せば、二度と心の休まる瞬間はなく、いつも災難が来るのではと怯えるでしょう。私があちこちで言葉を漏らしたので、何かは察していたと思います。しかし昨日、皆さんが妻から話を聞いたあとまで、本当の事情は知りませんでした。妻は知っていることをすべて話したし、ここにいるバーカーも同じです。事件の夜は、説明している時間などほとんどなかった。今では妻もすべて知っています。もっと早く話しておけば、私も賢かったでしょう。だが難しい問題だったんだ、愛しい人」一瞬、妻の手を取った。「私は最善を尽くしたつもりだった。

「さて皆さん、この出来事の前日、私はタンブリッジ・ウェルズへ行き、通りである男の姿をちらりと見かけました。ほんの一瞬でしたが、こういうことには目が利く。誰なのか、疑ったことはありません。あの連中のなかでも最悪の敵――この何年ものあいだ、飢えた狼がカリブーを追うように私を追い続けた男です。災難が来るとわかり、家へ帰って備えました。一人でも何とか切り抜けられると思っていた。七六年ごろの合衆国では、私の強運は有名でした。今も運はついていると信じて疑いませんでした。

「翌日はずっと警戒し、公園へ一歩も出ませんでした。それでよかった。出ていれば、拳銃を抜くより先に、あの男の散弾銃で狙いをつけられていたでしょう。橋が上がってから――夜、あの橋が上がると、いつも安心できました――私は危険のことを頭から追い出しました。あいつが館へ入り込み、待ち伏せているとは夢にも思わなかった。しかし習慣どおり寝間着姿で見回りをし、書斎へ入った瞬間、危険を嗅ぎ取りました。人生で危険を潜り抜けてきた男には――私は人並み以上に経験していますが――赤旗を振って警告する、第六感のようなものがあるのでしょう。警告ははっきり感じた。それでも、なぜなのかは説明できなかった。次の瞬間、窓のカーテンの下から長靴が見え、理由もはっきりしました。

「手にしていた蝋燭は一本だけでしたが、開いた扉から玄関広間のランプの光が十分入っていました。蝋燭を置き、暖炉の上に置き忘れていた金槌へ飛びついた。同時に、あいつも襲いかかってきた。短刀がきらりと光り、私は金槌を叩きつけた。どこかに当たったのでしょう。短刀が音を立てて床へ落ちた。あいつは鰻のような素早さでテーブルを回り込み、次の瞬間には外套の下から銃を取り出していた。撃鉄を起こす音がしたが、撃たれる前に銃をつかみました。私は銃身を握り、一分以上も死に物狂いで奪い合った。手を離したほうが死ぬ戦いです。

「あいつも手は離さなかった。しかし銃口を自分へ向けたまま、ほんの一瞬長く持ちすぎた。引き金を引いたのは、私かもしれません。もみ合いの衝撃で、二人のあいだで勝手に発砲したのかもしれない。いずれにせよ、あいつは両方の銃身から顔へ散弾を浴びた。そして私は、テッド・ボールドウィンの成れの果てを見下ろしていた。町で見たときも、襲いかかってきたときも、あいつだとわかっていました。しかしあのときの顔は、実の母親でも見分けられなかったでしょう。荒事には慣れていますが、あの姿には本当に吐き気がしました。

「テーブルの端にしがみついていると、バーカーが急いで降りてきた。妻が来る音も聞こえたので、扉へ走って止めました。女に見せるようなものではない。すぐ行くと約束しました。バーカーとは二言三言交わしただけです――あいつは一目で事情を理解した――それから、ほかの者たちが来るのを待った。だが誰も現れない。そこで音が何も聞こえず、起きたことを知っているのは私たちだけだと悟りました。

「その瞬間、この考えがひらめいた。あまりに見事な案で、自分でも目がくらむほどでした。男の袖がずり上がり、前腕に結社の焼き印が見えた。これです!」

ダグラスとして知られていた男は、自分の上着と袖口をまくり上げた。そこには、死者の腕に見たものとまったく同じ、円の中に茶色い三角形を置いた印があった。

「これを見た瞬間、思いついたんです。すべてが一目ではっきり見えた。身長も髪も体格も、私とほぼ同じ。かわいそうな悪党だが、顔を見て本人だと断言できる者はいない! 私はこの服を持ってきて、十五分もしないうちに、バーカーと二人であいつに私の寝間着を着せ、皆さんが見つけたとおりに寝かせました。あいつの持ち物は全部一つの包みにし、見つけられた唯一の重しをつけ、窓から濠へ沈めた。私の死体に置くつもりだったカードが、今度は自分の死体のそばに置かれることになった。

「私の指輪もあいつの指へはめました。しかし結婚指輪になると――」筋肉質の手を差し出した。「ご自分で見れば、ここで限界だったとわかるでしょう。結婚の日から一度も外しておらず、やすりでも使わなければ抜けません。そもそも手放したいと思ったかどうかもわかりませんが、たとえそうしたくても不可能だった。だから、その細部は成り行きに任せるしかなかった。一方で、膏薬を一枚持ってきて、今も自分につけているのと同じ場所へ貼りました。ホームズさん、あなたほど頭が切れる人でも、そこは見落としましたね。もし膏薬を剥がしていたら、その下に傷がないとわかったはずです。

「まあ、そういう状況でした。しばらく身を潜め、その後『未亡人』と合流できる場所へ逃げれば、残りの人生を平穏に送る機会が、ついに得られる。私が地上で生きているかぎり、あの悪魔どもは決して休ませてくれない。しかし新聞で、ボールドウィンが標的を仕留めたと読めば、悩みもすべて終わる。バーカーと妻に詳しく説明する時間はほとんどありませんでしたが、二人は私を助けられるだけのことは理解しました。この隠れ場所については、私はすべて知っていました。エイムズも知っていたが、事件と結びつける考えは頭に浮かばなかった。私は中へ引っ込み、あとの始末はバーカーに任せた。

「あいつが何をしたかは、ご自分で補えるでしょう。犯人が窓から逃げたように見せるため、窓を開け、敷居へ跡をつけた。無理のある細工でしたが、橋が上がっている以上、ほかに逃げ道はない。すべて整ってから、力いっぱい呼び鈴を鳴らした。その後に起きたことは、皆さんも知っています。さて皆さん、あとはお好きなようにしてください。しかし私は真実を、真実のすべてを話しました。神に誓って! そこで伺いたい。英国法のもとで、私はどんな立場になるのでしょう?」

沈黙が流れ、シャーロック・ホームズがそれを破った。

「英国法は、概して公正な法律です。あなたは自らの行為に値する以上の扱いを受けることはないでしょう、ダグラスさん。しかし一つ伺いたい。この男は、あなたがここに住んでいることを、どうやって知ったのです? どうやって館へ入る方法や、あなたを待ち伏せる場所を知ったのでしょう?」

「何も知りません。」

ホームズの顔はひどく青ざめ、厳粛だった。「物語はまだ終わっていないようです」と彼は言った。「英国法よりも、さらにはアメリカ合衆国の敵よりも恐ろしい危険が待っているかもしれない。あなたの行く手に災いが見えます、ダグラスさん。私の助言を聞き、今後も警戒を怠らないでください。」

さて、辛抱強くお付き合いくださった読者諸賢には、ここでしばし私とともに旅立っていただきたい。サセックス州のバールストン館から遠く離れ、ジョン・ダグラスとして知られた男の奇妙な物語へ行き着いた、あの波乱に満ちた旅の年からも遠く離れて。時間を二十年ほど遡り、空間を数千マイル西へ進んでいただきたい。そこで私は、奇怪にして恐るべき物語を皆さんの前へ差し出そう――あまりに奇怪で、あまりに恐ろしいため、私が語るとおりの出来事が本当に起きたとは、信じがたいかもしれない。

一つの物語が終わらぬうちに、別の物語を差し挟んだとは思わないでいただきたい。読み進めれば、そうでないとわかるだろう。そして遠い土地の出来事を詳しく語り、過去の謎が解かれたとき、われわれは再びベーカー街のあの部屋で会うことになる。そこでは、この事件もまた、数々の驚異的な出来事と同じく、終幕を迎えるのである。


第二部 スコウラーズ

第一章 その男

一八七五年二月四日。冬は厳しく、ギルマートン山脈の峡谷には雪が深く積もっていた。それでも蒸気除雪車のおかげで鉄道は通じており、炭鉱と製鉄の町々を長く結ぶ夕刻の列車は、平野のスタッグヴィルから、バーミッサ渓谷最奥の中心都市バーミッサへと続く急勾配を、うなりを上げながらゆっくり登っていた。そこから線路は下りに転じ、バートンズ・クロッシング、ヘルムデールを経て、純農業地帯のマートン郡へ至る。単線ではあったが、数多く設けられた待避線には、石炭や鉄鉱石を山積みにした貨車が長々と連なっていた。アメリカ合衆国でも屈指の荒涼たる辺境に、粗野な住民と慌ただしい暮らしを呼び寄せた、地下の富の証しである。

まさしく荒涼たる土地だった! 初めてここを踏破した開拓者は、黒々とした岩壁と錯綜する森林に覆われたこの陰鬱な地が、どれほど美しい大草原や青々とした水辺の牧草地よりも価値を持つようになるとは、夢にも思わなかっただろう。山腹を覆う暗く、ときには踏み込むことさえかなわぬ森の上には、白雪と鋸歯状の岩からなる高く裸の峰々が両側にそびえ、中央には長く曲がりくねった谷が延びている。その谷を、小さな列車がゆっくりと這い上がっていた。

先頭の客車では、ちょうど石油ランプに火が入ったところだった。飾り気のない細長い車内には、二、三十人ほどの乗客が座っている。大半は、谷の下手で一日の仕事を終え、帰路についた労働者たちだった。少なくとも十数人は、煤けた顔と手にした安全灯から、ひと目で炭鉱夫と知れた。彼らは一団となって煙草をふかし、低い声で話しながら、ときおり車内の反対側にいる二人の男へ目をやっていた。制服と徽章からして警官である。

ほかには労働者階級の女が数人、地元の小さな商店主らしい旅人が一、二人。そして、隅に一人きりで座る若者がいた。ここで問題となるのは、この若者である。よく見ておいていただきたい。それだけの価値がある男だ。

血色のよい中背の若者で、年は三十に届くか届かぬか。大きな灰色の目には知性とユーモアが宿り、眼鏡越しに周囲の人々を見回すたび、探るような光がちらちらときらめく。社交好きで、おそらくは屈託のない性分、誰とでも親しくなりたがる男だとすぐにわかる。人付き合いを好み、話好きで、機知に富み、いつでも笑みを浮かべる男――誰もがそう見抜いただろう。だが、さらに注意深く観察すれば、引き締まった顎と、厳しく結ばれた唇に気づいたはずだ。それは表面の奥に深いものが潜んでいる証しであり、この愛想のよい褐色の髪のアイルランド人が、身を置く社会に善かれ悪しかれ、消しがたい刻印を残す可能性を示していた。

若者は近くの炭鉱夫に一、二度、探るように話しかけてみた。だが返ってくるのは短く無愛想な返事ばかりだったため、気の進まぬ沈黙に身を任せ、暮れゆく景色を陰気に窓越しに眺めた。

心の浮き立つ眺めではなかった。深まりゆく闇のなか、丘の斜面では溶鉱炉の赤い光が脈打っている。両側には巨大な鉱滓の山や燃え殻の捨て場が浮かび上がり、その上には炭鉱の高い竪坑櫓がそびえていた。粗末な木造家屋が肩を寄せ合うように、線路沿いのあちこちに散らばっている。窓には明かりがともりはじめ、頻繁に現れる停車場には、浅黒い住民たちが群がっていた。

バーミッサ一帯の鉄と石炭の谷は、閑人や教養人の訪れる場所ではなかった。どこを見ても、むき出しの生存競争が刻んだ険しい徴がある。荒々しい仕事と、それを担う粗野で頑健な労働者たち。

若い旅人は、嫌悪と興味の入り混じった表情で、この陰惨な土地を眺めていた。見るものすべてが初めてなのだろう。ときおりポケットから分厚い手紙を取り出して内容を確かめ、余白に何やら書き込んでいる。一度など、腰の後ろから、これほど物腰の穏やかな男の持ち物とは思えぬ品を取り出した。最大型の海軍式拳銃だった。斜めにしてランプの光へかざすと、弾倉の中の銅製薬莢の縁が光り、全弾装填済みだとわかった。若者はすぐ隠しポケットへ戻したが、隣の腰掛けに座った労働者には見られていた。

「よう、相棒!」と男が声をかけた。「ずいぶん物騒な備えをしてるじゃないか。」

若者は気まずそうに笑った。

「ああ。俺のいた所じゃ、そいつが必要になることもあるんでね。」

「どこから来た?」

「直前までいたのはシカゴだ。」

「この辺りは初めてか?」

「ああ。」

「ここでも必要になるかもしれんぞ」と労働者は言った。

「へえ、そうなのか?」

若者は興味を示した。

「この辺りで起きてることを何も聞いちゃいないのか?」

「取り立てて変わったことは。」

「国じゅうに知れ渡ってると思ってたがな。まあ、すぐ耳に入るさ。何をしに来た?」

「働く気のある男には、いつでも仕事があると聞いた。」

「組合には入ってるのか?」

「もちろん。」

「なら仕事は見つかるだろう。知り合いは?」

「まだいない。だが、作る手立てはある。」

「どうやって?」

「俺はフリーメン結社の一員だ。支部のない町はないし、支部があれば仲間も見つかる。」

その言葉は、相手に異様な反応を引き起こした。男は疑わしげに車内を見回した。炭鉱夫たちはまだ仲間内で囁き合い、二人の警官はうつらうつらしている。男は席を移って若い旅人のすぐそばに座ると、手を差し出した。

「握れ」と言った。

二人は独特の握手を交わした。

「嘘じゃないようだな」と労働者は言った。「だが、念には念を入れたほうがいい。」

男は右手を右の眉へ上げた。旅人はすぐさま左手を左の眉へ上げた。

「暗い夜は嫌なものだ」と労働者が言った。

「旅するよそ者にとってはな」と若者が答えた。

「それで十分だ。俺は同志スキャンラン、バーミッサ渓谷第三四一支部所属だ。この辺りで会えてうれしいよ。」

「ありがとう。俺は同志ジョン・マクマード。シカゴ第二九支部、支部長はJ・H・スコットだ。こんなに早く同志に出会えるとは運がいい。」

「まあ、仲間なら大勢いる。このバーミッサ渓谷ほど結社が栄えている土地は、合衆国のどこにもないだろう。だが、あんたみたいな若い衆なら大歓迎だ。組合員で腕も立ちそうなのに、シカゴで仕事がなかったとは腑に落ちんな。」

「仕事ならたっぷりあった」とマクマードは言った。

「じゃあ、なぜ出てきた?」

マクマードは警官たちのほうへ顎をしゃくり、笑った。「あの連中なら、ぜひ知りたがるだろうな。」

スキャンランは同情するようにうなった。「厄介事か?」と囁いた。

「かなり深い。」

「刑務所行きの一件か?」

「それどころじゃない。」

「まさか、人殺しか!」

「そういう話をするには、まだ早すぎる」口を滑らせ、言うつもりのなかったことまで話してしまった男のように、マクマードは言った。「シカゴを出たのには俺なりの立派な理由がある。それだけで十分だろう。いったい何様のつもりで、そんなことまで聞く?」

眼鏡の奥で、灰色の目が突如、危険な怒りにぎらついた。

「わかった、相棒。悪気はない。何をやったにせよ、仲間はあんたを悪く思ったりしないさ。で、今はどこへ?」

「バーミッサだ。」

「この先三つ目の停車場だ。宿は?」

マクマードは封筒を取り出し、薄暗い石油ランプへ近づけた。「住所はここだ――シェリダン通り、ジェイコブ・シェフター。シカゴで知り合った男に勧められた下宿屋だ。」

「さあ、知らんな。バーミッサは俺の縄張りじゃない。俺はホブソンズ・パッチに住んでる。ちょうど今、列車が止まろうとしてる所だ。だがな、別れる前にひとつ忠告しておく。バーミッサで困ったことになったら、まっすぐユニオン・ハウスへ行き、ボス・マクギンティに会え。あの人がバーミッサ支部の支部長だ。この辺りじゃ、〈黒のジャック〉マクギンティが望まないことは何ひとつ起きない。じゃあな、相棒! そのうち夜の集会で会うかもしれん。だが忘れるな。困ったらボス・マクギンティの所へ行け。」

スキャンランが降りると、マクマードは再び一人、物思いに沈んだ。すでに日は落ち、あちこちの溶鉱炉から噴き上がる炎が、闇のなかで轟々と音を立てて踊っていた。赤黒い光を背に、黒い人影が身を屈め、力を込め、巻き上げ機やウインチの動きに合わせて身をよじり、向きを変えている。絶え間ない金属音と轟音が、その動きの拍子を刻んでいた。

「地獄ってのも、きっとあんな具合なんだろうな」と声がした。

マクマードが振り向くと、警官の一人が座り直し、炎に包まれた荒野を見つめていた。

「それを言うなら」ともう一人の警官が言った。「地獄はまさにあんな所だろうさ。下界にいる悪魔が、俺たちの知ってる連中よりひどいとしたら、そいつは想像以上だ。若いの、この辺りは初めてだな?」

「だったら何だ?」

マクマードは不機嫌に答えた。

「いやなに、友達はよく選べと忠告してやりたいだけだ。俺なら、まずマイク・スキャンランやその仲間とは付き合わんね。」

「俺が誰と付き合おうと、てめえに何の関係がある!」マクマードの怒鳴り声に、車内の者が一斉に振り向き、口論を見守った。「誰が忠告してくれと頼んだ? それとも俺が、手取り足取り教わらなきゃ動けない間抜けに見えたのか? 話しかけられたときだけ口を開け。俺が相手なら、神に誓って一生待つことになるがな!」

顔を突き出し、唸る犬のように巡査たちを睨んで歯をむいた。

二人の警官は大柄で人のよさそうな男たちだった。親切な忠告を、これほど激しい敵意で突っぱねられるとは思わず、面食らっていた。

「悪気はないんだ、よそ者さん」と一人が言った。「自分で認めたとおり土地に不慣れらしいから、身のためを思って警告しただけさ。」

「土地には不慣れだが、てめえらのような連中ならよく知ってる!」マクマードは冷ややかな怒りを込めて叫んだ。「どこへ行っても同じだ。誰も頼んでないのに、くだらん忠告を押しつけやがる。」

「遠からず、またお目にかかるかもしれんな」と巡査の一人が笑った。「俺の目に狂いがなけりゃ、おまえは選り抜きの札付きだ。」

「俺も同じことを考えてた」ともう一人が言った。「また会うことになりそうだな。」

「てめえらなんぞ怖くない。勘違いするな!」マクマードは叫んだ。「俺の名はジャック・マクマードだ――よく覚えとけ! 用があるなら、バーミッサのシェリダン通り、ジェイコブ・シェフターの家に来い。隠れちゃいないぞ。昼だろうが夜だろうが、てめえらみたいな連中の面を真っ向から拝んでやる――そいつを忘れるな!」

新参者の恐れを知らぬ態度に、炭鉱夫たちから共感と賞賛のざわめきが起こった。二人の警官は肩をすくめ、また二人だけの会話へ戻った。

数分後、列車は照明もまばらな駅へ入った。乗客の大半が一斉に降りはじめる。バーミッサは沿線で群を抜いて大きな町だった。マクマードが革の旅行鞄を持ち、闇のなかへ歩きだそうとすると、炭鉱夫の一人が声をかけてきた。

「いやはや相棒、あんたは警官への口の利き方を心得てるな」と、畏敬のこもった声で言った。「聞いてて胸がすっとしたよ。鞄を持って、道を案内させてくれ。俺の小屋へ帰る途中、シェフターの家の前を通るんだ。」

二人がホームを離れると、ほかの炭鉱夫たちから親しげな「おやすみ」が次々と飛んだ。町へ一歩も踏み入れぬうちから、荒くれ者マクマードはバーミッサの名物男となっていた。

周辺の土地も恐ろしい場所だったが、町は町で、さらに気を滅入らせるものがあった。長い谷には少なくとも、巨大な炎と流れゆく煙の雲が醸す、陰鬱ながらも壮大な趣がある。また、途方もなく掘り返した大穴の傍らに人間が積み上げた土砂の丘は、その力と勤勉さにふさわしい記念碑でもあった。だが町には、平板な醜悪さと不潔さしかない。広い通りの雪は往来にかき回され、轍だらけの泥濘となっていた。歩道は狭く、でこぼこしている。数多くのガス灯も、通りに面してベランダを構えた、手入れもされず汚れきった木造家屋の長い列を、いっそうはっきり照らし出すだけだった。

町の中心へ近づくにつれ、明るく照らされた商店が並び、景色も多少は華やいだ。だがそれ以上に目を引くのは、酒場と賭博場の一群だった。炭鉱夫たちはそこで、苦労して稼いだ気前のよい給金を使い果たすのである。

「あれがユニオン・ハウスだ」と案内役が、ホテルと呼んでもよさそうなほど立派な酒場を指さした。「ジャック・マクギンティが仕切ってる。」

「どんな男だ?」

マクマードが尋ねた。

「何だって! ボスのことを聞いたことがないのか?」

「この辺りへ来たばかりのよそ者だと知ってるくせに、どうして聞いたことがあると思う?」

「いや、国じゅうに名が知れ渡ってると思ってた。新聞にも何度となく出てるからな。」

「何をして?」

「それは……」炭鉱夫は声を落とした。「例の事件だ。」

「何の事件だ?」

「勘弁してくれよ、旦那! 悪く取らないでほしいが、あんたは妙な人だな。この辺りで事件といえばひとつしかない。スコウラーズの仕業だ。」

「そういえばシカゴでスコウラーズの記事を読んだ気がする。人殺しの一味だろう?」

「命が惜しけりゃ黙れ!」炭鉱夫は怯えて立ち止まり、驚愕の目で連れを見た。「あんた、往来でそんなことを口にしていたら、この辺りじゃ長生きできんぞ。それ以下のことを言っただけで、殴り殺された男も大勢いる。」

「俺は何も知らない。新聞で読んだことを言っただけだ。」

「記事が嘘だったとは、俺も言わん。」

男は話しながら神経質に周囲を見回し、何か危険なものが潜んでいないかと物陰を窺った。「人を殺すのが殺人なら、この谷には有り余るほど殺人がある。だが、ジャック・マクギンティの名とそれを結びつけて口にするんじゃないぞ、よそ者さん。どんな囁きもあの人の耳へ届くし、聞き流してくれるような男じゃない。さて、あれが目当ての家だ。通りから少し奥まって建ってる家。下宿を営むジェイコブ・シェフター爺さんは、この町で一番の正直者だよ。」

「ありがとう」マクマードは新しい知人と握手を交わし、旅行鞄を手に家へ続く小道を進んだ。そして玄関の扉を、響き渡るほど強く叩いた。

扉を開けたのは、予想とはまるで違う人物だった。若く、並外れて美しい女である。金髪で肌の白い、いかにもドイツ系らしい容貌だったが、美しい瞳だけは黒く、その鮮やかな対照が魅力を添えていた。女は驚いて見知らぬ男を見つめ、心地よい羞恥に頬を淡く染めた。開いた戸口から差す明るい光に縁取られた姿は、マクマードの目に、これまで見たどんな絵よりも美しく映った。みすぼらしく陰鬱な周囲との対照が、なおさらその魅力を際立たせている。鉱山の黒い鉱滓の山に咲く可憐な菫でさえ、これほど意外には思えなかっただろう。マクマードは見惚れるあまり一言も発せず立ち尽くし、女のほうから沈黙を破った。

「父かと思いました」かすかにドイツ訛りの混じる、心地よい声だった。「父にご用ですか? 町へ出ていますけど、もうすぐ戻るはずです。」

マクマードは遠慮もなく感嘆の眼差しを注ぎつづけた。気後れなど知らぬ訪問者に見つめられ、女は困惑して目を伏せた。

「いや、お嬢さん」ようやく彼は言った。「お父さんに会うのは急がない。だが、この家なら下宿にいいと勧められてね。俺に合うかと思って来たんだが――今、間違いなく合うとわかった。」

「決めるのがお早いんですね」と女は微笑んだ。

「目の見えない男でもないかぎり、誰だって即決するさ。」

女はそのお世辞に笑った。「どうぞお入りください」と言った。「私はミス・エティ・シェフター。シェフターの娘です。母は亡くなったので、私が家を切り盛りしています。父が戻るまで、表の部屋でストーブに当たっていてください――あら、帰ってきたわ! これですぐ父とお話ができますね。」

大柄な年配の男が、重い足取りで小道を歩いてきた。マクマードは手短に用件を説明した。シカゴでマーフィーという男に、この住所を教わったという。マーフィーも別の誰かから聞いたらしい。シェフター老人は快く応じた。見知らぬ男は料金に異存を唱えず、あらゆる条件を即座に受け入れ、懐にもかなり余裕があるらしい。週七ドルの前払いで、食事と部屋を提供してもらうことになった。

こうして、自ら法の追跡を逃れてきたと認めるマクマードは、シェフター家の屋根の下に住みはじめた。遠く離れた異国の地で終わりを迎える、長く暗い一連の事件へ至る最初の一歩だった。

第二章 支部長

マクマードは、たちまち頭角を現す男だった。どこへ行こうと、周囲の者はすぐその存在を思い知らされる。一週間もしないうちに、シェフター家で断然もっとも重要な人物となっていた。下宿人は十人か十二人いたが、いずれも実直な現場監督か、店勤めの平凡な事務員で、若いアイルランド人とは人間の器がまるで違った。夜になって皆が集まれば、一番気の利いた冗談を言うのも、一番面白い話をするのも、一番うまく歌うのも彼だった。生まれながらの座持ち上手であり、周囲の誰からも陽気さを引き出す、不思議な魅力を備えていた。

だが列車内で見せたように、突然激しい怒りを爆発させる一面も、繰り返し露わになった。そのため、接する者は敬意を抱き、ときには恐れさえした。また、法律とそれに関わる者すべてを激しく侮蔑しており、その態度は同宿人の一部を喜ばせ、ほかの者を不安にさせた。

家の娘に対する露骨な賞賛から、マクマードがその美しさと優雅さを目にした瞬間、心を奪われたことは初めから明らかだった。遠慮がちな求婚者ではない。二日目には愛していると告げ、それからというもの、エティがどれほど思いとどまらせようと、まるで意に介さず同じ言葉を繰り返した。

「ほかに男がいる?」と彼は叫ぶのだった。「そいつはお気の毒だ! せいぜい自分の身を案じることだな! ほかの男のために、俺が一生に一度の機会も、心からの願いも諦めろっていうのか? エティ、今は何度でも嫌だと言えばいい。いつか必ず、うんと言う日が来る。俺はまだ若い。待つ時間ならたっぷりあるさ。」

滑らかなアイルランド人の弁舌と、優しく甘えるような物腰を備えた、危険な求婚者だった。さらに、経験と謎が織りなす魅惑が彼を包んでいた。それは女の興味を引き、やがて愛へと変えてゆく。故郷モナハン県の美しい谷々について、彼は語ることができた。遥か彼方の麗しい島、そのなだらかな丘と緑の牧草地は、煤煙と雪に覆われたこの土地から想像の目で眺めると、いっそう美しく思えた。

北部の都会生活にも通じていた。デトロイト、ミシガンの伐採キャンプ、そして最後はシカゴ。そこでは製材所で働いていたという。さらにその先には、ほのかなロマンスがあった。あの大都市で、何か奇妙な出来事が彼の身に起きたらしい。あまりに異常で個人的なため、口にできないような何かが。突然の出奔、古い絆との決別、未知の世界への逃亡、そしてこの寂しい谷への流着――彼はそれを物悲しく語った。エティは、哀れみと共感に黒い瞳を輝かせながら聞いていた。どちらも、いとも早く、いとも自然に愛へ変わりうる感情である。

マクマードは教養があったため、臨時の帳簿係の仕事を得ていた。日中のほとんどは仕事に取られ、まだフリーメン結社の支部長へ出頭する機会を見つけられずにいた。だがある晩、列車で出会った仲間マイク・スキャンランが訪ねてきて、その怠慢を思い出させた。小柄で尖った顔をし、落ち着きのない黒い目をしたスキャンランは、再会を喜んでいる様子だった。ウイスキーを一、二杯飲むと、訪問の目的を切り出した。

「なあ、マクマード」と彼は言った。「住所を覚えてたんで、思い切って訪ねてきた。あんたがまだ支部長へ顔を出してないと聞いて驚いたよ。どうしてボス・マクギンティに会ってないんだ?」

「まず仕事を見つける必要があった。忙しかったんだ。」

「ほかのことに使う時間がなくても、あの人に会う時間だけは作れ。まったく、あんたは馬鹿だぞ! ここへ来た翌朝、真っ先にユニオン・ハウスへ行って名を登録しなかったなんて! あの人の機嫌を損ねたら――いや、何があっても損ねちゃいかん。それだけだ!」

マクマードは軽く驚いた顔をした。「俺は二年以上も結社に入ってるんだぞ、スキャンラン。だが、義務がそこまで差し迫ったものだとは聞いたことがない。」

「シカゴじゃ違ったのかもな。」

「ここでも同じ結社だろう。」

「そうかな?」

スキャンランは長いあいだ、じっと彼を見つめた。その目には不吉な光があった。

「違うのか?」

「一月後にも同じことが言えるか、聞いてみたいね。俺が列車を降りたあと、巡査たちと一悶着あったそうだな。」

「どうして知ってる?」

「そりゃ広まるさ――この辺りじゃ、いい話も悪い話もすぐ広まる。」

「ああ、そうだ。あの犬どもに、思ってることを言ってやった。」

「神に誓って、あんたはマクギンティの気に入る男だ!」

「何だ、あの人も警察が嫌いなのか?」

スキャンランは声を上げて笑った。「会いに行けよ、若いの」そう言って腰を上げた。「行かなきゃ、警察じゃなくあんたが嫌われる! 友達の忠告だ。今すぐ行け!」

偶然にも同じ晩、マクマードは、いっそう切迫した別の話し合いを持つことになり、それもまた同じ方向へ彼の背を押した。エティに寄せる思いが以前より露骨になったのか、それとも善良なドイツ人の家主が鈍いながらも次第に気づいたのか。原因はともかく、下宿屋の主人は若者を自室へ招き入れ、前置き抜きで本題に入った。

「どうもあんたは」と老人は言った。「うちのエティに惚れ込んどるように見える。違うかね?」

「そのとおりです」と若者は答えた。

「なら、今すぐ言っておくが、何をしても無駄だ。あんたより先に入り込んだ男がおる。」

「本人から聞きました。」

「なら、本当だとわかるだろう。だが相手が誰か、あの子は言ったかね?」

「いいえ。尋ねたが、教えてくれなかった。」

「そうだろうとも、あのおてんば娘め! あんたを怖がらせて追い払いたくなかったのかもしれん。」

「怖がらせるだって!」

マクマードは瞬く間に激昂した。

「そうとも、あんた! あの男を恐れたところで恥にはならん。テディ・ボールドウィンだ。」

「そいつはいったい何者です?」

「スコウラーズの幹部だ。」

「スコウラーズ! 前にも聞いた。何かといえばスコウラーズ、スコウラーズ。それも決まって囁き声だ! あんたたちは何をそんなに怖がってる? スコウラーズとは何者なんだ?」

下宿屋の主人は、その恐るべき団体について話す者が誰でもするように、本能的に声を潜めた。「スコウラーズとはな」老人は言った。「フリーメン結社のことだ!」

若者は目を見張った。「何だって。俺もその結社の一員だ。」

「あんたが! 知っていたら、決してこの家には入れなかった。一週間に百ドル払うと言われてもな。」

「結社の何が悪い? 慈善と親睦のための組織だ。規則にもそう書いてある。」

「よそではそうかもしれん。だが、ここでは違う!」

「ここでは何なんだ?」

「殺人結社だ。それが正体だ。」

マクマードは信じられないというように笑った。「どうやって証明する?」と尋ねた。

「証明だと! 五十件もの殺人が証明ではないのか? ミルマンとヴァン・ショーストはどうだ。ニコルソン一家は? ハイアム老人は? 幼いビリー・ジェームズは? ほかの者たちは? 証明だと! この谷で、その事実を知らぬ男や女が一人でもいるか?」

「いいですか!」マクマードは真剣に言った。「今の言葉を取り消すか、さもなければ証拠を示してもらいたい。この部屋を出る前に、どちらか一方はしてもらう。俺の立場で考えてください。俺はこの町へ来たばかりだ。無害なものとしか知らない結社に属している。合衆国のどこへ行っても見つかるが、どこでも無害な組織だ。ここでも入ろうと思っていたところへ、あなたはそれがスコウラーズという殺人結社と同じものだと言う。シェフターさん、俺には謝罪か説明のどちらかを受ける権利があるはずだ。」

「世間じゅうが知っていることを言うしかない。一方の幹部は、もう一方の幹部でもある。一方を怒らせれば、もう一方が襲ってくる。われわれは何度も思い知らされてきた。」

「ただの噂だ――俺は証拠が欲しい!」とマクマードは言った。

「ここに長く住めば、嫌でも証拠を見ることになる。だが、あんた自身も仲間だったな。すぐにほかの連中と同じ悪党になるだろう。だが、宿はほかで探してもらう。この家には置けん。あの連中の一人がエティに言い寄り、断る勇気すら持てんだけでも十分ひどいのに、さらにもう一人を下宿させろというのか? 断じてならん。今夜かぎりで出ていってもらう!」

マクマードは、居心地のよい宿からも、愛する娘からも追放を言い渡された。その晩、居間に一人でいるエティを見つけると、胸の悩みをすべて打ち明けた。

「まったく、君のお父さんに出ていけと言われたよ」と彼は言った。「部屋を失うだけなら、どうってことはない。だがエティ、君と知り合ってまだ一週間だっていうのに、君はもう俺の命の息吹そのものなんだ。君なしじゃ生きられない!」

「ああ、やめて、マクマードさん。そんなことを言わないで!」と娘は言った。「もう遅すぎるとお話ししたでしょう? ほかの人がいるんです。今すぐ結婚すると約束したわけではないけれど、だからといって、ほかの誰かと約束することもできません。」

「もし俺が先だったら、エティ。望みはあったか?」

娘は顔を両手で覆った。「あなたが先だったら、どんなによかったか!」とすすり泣いた。

マクマードはたちまち彼女の前に跪いた。「お願いだ、エティ、それだけを答えにしてくれ!」と叫んだ。「その約束のために、自分の人生も俺の人生も台無しにするのか? 心に従うんだ、愛しい人! 自分が何を言っているかも知らずに交わした約束より、心のほうがずっと確かな道案内だ。」

エティの白い手を、自分の強く日に焼けた両手で包み込んだ。

「俺のものになると言ってくれ。二人で何もかもに立ち向かおう!」

「ここで?」

「ああ、ここで。」

「だめ、だめよ、ジャック!」

すでに彼の腕が彼女を抱いていた。「ここでは無理。私を連れて逃げてくれる?」

一瞬、マクマードの顔に葛藤が走った。だが、やがて花崗岩のように固く引き締まった。「いや、ここに残る」と言った。「エティ、この場所で、世界中を敵に回してでも君を守る!」

「どうして二人で出ていけないの?」

「だめだ、エティ。俺はここを離れられない。」

「でも、なぜ?」

「追い出されたと思いながらじゃ、二度と胸を張って歩けない。それに、何を恐れる必要がある? 俺たちは自由な国に生きる自由な人間じゃないか。君が俺を愛し、俺が君を愛しているなら、誰が間に割って入れる?」

「あなたは知らないのよ、ジャック。ここへ来て日が浅すぎる。ボールドウィンを知らない。マクギンティも、あの人のスコウラーズも知らない。」

「ああ、知らない。だが恐れてもいないし、奴らの話を信じてもいない!」とマクマードは言った。「俺は荒くれ男たちのなかで生きてきたんだ、愛しい人。俺が奴らを恐れるどころか、最後にはいつも奴らのほうが俺を恐れた――いつだってそうだった、エティ。話そのものが馬鹿げてる! 君のお父さんが言うように、奴らが谷で次々と犯罪を重ね、誰もがその名を知っているなら、なぜ一人も裁かれない? 答えてくれ、エティ!」

「誰も証人として名乗り出る勇気がないからよ。そんなことをしたら、一月も生きられない。それに、告発された者が犯行現場から遠く離れていたと誓う仲間が、いつも大勢いるの。けれどジャック、こんなことは新聞で読んだはずでしょう。合衆国のあらゆる新聞が書き立てていると聞いていたわ。」

「まあ、確かに少しは読んだ。だが作り話だと思ってたんだ。もしかすると、奴らの行いにも何か理由があるのかもしれない。不当に苦しめられ、自分を救う手段がほかにないのかも。」

「ああ、ジャック、そんなことを言わないで! あの人も同じことを言うの――もう一人の人も!」

「ボールドウィンがそんなことを?」

「ええ。だから私は、あの人がたまらなく嫌いなの。ああ、ジャック、今なら本当のことが言える。私は心の底からあの人を憎んでいる。でも同時に怖いの。自分の身も怖いけれど、それ以上に父の身が怖い。本心を口にしたら、きっと私たちに大変な不幸が降りかかる。だから曖昧な約束をして、返事を引き延ばしてきたの。それしか望みがなかったから。でも私と逃げてくれるなら、ジャック、父も一緒に連れていける。この悪い人たちの力が届かない所で、いつまでも暮らせるわ。」

再びマクマードの顔に葛藤が浮かび、再び花崗岩のように固まった。「エティ、君には指一本触れさせない――君のお父さんにもな。悪党ということなら、すべてが終わる頃には、俺も奴らのなかで一番の悪党と変わらないとわかるかもしれない。」

「いいえ、違うわ、ジャック! 私はどこにいてもあなたを信じる。」

マクマードは苦々しく笑った。「まったく、君は俺のことを何も知らないんだな! 愛しい人、その無垢な心では、俺の胸に何が渦巻いているか想像すらできない。おや、誰か来たぞ?」

扉が突然開き、若い男が我が物顔で肩を揺すりながら入ってきた。年齢も体格もマクマードとほぼ同じ、顔立ちの整った威勢のよい若者だった。脱ごうともしない、つば広の黒いフェルト帽の下から、猛々しく支配的な目と、鷹の嘴のように曲がった鼻を持つ端整な顔が、ストーブ脇に座る二人を凶暴に睨んでいた。

エティは困惑と恐怖に駆られ、さっと立ち上がった。「いらっしゃい、ボールドウィンさん」と言った。「思っていたより早かったのね。どうぞ座って。」

ボールドウィンは両手を腰に当て、マクマードを見つめた。「こいつは誰だ?」ぶっきらぼうに尋ねた。

「私のお友達です、ボールドウィンさん。新しく来た下宿人よ。マクマードさん、こちらはボールドウィンさんです。」

若者二人は、不機嫌に軽く頷き合った。

「エティから、俺たちの関係は聞いてるんだろうな?」とボールドウィンが言った。

「二人に特別な関係があるとは聞いていない。」

「そうか? なら今、理解しろ。この娘は俺のものだ。今夜は散歩にちょうどいい夜だぞ。」

「ご親切に。だが散歩をする気分じゃない。」

「そうかい?」

男の凶暴な目が怒りに燃え上がった。「じゃあ、喧嘩ならする気か、下宿人さんよ!」

「そいつなら大歓迎だ!」マクマードは跳ねるように立ち上がった。「今までで一番ありがたい言葉だ。」

「お願い、ジャック! ああ、お願いだから!」哀れなエティは取り乱して叫んだ。「ジャック、ジャック、この人にひどい目に遭わされるわ!」

「ほう、もうジャックか?」ボールドウィンは罵り声を上げた。「もうそこまで進んでたってわけか?」

「お願い、テッド、わかって――優しくして! 私のために、テッド。少しでも私を愛したことがあるなら、寛大な心で許して!」

「エティ、ここは二人きりにしてくれれば、きちんと話をつけられると思う」とマクマードは静かに言った。「あるいはボールドウィンさん、俺と通りを歩かないか。今夜はいい夜だし、次の区画を越えれば開けた場所がある。」

「手を汚さなくても、きっちり借りは返してやる」と敵は言った。「俺が片をつける頃には、この家へ足を踏み入れたことを心底後悔してるだろうよ!」

「今すぐやればいい」とマクマードは叫んだ。

「時は俺が選ぶ。俺の好きにさせてもらう。これを見ろ!」

突然袖をまくり、前腕に焼きつけられたらしい奇妙な印を見せた。円の中に三角形が描かれている。「こいつの意味がわかるか?」

「知らんし、知りたくもない!」

「そうか。だが必ず思い知る。しかも、そう年を取らないうちにな。エティに聞けば、少しくらい教えてくれるかもな。エティ、おまえはいずれ俺の所へ這って戻ってくる――聞こえたか、小娘? 跪いてな。そのとき、どんな罰を受けるか教えてやる。種を蒔いたのはおまえだ――神に誓って、必ず刈り取らせてやる!」

二人を怒りに満ちた目で見やると、踵を返した。次の瞬間には、外の扉が激しく閉まる音がした。

しばらくマクマードと娘は無言で立ち尽くした。やがてエティが彼に抱きついた。

「ああ、ジャック、なんて勇敢なの! でも、だめ。逃げなければ! 今夜よ――ジャック、今夜! 助かる道はそれしかない。あの人はあなたを殺すわ。恐ろしい目を見ればわかる。マクギンティと支部の力を後ろ盾にした十数人を相手に、あなた一人で何ができるの?」

マクマードは彼女の手をほどき、口づけをして、そっと椅子へ座らせた。「いいんだ、愛しい人。もう大丈夫だ! 取り乱すな。俺の身を案じることもない。俺自身、フリーメンなんだ。さっき君のお父さんにも話した。俺もほかの連中と大差ない男かもしれない。だから聖人扱いはしないでくれ。ここまで聞いたら、君も俺が嫌いになったか?」

「あなたを憎む? ジャック、生きているかぎり、そんなことはできない! フリーメンでも、ここ以外では何も悪いことはないと聞いているわ。だから、それだけであなたを悪く思うはずがない。でもジャック、フリーメンなら、どうして今すぐ出かけてボス・マクギンティを味方につけないの? 急いで、ジャック、早く! 先に話をつけて。でないと、猟犬どもがあなたを追いはじめるわ。」

「俺もそう考えていた」とマクマードは言った。「今すぐ行って、けりをつける。お父さんには、今夜だけはここで眠って、明日の朝には別の宿を探すと伝えてくれ。」

マクギンティの酒場は、いつものように混み合っていた。町の荒くれ者たちにとって、格好のたまり場だったからである。店主は人気者だった。荒々しくも陽気な性格に見えたが、それは背後に潜む多くのものを覆い隠す仮面だった。しかし人気を別にしても、この町全体、いや谷を貫く三十マイル(約四十八キロメートル)の全域と、両側の山々を越えた先にまで及ぶ畏怖だけで、店を満員にするには十分だった。誰もが彼の機嫌を損ねるわけにはいかなかったのである。

万人が、マクギンティは秘密の力を容赦なく振るっていると信じていた。だがそれとは別に、彼は公職に就く有力者でもあった。市会議員にして道路委員。ならず者たちの票で選ばれ、そのならず者たちは見返りとして便宜を期待していた。賦課金と税金は法外に高く、公共事業は周知のとおり放置され、帳簿は買収された監査人によって曖昧に処理された。まっとうな市民は脅され、公権力を装った恐喝に金を払い、さらにひどい災難を恐れて口をつぐんでいた。

こうして年を追うごとに、ボス・マクギンティのダイヤのピンは目立つものとなり、派手さを増すチョッキを横切る金鎖は重くなった。酒場も次々に拡張され、ついにはマーケット広場の一辺を丸ごと呑み込む勢いとなっていた。

マクマードは酒場のスイングドアを押し開け、男たちの群れをかき分けて入っていった。店内は煙草の煙で霞み、強い酒の匂いが立ちこめている。まばゆいほどの照明がともり、壁という壁に掛けられた巨大な金縁の鏡が、けばけばしい光を幾重にも反射していた。シャツの袖をまくった給仕が何人も、真鍮で縁取られた幅広いカウンターに群がる客のため、忙しく酒を調合している。

一番奥に、巨体をカウンターへ預け、口の端から葉巻を鋭い角度で突き出した、長身で頑強な大男が立っていた。名高いマクギンティ本人に違いない。頬骨まで黒い髭に覆われ、漆黒のたてがみのような髪は襟元まで垂れている。肌はイタリア人のように浅黒く、目は異様なまでに光のない黒だった。わずかな斜視も相まって、ひどく不吉な印象を与える。

それ以外のすべて――堂々たる体格、整った顔立ち、率直な立ち居振る舞い――は、彼が好んで見せる豪放で親しみやすい態度によく馴染んでいた。見た者は、口ぶりこそ粗野でも心根は確かな、飾り気のない正直者だと思っただろう。だが、底知れず冷酷な、光のない黒い目を向けられた瞬間、人は身をすくめずにはいられない。その奥に眠る無限の悪意と、それを千倍も危険にする力、勇気、狡猾さを前にしていると悟るからだ。

相手を十分観察すると、マクマードは持ち前の無頓着な大胆さで人垣を押し分けた。権勢あるボスにへつらい、ささいな冗談にも大笑いする取り巻きの小集団を割って進む。見知らぬ若者の大胆な灰色の目は眼鏡越しに、自分へ鋭く向けられた死んだような黒い目を、恐れることなく見返した。

「さて、若いの。見覚えのない顔だな。」

「この町へ来たばかりです、マクギンティさん。」

「来たばかりとはいえ、紳士を正しい肩書で呼べないほどではあるまい。」

「マクギンティ市会議員だ、若いの」と取り巻きの一人が言った。

「失礼しました、市会議員。この土地の流儀に不慣れなもので。ですが、あなたに会うよう勧められました。」

「会えたぞ。これが俺の全部だ。どう思う?」

「まだ判断するには早い。だが、その体ほど心が大きく、その顔ほど魂が立派なら、これ以上は望みません」とマクマードは言った。

「その体ほど心が大きく、その顔ほど魂が立派なら、これ以上は望みません」とマクマードは言った。

「まったく! とにかく口のほうは生粋のアイルランド人らしいな」と酒場の主人は叫んだ。この厚かましい客を面白がるべきか、威厳を示すべきか決めかねていた。

「では、俺の見た目は合格ですか?」

「もちろん」とマクマードは言った。

「俺に会えと言われた?」

「そうです。」

「誰に?」

「バーミッサ第三四一支部の同志スキャンランです。市会議員、あなたの健康と、今後の親交に乾杯。」

受け取ったグラスを唇へ運び、飲みながら小指を立てた。

注意深く見守っていたマクギンティが、太い黒眉を持ち上げた。「ほう、そういうことか」と言った。「なら、もう少し詳しく調べる必要があるな。ミスター――」

「マクマードです。」

「もう少し詳しくな、マクマード君。この辺りじゃ、人を無条件で信用したり、聞かされた話を何でも鵜呑みにしたりはしない。少しこちらへ来い。カウンターの裏だ。」

そこには樽を並べた小部屋があった。マクギンティは慎重に扉を閉めると、樽のひとつに腰を下ろした。考え込むように葉巻を噛み、不穏な目で連れを見つめる。二分ほど、完全な沈黙が続いた。マクマードは平然と視線を受け止め、片手を上着のポケットへ入れ、もう一方の手で褐色の口髭をひねっていた。突然、マクギンティは身を屈め、凶悪な形の拳銃を取り出した。

「いいか、ふざけた野郎」と彼は言った。「もし俺たちに何か企んでいるなら、おまえの命は一瞬で終わるぞ。」

「フリーメンの支部長が、よそから来た同志へする歓迎としては、ずいぶん奇妙ですね」マクマードは気品を崩さず答えた。

「ああ。だが、おまえが同志だと証明する必要がある」とマクギンティは言った。「できなければ神も救えんぞ! どこで入会した?」

「シカゴ第二九支部。」

「いつだ?」

「一八七二年六月二十四日。」

「支部長は?」

「ジェームズ・H・スコット。」

「地区長は誰だ?」

「バーソロミュー・ウィルソン。」

「ふむ! 合言葉の試験にはすらすら答えるな。ここで何をしている?」

「あなたと同じく働いてます――もっと安い仕事ですが。」

「切り返しも早いな。」

「昔から口はよく回るんです。」

「行動も早いか?」

「俺をよく知る者の間では、そういう評判でした。」

「よし。思ったより早く試すことになるかもしれんな。この辺りの支部について何か聞いたか?」

「同志になるには、男でなければ務まらないと聞きました。」

「そのとおりだ、マクマード君。なぜシカゴを出た?」

「そいつは死んでも言いません!」

マクギンティは目を見開いた。こんな口を利かれることには慣れていなかったが、かえって面白がった。「なぜ言わん?」

「同志に嘘をつくわけにはいかないからです。」

「つまり、真実は口にできないほど悪いということか?」

「そう取りたければ、ご自由に。」

「いいか、支部長たる俺が、過去について説明できない男を支部へ入れられると思うか?」

マクマードは困惑した顔をした。やがて内ポケットから、擦り切れた新聞の切り抜きを取り出した。

「仲間を売ったりはしませんよね?」と彼は言った。

「俺に向かってそんな言葉を使ったら、その顔を張り飛ばすぞ!」マクギンティは激しく叫んだ。

「おっしゃるとおりです、市会議員」マクマードは素直に言った。「謝ります。考えずに口にしてしまった。あなたになら任せても安全だとわかっています。この記事を見てください。」

マクギンティは、一八七四年の新年の週、シカゴのマーケット通りにあるレイク酒場で、ジョナス・ピントなる男が射殺された事件の記事へ目を走らせた。

「おまえがやったのか?」新聞を返しながら尋ねた。

マクマードは頷いた。

「なぜ撃った?」

「俺はアンクル・サムのドル作りを手伝ってたんです。俺の作ったものは政府のドルほど純金じゃないかもしれないが、見た目は同じで、作る費用も安かった。ピントは俺と一緒に偽金をさばいていた――」

「何をしていた?」

「偽ドルを世間に流通させるってことです。ところが奴は、ばらすと言いだした。もしかすると本当にばらしたかもしれない。だが確かめる気はなかった。殺して、炭鉱地帯へ逃げてきました。」

「なぜ炭鉱地帯へ?」

「新聞で、この辺りの人間は過去にあまり細かくないと読んだからです。」

マクギンティは笑った。「最初は贋金造り、次には人殺し。そして歓迎されると思ってここへ来たわけか。」

「だいたい、そんなところです」とマクマードは答えた。

「なるほど、おまえは出世するぞ。ところで、まだそのドルは作れるのか?」

マクマードはポケットから六枚ほど取り出した。「こいつは一枚たりともフィラデルフィア造幣局を通っていません。」

「本当か!」

マクギンティは、ゴリラのように毛深い巨大な手で硬貨を光にかざした。「違いがまるでわからん。まったく、おまえはとんでもなく役に立つ同志になりそうだ! マクマード同志、俺たちの間には一人や二人、悪党がいてもいい。自分の身は自分で守らねばならんときもあるからな。押してくる奴を押し返さなければ、たちまち壁際へ追い詰められる。」

「なら俺も、ほかの連中と一緒に精いっぱい押し返しましょう。」

「肝も据わっているようだ。この銃を向けても身じろぎひとつしなかった。」

「危険だったのは俺じゃありませんから。」

「では誰だ?」

「あなたですよ、市会議員。」

マクマードはピーコートの脇ポケットから、撃鉄を起こした拳銃を取り出した。「ずっとあなたを狙っていました。俺の弾も、あなたと同じくらい早かったでしょう。」

「まったく!」

マクギンティの顔が怒りで真っ赤になったが、次の瞬間には轟くように笑いだした。「こんな筋金入りの怪物が転がり込んできたのは何年ぶりだろうな。支部も、いずれおまえを誇りに思うようになるだろう……ところで、いったい何の用だ? 俺が紳士と五分話している間くらい、邪魔せずにいられんのか?」

給仕が縮み上がって立っていた。「すみません、市会議員。ですがテッド・ボールドウィンが、今すぐ会わなければならないと。」

伝言は不要だった。硬く残忍な本人の顔が、給仕の肩越しに覗いていたからである。ボールドウィンは給仕を押しのけ、扉を閉めた。

「なるほど」マクマードを怒りの目で見ながら言った。「先回りしたってわけか。この男について話があります、市会議員。」

「なら今ここで、俺の面前で言え」とマクマードは叫んだ。

「いつ、どう話すかは俺が決める。」

「まあ、まあ!」マクギンティは樽から立ち上がった。「そいつはいかん。ボールドウィン、ここには新しい同志がいる。そんな挨拶をするものじゃない。手を出して仲直りしろ!」

「断る!」ボールドウィンは激怒して叫んだ。

「俺が何か悪いことをしたと思うなら、勝負しようと申し出た」とマクマードは言った。「拳でやってもいい。それで満足できないなら、こいつの選ぶどんな方法でも受ける。市会議員、支部長として俺たちの間を裁いてください。」

「何があった?」

「一人の娘をめぐる争いです。娘には自分で選ぶ自由がある。」

「あるだと?」ボールドウィンが叫んだ。

「支部の同志二人の間でなら、あると言うべきだろうな」とボスは言った。

「ほう、それがあんたの裁定か?」

「そうだ、テッド・ボールドウィン」マクギンティは凶悪な目を向けた。「おまえは俺の裁定に異を唱えるのか?」

「五年間あんたを支えてきた俺を捨て、生まれて初めて会った男を選ぶのか? あんたが一生、支部長でいられるわけじゃないぞ、ジャック・マクギンティ。神に誓って、次の投票では――」

市会議員は虎のように飛びかかった。片手で相手の首を締め上げ、樽の上へ叩きつける。狂怒に駆られ、そのまま息の根を止めかねなかったが、マクマードが割って入った。

「落ち着いて、市会議員! お願いだから手加減を!」叫びながら引き離した。

マクギンティが手を放すと、恐怖に屈し、全身を震わせながら喘いでいたボールドウィンは、投げつけられた樽の上で身を起こした。死の淵を間近に覗き込んだ者の姿だった。

「ここ何日も自分から招いていたんだぞ、テッド・ボールドウィン――今、望みどおりになったな!」マクギンティは巨大な胸を上下させながら叫んだ。「俺が支部長選挙で負けたら、自分が後釜に座れると思ってるのかもしれんな。それを決めるのは支部だ。だが俺が長でいるかぎり、俺や俺の裁定に逆らう声は、誰にも上げさせん。」

「あんたに逆らうつもりはない」ボールドウィンは喉をさすりながら呟いた。

「ならば」たちまち豪放で陽気な態度へ戻り、マクギンティは叫んだ。「俺たちはまた仲間だ。これで一件落着だ。」

棚からシャンパンの瓶を取り、栓をひねり抜いた。

「さあ」三つの背の高いグラスを満たしながら続けた。「支部の仲直りの乾杯をしよう。これを済ませれば、知ってのとおり、もはや遺恨は残せん。では左手を喉仏へ。テッド・ボールドウィン、問おう。罪はいかなるものか?」

「雲は重く垂れこめる」とボールドウィンは答えた。

「されど、いつか必ず晴れ渡る。」

「ここに誓う!」

男たちはグラスを干した。同じ儀式が、ボールドウィンとマクマードの間でも行われた。

「よし!」マクギンティは両手をこすり合わせた。「これで悪い血は流しきった。これ以上こじらせれば支部の処罰を受けるぞ。この辺りじゃ重い罰になる。同志ボールドウィンは知っている――同志マクマード、おまえも揉め事を起こせば、すぐ嫌というほど思い知るだろう!」

「いや、そいつは願い下げです」とマクマードは言った。ボールドウィンへ手を差し出した。「俺は喧嘩を始めるのも早いが、許すのも早い。熱いアイルランド人の血のせいらしい。だが俺のなかではもう終わった。恨みはない。」

恐るべきボスの禍々しい目が注がれていたため、ボールドウィンも差し出された手を握らざるをえなかった。だが不機嫌な顔を見れば、相手の言葉に少しも心を動かされていないことは明らかだった。

マクギンティは二人の肩を叩いた。「まったく、女ってやつは! 女ってやつは!」と叫んだ。「同じスカート一枚が、俺の若い衆二人の間に割って入るとはな! 悪魔のいたずらとしか思えん! まあ、決着をつけるのはスカートの中の娘自身だ。支部長の管轄外だからな――そいつは神に感謝しよう! 女のことまで抱え込まずとも、仕事は十分すぎるほどある。同志マクマード、おまえには第三四一支部へ移籍してもらう。ここにはシカゴとは違う、独自のやり方としきたりがある。集会は土曜の晩だ。そのとき来れば、以後おまえはバーミッサ渓谷で完全な自由を認められる。」

第三章 バーミッサ第三四一支部

多くの刺激的な出来事が起きた晩の翌日、マクマードはジェイコブ・シェフター老人の家を出て、町の最外れにあるマクナマラ未亡人の家へ移った。列車内で最初に知り合ったスキャンランも、その少し後でバーミッサへ移る必要が生じ、二人は同宿することになった。ほかに下宿人はいない。家主は鷹揚なアイルランド人の老女で、二人を好きにさせていた。共通の秘密を持つ男たちにとって、言葉にも行動にも自由があるのはありがたかった。

シェフターも態度を和らげ、マクマードが望むときには家へ食事に来ることを許した。そのため、エティとの交流が断たれることはなかった。それどころか、週を重ねるにつれて、二人の関係はますます深く親密になっていった。

新しい宿の寝室なら安全だと考えたマクマードは、贋金製造用の鋳型を取り出した。秘密を守ると何度も誓わせたうえで、支部の同志たちを何人も部屋へ招き、それを見せた。訪れた者は皆、精巧に打ち出された偽金を何枚かポケットに入れて帰った。あまりによくできているため、使ってもわずかな困難や危険すらなかった。これほど見事な技術を持ちながら、なぜマクマードがわざわざ働くのかは、仲間たちにとって永遠の謎だった。もっとも本人は、目に見える収入源もなく暮らしていれば、たちまち警察に目をつけられるからだと、尋ねた者にははっきり説明した。

実際、一人の警官がすでに彼を追ってきた。だが幸運にも、その出来事はこの冒険者にとって害よりはるかに大きな利益をもたらした。最初に紹介されて以来、マクマードはほとんど毎晩、マクギンティの酒場へ通い、「若い衆」と呼ばれる連中と親交を深めた。「若い衆」とは、その店に巣くう危険な一団が、互いを陽気に呼び合う通称だった。威勢のよい態度と恐れを知らぬ物言いで、彼は全員のお気に入りとなった。さらに、酒場で起きた無制限の乱闘で、科学的かつ電光石火の早業により相手を叩きのめしたことで、その荒々しい仲間たちの敬意も勝ち取った。だが別の一件が、彼の評価をさらに高めることになった。

ある晩、店がもっとも混み合う時刻に扉が開き、静かな青い制服と制帽を身につけた鉱山警察の男が入ってきた。鉱山警察とは、この一帯を恐怖に陥れる組織的な暴力団を前に、通常の警察がまったく無力だったため、鉄道会社と炭鉱所有者がその働きを補う目的で設けた特別組織である。男が入ると店内は静まり、多くの好奇の視線が向けられた。だが合衆国の一部では、警官と犯罪者の関係は奇妙なものである。カウンターの内側に立つマクギンティ自身も、警官が客の一人となっても驚く様子を見せなかった。

「ストレートのウイスキーを。今夜はひどく冷える」と警官は言った。「市会議員、以前お会いしたことはなかったと思いますが?」

「あんたが新任の警部か?」とマクギンティは言った。

「そのとおり。この町の法と秩序を守るため、市会議員をはじめとする有力市民の皆さんに協力していただきたい。私はマーヴィン大尉です。」

「あんたたちがいないほうが、うまくいくんだがな、マーヴィン大尉」マクギンティは冷ややかに言った。「町には町の警察がある。よそから持ち込まれた品など必要ない。あんたたちは資本家に金で雇われ、貧しい同胞を警棒で殴り、銃で撃つ手先にすぎんだろう?」

「まあまあ、その議論はやめておきましょう」警官は愛想よく言った。「誰もが自分なりに義務を果たしているのでしょう。ただ、同じものが同じように見えるとはかぎらない。」

グラスを飲み干して帰ろうとしたとき、すぐそばで顔をしかめていたジャック・マクマードが目に入った。「おや、おや!」男を頭から爪先まで見て叫んだ。「懐かしい顔がいるじゃないか!」

マクマードは身を引いた。「俺は生まれてこのかた、あんたにも、ほかの忌々しい警官にも、友達だったことはない」と言った。

「知り合いが必ずしも友達とはかぎらんさ」警部はにやりとした。「おまえはシカゴのジャック・マクマードだ。間違いない。否定しても無駄だぞ!」

マクマードは肩をすくめた。「否定なんかしない」と言った。「自分の名前を恥じてるとでも思うのか?」

「恥じる理由なら十分あるがな。」

「どういう意味だ、こら?」拳を握り締め、怒鳴った。

「よせよせ、ジャック。俺に虚勢は通じん。こんな忌々しい石炭穴へ来る前は、シカゴで警官をしていた。シカゴの悪党なら、見ればわかる。」

マクマードの顔色が変わった。「まさか、シカゴ中央署のマーヴィンじゃないだろうな!」と叫んだ。

「昔と変わらぬテディ・マーヴィンだ。よろしく。向こうじゃ、ジョナス・ピント射殺事件を忘れちゃいないぞ。」

「俺は撃ってない。」

「そうなのか? こりゃ実に公平な証言だな。まあ、奴が死んだのはおまえにとって、ずいぶん都合がよかった。でなければ贋金をさばいた件で捕まっていたはずだ。もっとも、昔のことは水に流してもいい。ここだけの話――こんなことを言うのは職務を越えてるかもしれんが――連中はおまえに対する決定的な証拠を何ひとつ握っていない。明日にでも、堂々とシカゴへ戻れるぞ。」

「俺は今いる所で十分満足してる。」

「せっかく耳寄りな話を教えてやったのに、礼ひとつ言わんとは、つれない奴だ。」

「まあ、善意で言ってるんだろう。礼は言う」マクマードは、あまりありがたくもなさそうに答えた。

「おまえがまっとうに暮らしているうちは、俺も黙っている」と警部は言った。「だが、神に誓って、今後道を外れたら話は別だ! では、おやすみ――市会議員も、おやすみなさい。」

警部は酒場を出ていった。だがその前に、一人の地元の英雄を誕生させていた。遠いシカゴでのマクマードの武勇は、以前から囁かれていた。本人は、偉大さを押しつけられるのを嫌う男のように笑って、あらゆる質問をかわしてきた。だが今や、警察のお墨付きが得られたのだ。酒場の暇人たちは彼を取り囲み、心を込めて握手した。このときから、彼は完全に仲間として認められた。マクマードは相当飲んでも顔に出ない男だったが、その晩ばかりは相棒スキャンランが家まで連れて帰らなければ、もてはやされた英雄は、間違いなくカウンターの下で夜を明かしただろう。

土曜の晩、マクマードは支部へ迎え入れられた。シカゴですでに入会しているため、儀式なしで加われると思っていた。だがバーミッサには、彼らが誇りとする独自の儀式があり、志願者は誰もがそれを受けなければならなかった。集会はユニオン・ハウス内の専用の大広間で開かれた。バーミッサでは約六十名が集まったが、これは組織の全勢力にはほど遠い。谷にはほかにも複数の支部があり、両側の山を越えた地域にも支部があった。重大な仕事が起きれば互いに人員を融通し、土地に顔を知られていない者に犯行を行わせる。炭鉱地帯全体では、少なくとも五百名が散在していた。

飾り気のない集会室で、男たちは長い卓を囲んでいた。脇には瓶とグラスを山ほど載せた別の卓があり、早くもそちらへ目を向けている者もいた。マクギンティは上座に座り、もじゃもじゃの黒髪に平たい黒ビロードの帽子をかぶり、首には紫色の肩帯を掛けていた。まるで悪魔の儀式を司る司祭のようだった。その左右には支部の上級役員が並び、残忍だが端整なテッド・ボールドウィンの顔もあった。各人が役職の印として、肩帯やメダルを身につけている。

役員の大半は壮年の男だったが、ほかは十八歳から二十五歳までの若者で占められていた。年長者の命令を実行する、敏捷で有能な手先たちである。年配者のなかには、その顔に虎のような凶暴さと無法な魂を露わにした者も多かった。だが一般の構成員を見れば、この血気盛んで明るい顔をした若者たちが、本当に危険な殺人者集団だとは信じがたい。彼らの精神は道徳的に完全に倒錯し、仕事の腕前を恐ろしいほど誇りにしていた。彼らの言う「きれいな仕事」をやってのけると評判の男には、最大の敬意を払った。

ねじ曲がった彼らの心にとって、自分に何の害も与えず、多くの場合は会ったことすらない相手を襲う仕事へ志願するのは、勇敢で騎士道的な行為となっていた。犯行が終われば、誰が実際に致命傷を与えたかで言い争い、殺された男の悲鳴や身悶えを面白おかしく語り、互いを楽しませた。

初めのうちは、計画にも多少の秘密を守っていた。だがこの物語の時点では、行動は驚くほど公然たるものとなっていた。法が何度も彼らを裁き損ねた結果、一方では誰も彼らに不利な証言をする勇気がなく、他方では必要とあらば呼び出せる忠実な偽証者が無数におり、州内最高の弁護士を雇えるだけの資金を蓄えた金庫もあると、彼らは知ったからだ。十年に及ぶ暴虐のなかで、有罪判決はただの一度もなかった。スコウラーズにとって唯一の危険は被害者自身だった。多勢に無勢で不意を突かれても、襲撃者に傷を負わせる者が、ときおり実際にいたのである。

マクマードは、何らかの試練が待っていると警告されていたが、その内容を教える者はいなかった。今、二人の厳粛な同志に付き添われ、控え室へ連れていかれた。板壁の向こうから、集会に参加する大勢の声がざわめきとなって聞こえる。一、二度、自分の名が耳に入り、入会資格について審議しているのだとわかった。やがて、胸に緑と金の肩帯を掛けた内衛が入ってきた。

「支部長の命令である。志願者を縛り、目隠しをして、入場させよ」と言った。

三人はマクマードの上着を脱がせ、右腕の袖をまくり、最後に両肘の上へ縄を回して固く縛った。次に厚い黒布を頭から顔の上半分までかぶせ、何も見えないようにした。それから集会室へ連れていった。

頭巾の下は真っ暗で、ひどく息苦しかった。周囲の人々が身じろぎし、囁き合う音が聞こえる。やがて耳を覆う布越しに、マクギンティの声が鈍く遠く響いた。

「ジョン・マクマード」声は言った。「そなたはすでに古式フリーメン結社の一員か?」

彼は肯定の意を示して頭を下げた。

「所属はシカゴ第二九支部か?」

再び頭を下げた。

「暗い夜は嫌なものだ」と声が言った。

「旅するよそ者にとっては」と答えた。

「雲は重く垂れこめる。」

「嵐が近づいている。」

「同志諸君、異議はあるか?」と支部長が尋ねた。

一同から、異議なしというざわめきが起こった。

「同志よ、その所作と合言葉により、そなたが真にわれらの一員であることは証明された」とマクギンティは言った。「ただし、この郡および近隣の郡には、独自の儀式と義務がある。どちらも勇気ある男を必要とする。試練を受ける覚悟はあるか?」

「ある。」

「心は強いか?」

「強い。」

「ならば一歩踏み出し、証明せよ。」

その言葉と同時に、両目の前へ二つの硬い尖端が押しつけられた。一歩でも進めば、目を失いそうに思えた。それでも覚悟を決め、断固として前へ踏み出す。すると圧力はたちまち消えた。低い賞賛のざわめきが起こった。

「心は強い」と声が言った。「痛みに耐えられるか?」

「人並みには」と彼は答えた。

「試せ!」

前腕に焼けつくような激痛が走り、叫ばずにいるだけで精いっぱいだった。突然の衝撃に気を失いそうになったが、唇を噛み、両手を握り締めて苦痛を隠した。

叫ばずにいるだけで精いっぱいだった。

「これくらいなら、まだ耐えられる」と言った。

今度は大きな拍手が湧いた。支部の歴史でも、これほど見事な初舞台はなかった。いくつもの手が背を叩き、頭巾が頭から引き抜かれた。マクマードは目をしばたたかせ、微笑みながら同志たちの祝福を受けた。

「最後にひとつ、同志マクマード」とマクギンティは言った。「すでに秘密保持と忠誠の誓いを立てており、それを破った者には即座に、必ず死が下されると承知しているな?」

「承知しています」とマクマードは言った。

「いかなる状況においても、現職の支部長の裁定に従うか?」

「従います。」

「ならばバーミッサ第三四一支部の名において、その権利と審議へそなたを迎える。同志スキャンラン、酒を卓へ運べ。立派な同志に乾杯しよう。」

上着が運ばれてきたが、身につける前に、まだ激しくひりつく右腕を調べた。前腕の肉には、焼き鏝が残した、円の中に三角形を描いた印が、深く赤々と刻まれていた。隣の一、二人も袖をまくり、自分の支部印を見せた。

「誰もが受けた」と一人が言った。「だが、あんたほど勇敢だった者ばかりじゃない。」

「こんなもの、何でもない」と彼は言った。だが、それでも焼けつくように疼いていた。

入会儀式のあとの酒をすべて飲み終えると、支部の議事が始まった。平凡なシカゴの活動しか知らないマクマードは、驚きを顔へ出しすぎないよう努めながら、その後の話へ耳を傾けた。

「議題の第一は」とマクギンティは言った。「マートン郡第二四九支部の地区長、ウィンドルから届いた次の手紙だ。こう書かれている。

「拝啓――当地近郊の炭鉱所有者、レイ&スターマッシュ社の
アンドルー・レイに対し、処理すべき仕事がある。昨秋の巡査の
一件で、貴支部へ同志二名を貸し出しており、返礼がまだである
ことは覚えているだろう。腕の立つ男を二名送られたい。当支部
会計係ヒギンズが引き受ける。住所は承知のはずである。実行の
時と場所は彼が指示する。自由の名において。

「J・W・ウィンドル、古式フリーメン結社地区長。」

「こちらが一人二人の貸し出しを頼んだとき、ウィンドルが断ったことは一度もない。ならば、こちらも断るべきではない。」

マクギンティは言葉を切り、光の鈍い悪意に満ちた目で室内を見回した。「この仕事に志願する者は?」

若者が何人も手を上げた。支部長は満足そうに彼らを見た。

「タイガー・コーマック、おまえが行け。前回と同じように処理すれば間違いない。それからウィルソン、おまえもだ。」

「拳銃を持ってません」志願者は、まだ十代の少年にすぎなかった。

「初仕事だったな? まあ、いつかは血を浴びねばならん。立派な門出になるぞ。拳銃なら、俺の考え違いでなければ向こうに用意されている。月曜に出頭すれば間に合う。帰ってきたら盛大に歓迎してやろう。」

「今回は報酬が出るんですか?」とコーマックが尋ねた。ずんぐりした体格に浅黒い顔を持つ、残忍そうな若者で、その凶暴さから〈タイガー〉の異名を得ていた。

「報酬など気にするな。名誉のためにやれ。仕事が済めば、箱の底から何ドルか出てくるかもしれん。」

「その男は何をしたんです?」若いウィルソンが尋ねた。

「おまえごときが、相手の罪を尋ねるものではない。向こうですでに裁かれたのだ。こちらの知ったことではない。俺たちの仕事は、向こうの命令を実行するだけだ。向こうも俺たちのためなら同じことをする。それで思い出したが、来週マートン支部から同志二名が、こちらで仕事をするためにやって来る。」

「誰です?」と誰かが尋ねた。

「聞かんほうが賢明だ。何も知らなければ、何も証言できん。厄介事も起きない。だが仕事にかかれば、きれいに片づける男たちだ。」

「ちょうどいい!」テッド・ボールドウィンが叫んだ。「この辺りの連中は近頃、増長してやがる。つい先週も、ブレイカー監督がこちらの三人を首にした。前から借りのある奴だ。きっちり満額払わせてやる。」

「何を払わせるんだ?」

マクマードが隣の男へ囁いた。

「散弾銃の弾をたっぷりさ!」男は声を上げて笑った。「どうだ、同志。俺たちの流儀は?」

マクマードの犯罪者の魂は、すでに自分が加わった卑劣な集団の精神を吸収したように見えた。「気に入った」と言った。「気骨のある若者には、ふさわしい場所だ。」

周囲の何人かがその言葉を聞き、喝采を送った。

「何だ?」卓の端から、黒いたてがみの支部長が叫んだ。

「新しい同志です、閣下。われわれの流儀がお気に召したそうで。」

マクマードは一瞬立ち上がった。「高名なる支部長、もし人手が必要となれば、支部を助ける者として選ばれることを名誉に思います。」

大きな拍手が起こった。新たな太陽が、地平線から縁を覗かせたかのようだった。だが年長者の一部には、昇進が少々早すぎるように思えた。

「提案があります」と書記のハラウェイが言った。禿鷹のような顔をした白髭の老人で、議長の近くに座っていた。「同志マクマードの起用は、支部が適切と判断する時まで待たせるべきかと。」

「もちろん、そのつもりでした。皆さんの判断に従います」とマクマードは言った。

「いずれ機会は来る、同志」と議長は言った。「おまえが意欲のある男だとは覚えておこう。この辺りで立派な仕事をすると信じている。今夜、望むなら加われる小さな仕事がある。」

「どうせなら、やりがいのある仕事を待ちます。」

「それでも今夜は来るといい。この地域で俺たちが何を担っているか、理解する助けになる。詳しくはあとで知らせる。それまでは――」議題表に目を落とした。「会議に諮る点が、あと一つ二つある。まず会計係に、銀行残高を尋ねたい。ジム・カーナウェイの未亡人へ年金を払わねばならん。ジムは支部の仕事中に倒れた。妻に損をさせないのが俺たちの務めだ。」

「ジムは先月、マーリー・クリークのチェスター・ウィルコックスを殺そうとしたときに撃たれた」隣の男がマクマードへ教えた。

「現在、資金は十分です」会計係は銀行通帳を前にして言った。「近頃は企業も気前がいい。マックス・リンダー社は、手を出されないために五百ドル支払った。ウォーカー兄弟社は百ドル送ってきたが、私の判断で送り返し、五百を要求した。水曜までに返事がなければ、巻き上げ装置に不具合が起きるかもしれません。昨年は連中が聞き分けをよくするまで、選炭場を焼く必要がありました。それから西部石炭会社も、年次上納金を支払いました。どんな債務にも応じられるだけの手持ちはあります。」

「アーチー・スウィンドンはどうなった?」同志の一人が尋ねた。

「事業を売り払い、この地方を出ていった。あの老いぼれ悪魔め、置き手紙まで残していったぞ。恐喝団に支配される大鉱山主でいるより、ニューヨークで自由な道路清掃人になるほうがましだとな。まったく、手紙がこちらへ届く前に逃げて正解だった! 二度とこの谷へ顔を見せんだろう。」

議長と向かい合う卓の端から、きれいに髭を剃った年配の男が立ち上がった。親切そうな顔と、立派な額をしていた。「会計係」と尋ねた。「われわれがこの地方から追い出した男の資産を、誰が買ったか伺っても?」

「かまわん、同志モリス。州・マートン郡鉄道会社が買った。」

「では昨年、同じように売りへ出されたトッドマンとリーの鉱山を買ったのは?」

「同じ会社だ、同志モリス。」

「近頃、次々に手放されたマンソン、シューマン、ヴァン・デヘル、アトウッドの製鉄所は、誰が買ったのです?」

「すべて西ギルマートン一般鉱業会社が買った。」

「同志モリス」と議長が言った。「ここから持ち出せない以上、誰が買おうと俺たちには関係ないと思うが。」

「高名なる支部長、失礼ながら、われわれには大いに関係すると思います。この動きは、もう十年も続いている。われわれは小規模な業者を、徐々に商売から追い出している。その結果は? 彼らに代わって、鉄道会社や一般鉱業会社のような大企業が入ってくる。取締役はニューヨークやフィラデルフィアにおり、われわれの脅しなど何とも思わない。現地責任者を痛めつけることはできても、代わりが送られてくるだけです。そのうえ、われわれ自身の身を危険にしている。小業者には、われわれを害する力がなかった。金も力もなかったからです。搾り取りすぎないかぎり、支配下に置いたまま、この地に残ったでしょう。だが大企業が、われわれを利益の妨げと見なせば、どれほどの手間や費用をかけてでも追いつめ、法廷へ引き出そうとするはずです。」

不吉な言葉に室内は静まり返った。誰もが陰気な顔で視線を交わす。彼らはあまりに強大で、誰からも異議を唱えられなかったため、背後に報復の可能性があるという考えそのものを、心から追い払っていた。だが今、その考えはもっとも無謀な者の背筋すら凍らせた。

「私の忠告は」と男は続けた。「小業者への締めつけを緩めることです。彼らをすべて追い出した日、この結社の力も打ち砕かれるでしょう。」

耳の痛い真実は歓迎されない。男が席へ戻ると、怒号が飛んだ。マクギンティは額を曇らせて立ち上がった。

「同志モリス」と言った。「おまえはいつも縁起の悪いことばかり言う。この支部の同志たちが団結しているかぎり、合衆国のいかなる力も手を出せん。裁判所では何度も試したではないか。大企業も小企業と同じで、戦うより払うほうが楽だと悟るだろう。さて、同志諸君」マクギンティは話しながら、黒いビロード帽と肩帯を外した。「今夜の議事はこれで終わりだ。別れ際に触れるべき小さな一件だけが残っている。これからは同志の酒宴と、親睦の時間とする。」

人間の本性とは、まことに奇妙なものだ。この男たちにとって殺人は日常であり、個人的な恨みなど何ひとつない一家の父親を、幾度となく平然と打ち倒してきた。泣き崩れる妻にも、頼るすべのない子供たちにも、良心の呵責や憐れみを一度として覚えなかった。それなのに、優しく哀切な音楽を聞けば涙を流した。マクマードは見事なテノールの声を持っていた。たとえそれまで支部の好意を得ていなかったとしても、「メアリー、僕は踏み段に腰掛けて」と「アラン・ウォーターの岸辺で」を歌い、皆の心を震わせたあとでは、もはや好かれずにはいられなかった。

入会した最初の晩から、新参者はもっとも人気ある同志の一人となり、早くも昇進と高い役職を約束された。だが立派なフリーメンとなるには、人付き合いのよさ以外にも必要な資質がある。その晩が終わる前に、彼はその実例を目にすることになった。ウイスキーの瓶は何度も回り、男たちの顔は赤くなり、悪事へ乗り出す気分が熟していた。そのとき支部長が再び立ち上がり、一同へ呼びかけた。

「おい、若い衆」と彼は言った。「この町には一人、灸を据えてやらねばならん男がいる。おまえたちの手で、きっちり思い知らせろ。バーミッサ・ヘラルドのジェームズ・スタンガーだ。また俺たちに向かって、好き放題書いてるのを読んだだろう?」

同意のざわめきが起こり、あちこちで罵り声が漏れた。マクギンティはチョッキのポケットから一枚の紙を取り出した。

「『法と秩序!』――これが見出しだ。『鉄と石炭の地方における恐怖政治。われわれの間に犯罪組織が存在することを明らかにした最初の暗殺事件から、すでに十二年が経過した。その日以来、暴虐は一度も止むことなく、今やわれわれを文明世界の恥辱たらしめるまでに至っている。わが偉大なる国が、ヨーロッパの専制政治から逃れてきた異邦人を懐へ迎え入れた結果が、これなのか? 彼らへ庇護を与えた者たちに対し、今度は彼ら自身が暴君となるためなのか? 自由の星条旗、その神聖な襞の影で恐怖と無法の支配を打ち立てるためなのか? 東方のもっとも衰微した君主国で同じことが起きていると読めば、われわれが恐怖を覚えるような支配を? 犯人たちは知られている。組織は公然と存在している。われわれはいつまで耐えるのか? 永遠にこのような暮らしを――』まったく、くだらん戯言はもう十分だ!」議長は紙を卓へ投げ捨てた。「奴は俺たちをこう書いている。そこで諸君に問いたい。俺たちは奴に何と答えるべきだ?」

「殺せ!」十数人の凶暴な声が叫んだ。

「それには反対します」と、立派な額と髭のない顔をした同志モリスが言った。「同志諸君、この谷におけるわれわれの締めつけは強すぎる。このままでは、自己防衛のため住民全員が団結し、われわれを叩き潰す時が来る。ジェームズ・スタンガーは老人です。町でも地方でも尊敬されている。彼の新聞は、この谷の堅実な人々すべてを代表している。その男を打ち倒せば、州全体が騒然となり、最後にはわれわれの破滅を招くでしょう。」

「では、どうやって俺たちを破滅させるのだ、ミスター腰抜け?」マクギンティが叫んだ。「警察か? 半分は俺たちに買われ、残り半分は俺たちを恐れている。それとも裁判所と判事か? これまで何度も試しただろう。それで何が起きた?」

「リンチ判事[訳注:法によらない民衆の私刑を擬人化した表現]が裁くかもしれません」と同志モリスは言った。

その提案に、一斉に怒号が上がった。

「俺が指一本上げさえすれば」とマクギンティは叫んだ。「この町へ二百人を送り込み、端から端まで一掃できる。」

そして突然声を張り上げ、巨大な黒眉を恐ろしい形にひそめた。「いいか、同志モリス。俺はおまえを見張っている。前からずっとだ! おまえ自身に度胸がないだけでなく、ほかの者の度胸まで奪おうとしている。同志モリス、おまえの名が議題表に載る日は、さぞ不幸な日になるだろうな。今すぐ載せてやるべきかもしれんぞ。」

モリスの顔は死人のように青ざめ、膝から力が抜けたように椅子へ崩れ落ちた。震える手でグラスを持ち上げ、酒を飲んでから、ようやく答えた。「高名なる支部長、言うべき以上のことを口にしたのなら、あなたと、この支部の同志全員に謝罪します。私は忠実な一員です――皆さんもご存じでしょう。支部へ災いが及ぶのではないかという恐れから、心配のあまり申し上げたのです。ですが高名なる支部長、私は自分の判断より、あなたの判断を信頼しています。二度と気分を害することは言わないと約束します。」

卑屈な言葉を聞き、支部長の険しい表情が緩んだ。「よかろう、同志モリス。おまえに教訓を与えねばならなくなれば、俺としても残念だからな。だが俺がこの席にいるかぎり、この支部は言葉でも行動でも一枚岩でなければならん。さて、若い衆」一同を見回して続けた。「スタンガーに当然の報いをすべて受けさせれば、余計な面倒が起きることは認めよう。新聞屋は互いに結束する。州内の新聞という新聞が、警察や軍隊を出せと騒ぎ立てるだろう。だが、かなり厳しい警告なら与えてよかろう。同志ボールドウィン、やれるか?」

「もちろんだ!」若者は意気込んで言った。

「何人連れていく?」

「六人。それに入口の見張りを二人。ガワー、おまえ。それからマンセル、スキャンラン、ウィラビー兄弟も来い。」

「新しい同志も連れていくと約束した」と議長が言った。

テッド・ボールドウィンは、忘れも許しもしていないことを示す目でマクマードを見た。「来たけりゃ来ればいい」と不機嫌に言った。「これで十分だ。早く仕事にかかるに越したことはない。」

一同は叫び声や歓声を上げ、酔った歌を断片的に歌いながら散っていった。酒場はまだ酔客で混み合い、同志の多くはそこに残った。任務を割り当てられた小集団は通りへ出て、目立たぬよう二、三人ずつ歩道を進んだ。凍てつく寒さの夜で、霜に覆われた星空に半月が明るく輝いていた。男たちは、高い建物に面した空き地で立ち止まり、一か所へ集まった。明るく照らされた窓の間には、「バーミッサ・ヘラルド」の文字が金色で記されている。中から印刷機の金属音が響いていた。

「おい、おまえ」とボールドウィンはマクマードに言った。「下の入口に立ち、俺たちの退路を空けておけ。アーサー・ウィラビーも一緒に残れ。ほかは俺についてこい。心配するな、若い衆。俺たちが今この瞬間、ユニオン酒場にいたと証言する者は十二人もいる。」

間もなく真夜中で、通りには家路につく酔客が一人二人いるだけだった。一団は道路を横切り、新聞社の扉を押し開けると、ボールドウィンと部下たちは中へ飛び込み、正面の階段を駆け上がった。マクマードともう一人は下に残った。上の部屋から怒鳴り声、助けを求める叫び、それから足音と椅子の倒れる音が聞こえた。次の瞬間、白髪の男が踊り場へ飛び出してきた。

それ以上逃げる前に捕まり、眼鏡が音を立ててマクマードの足元へ落ちた。鈍い音と呻き声。男はうつ伏せに倒れ、六本ほどの棍棒がぶつかり合いながら、その体へ振り下ろされた。男は身悶えし、細長い手足が殴打のたびに震えた。ほかの者たちはやがて手を止めたが、ボールドウィンだけは、残忍な顔に悪魔じみた笑みを浮かべ、男の頭を滅多打ちにしていた。被害者は腕で必死に防ごうとしている。白髪には血が斑点となって付着していた。ボールドウィンはなおも獲物の上へ屈み込み、隙が見えるたび、短く悪意に満ちた一撃を加えていた。そのときマクマードが階段を駆け上がり、彼を押し戻した。

「殺す気か」と言った。「もうやめろ!」

ボールドウィンは驚愕して見た。「くたばれ!」と叫んだ。「支部へ入ったばかりのおまえが、何の権利で邪魔をする? 下がれ!」

棍棒を振り上げたが、マクマードはすでにポケットから拳銃を抜いていた。

「下がるのはおまえだ!」と叫んだ。「俺に手を出したら、その顔を吹き飛ばすぞ。支部長の命令では、殺してはならないはずだ――それなのに、おまえは何をしている? こいつを殺そうとしてるじゃないか!」

「こいつの言うとおりだ」と男の一人が言った。

「まったく、早くしたほうがいいぞ!」下にいた男が叫んだ。「どの窓にも明かりがつきはじめた。五分もしないうちに、町じゅうの人間が集まってくる!」

実際、通りから叫び声が聞こえていた。下の玄関ホールには植字工や印刷工の小集団ができ、勇気を奮い起こして行動に出ようとしている。犯罪者たちは、階段の上にぐったりと動かぬ編集長を残し、駆け下りると、通りを素早く逃げていった。ユニオン・ハウスへ着くと、何人かはマクギンティの酒場の群衆に紛れ込み、仕事はうまく片づいたと、カウンター越しにボスへ囁いた。ほかの者たち――マクマードもその一人だった――は脇道へ散り、入り組んだ道を通って、それぞれの家へ帰っていった。

第四章 恐怖の谷

翌朝、目を覚ましたマクマードには、昨夜の入会式を思い出す理由が十分にあった。酒のせいで頭は痛み、焼印を押された腕は熱を帯びて腫れ上がっている。独自の収入源を持つ彼は仕事に出る日も不規則だったので、遅い朝食をとり、午前中は家に残って友人への長い手紙を書いた。その後で『デイリー・ヘラルド』紙を開くと、締切直前に差し込まれた特別欄に「ヘラルド社襲撃――編集長、重傷」とあった。

記事は短く、書いた記者よりもマクマード自身のほうが、はるかに詳しく事情を知っていた。末尾にはこう記されていた。

事件は現在、警察の手に委ねられている。だが、これまで以上の成果が
上がるとは、ほとんど期待できない。犯人のうち数名は顔を目撃されて
おり、有罪判決を得られる望みはある。今回の暴行の源が、長年にわたり
この地域社会を隷属させ、『ヘラルド』紙が断固たる姿勢で対決してきた
悪名高き結社にあることは、改めて言うまでもない。スタンガー氏は
残忍かつ無慈悲な殴打を受け、頭部にも重傷を負ったが、ただちに生命を
脅かす状態ではない。氏の多くの友人は、この報に安堵することだろう。

その下には、社屋の防衛のため、ウィンチェスター銃で武装した警官隊が要請されたと記されていた。

マクマードが新聞を置き、前夜の深酒で震える手を使ってパイプに火をつけていると、表でノックの音がした。下宿の女主人が、少年からたった今届けられたという手紙を持ってきた。署名はなく、文面はこうだった。

あなたと話がしたい。ただし、あなたの家で話すのは避けたい。ミラー・ヒルの旗竿のそばで待っている。今すぐ来てもらえれば、あなたが聞くべき、そして私が話すべき大切なことがある。

マクマードは驚きのあまり二度読み返した。何を意味するのか、誰が書いたのか、皆目見当もつかなかった。女の筆跡なら、過去に幾度となく経験してきた色恋沙汰の始まりとも考えられただろう。しかし、これは男の字であり、しかも相当に教養のある人物の筆跡だった。しばらく迷った末、マクマードは真相を確かめることにした。

ミラー・ヒルは町の中心にある、手入れの行き届かない公園である。夏には人々の憩いの場となるが、冬はひどく寂しい。頂上からは、だらしなく広がる煤けた町の全景だけでなく、眼下を蛇行する谷も見渡せる。谷の両側には鉱山や工場が点在し、雪を黒く汚している。その外側には、木々に覆われ、頂に雪を戴いた山並みが連なっていた。

マクマードは常緑樹に挟まれた曲がりくねる小道をのんびり上り、夏の賑わいの中心となる、今は無人のレストランまで来た。そのそばに裸の旗竿が立ち、その下には、帽子を目深にかぶり、外套の襟を立てた男がいた。男が顔を向けると、昨夜ボディマスターの怒りを買ったモリス兄弟だとわかった。二人は出会うと、結社の合図を交わした。

「少しお話ししたかったのです、マクマードさん」年長の男は、慎重な話題に踏み込もうとする者らしい、ためらいがちな口調で言った。「来てくださって助かりました。」

「なぜ手紙に名前を書かなかった?」

「用心しなければなりませんからな。こんな時代です。何がどう巡り巡って自分に返ってくるかわからない。誰を信じてよく、誰を信じてはいけないかもわからない。」

「結社の兄弟なら、信用できるだろう。」

「いや、いや、いつもそうとは限りません」モリスは激しく言った。「我々が何を口にしたか、いや、何を考えたかまで、あのマクギンティの耳に入るようなのです。」

「よく聞け!」マクマードは厳しい口調で言った。「俺がボディマスターへの忠誠を誓ったのは、つい昨夜だ。あんたもよく知っているはずだろう。俺に誓いを破れというのか?」

「そうお考えなら」モリスは悲しげに言った。「わざわざ来ていただいたことをお詫びするほかありません。自由な市民二人が互いの考えすら語れないとは、ひどい世の中になったものです。」

相手を鋭く観察していたマクマードは、いくらか態度を和らげた。「今のは、俺自身の立場を言っただけだ」彼は言った。「知ってのとおり、俺は新参者で、何もかも勝手がわからない。俺から口を挟む立場じゃない、モリスさん。だが、俺に話したいことがあるなら、聞くためにここへ来た。」

「そしてボスのマクギンティに報告するために!」モリスは苦々しく言った。

「そいつは俺を見損なっている」マクマードは声を上げた。「俺は結社に忠実だ。それははっきり言っておく。だが、あんたが胸の内を明かしたことを他人に言い触らすほど、卑しい人間じゃない。話は俺のところで止める。ただし、助けも同情も得られないかもしれないとは警告しておく。」

「どちらも、とうに期待するのはやめています」モリスは言った。「これから話すことで、私は自分の命そのものをあなたの手に委ねることになるかもしれない。だが、あなたがどれほど悪党でも――昨夜の様子では、いずれ最悪の連中に劣らぬ男になりそうだったが――まだ入ったばかりだ。良心までは、あの連中ほど固くなってはいない。だから話そうと思ったのです。」

「それで、何を言いたい?」

「私を売るなら、あなたに呪いあれ!」

「言わないと言っただろう。」

「では尋ねます。シカゴでフリーメン結社に入り、慈善と忠誠の誓いを立てたとき、それが自分を犯罪へ導くかもしれないと、一度でも考えましたか?」

「犯罪と呼ぶならな」とマクマードは答えた。

「犯罪と呼ぶなら、だと!」モリスの声は激情に震えた。「ほかの何と呼べるのかわからないなら、あなたはまだ何も見ていない。昨夜のことは犯罪ではないのか? あなたの父親ほどの年齢の男が、白髪から血が滴るまで殴られた。あれが犯罪でないなら、何と呼ぶ?」

「戦争だと言う者もいるだろう」マクマードは言った。「二つの階級が総力を挙げ、互いに可能なかぎりの打撃を加える戦争だ。」

「シカゴでフリーメン結社に入ったとき、そんなことを考えましたか?」

「いや、正直に言えば、考えなかった。」

「私もフィラデルフィアで入ったときは同じでした。ただの相互扶助団体で、仲間が集まる場所だった。それから、この土地の話を聞いた――初めてその名を耳にした時が呪わしい! ――そして暮らしを良くしようと、ここへ来た。何たることだ、暮らしを良くするために! 妻と三人の子供も連れてきました。マーケット・スクエアで乾物店を始め、商売はうまくいった。私がフリーメンだという話が広まり、昨夜のあなたと同じく、土地の支部への加入を強制された。前腕には恥の印があり、心にはそれよりもひどい烙印がある。気づけば、私は腹黒い悪党の命令に従わされ、犯罪の網に絡め取られていた。どうすればよかった? 物事を良くしようと一言でも口にすれば、昨夜と同じように裏切りと見なされた。逃げることもできない。全財産が店にあるからです。結社を抜ければ、私は殺される。妻や子供に何が起こるかは神のみぞ知る。ああ、恐ろしい――あまりにも恐ろしい!」

モリスは両手で顔を覆い、しゃくり上げるたび全身を震わせた。

マクマードは肩をすくめた。「あんたは、この仕事には気が弱すぎたんだ」彼は言った。「こういうことに向く人間じゃない。」

「私には良心も信仰もあった。だが、連中は私を犯罪者にした。ある仕事に選ばれたのです。断れば何が起きるか、よくわかっていた。私は臆病者なのかもしれない。哀れな妻や子供のことを考えるから、臆病になるのかもしれない。ともかく、私は行った。あの記憶は死ぬまで私につきまとうでしょう。

「ここから二十マイル(約三十二キロメートル)離れた、向こうの山並みを越えた先に、ぽつんと一軒の家がありました。私は昨夜のあなたと同じように、戸口を見張れと命じられた。肝心の仕事を任せるほどには信用されていなかったのです。ほかの者たちが中へ入った。出てきたとき、手は手首まで真っ赤だった。立ち去ろうとすると、背後の家から子供の叫び声が聞こえた。父親が殺されるのを見た、五歳の男の子でした。私は恐怖で気を失いかけた。それでも、平然と笑っていなければならなかった。そうしなければ次に血まみれの手で押しかけられるのは私の家で、父親を求めて叫ぶのは、私の幼いフレッドになるとわかっていたからです。

「そのとき私は犯罪者になった。殺人の共犯者です。この世でも永遠に救われず、あの世でも救われない。私は敬虔なカトリック教徒だが、スコウラーズだと知った司祭は口も利いてくれず、信仰から破門された。これが今の私です。そして、あなたが同じ道を下っているのを見て、行き着く先はどこなのかと問いたい。あなたも冷血な殺人者になる覚悟があるのか。それとも、それを止めるために何かできるのか?」

「あんたならどうする?」マクマードは唐突に尋ねた。「密告する気か?」

「とんでもない!」モリスは叫んだ。「そんなことを考えただけで命を失います。」

「それならいい」マクマードは言った。「あんたは気が弱く、このことを大げさに考えすぎているんじゃないか。」

「大げさですと! ここでもっと長く暮らしてから言いなさい。谷を見下ろしてみろ! 百本もの煙突から出る煙が、谷を覆っているでしょう。だが、殺人の雲はそれよりも濃く、低く、人々の頭上に垂れ込めている。この地は恐怖の谷、死の谷なのです。夕暮れから夜明けまで、恐怖が人々の心を支配している。待ちなさい、若者よ。いずれ自分自身で思い知るでしょう。」

「もっと見てから、俺の考えを教えてやるよ」マクマードは無頓着に言った。「はっきりしているのは、あんたがこの土地に向かないということだ。商売の価値一ドルにつき十セントしか得られなくても、さっさと売り払ったほうがいい。話したことは俺の胸にしまっておく。だが、畜生、もしあんたが密告者だとわかったら――」

「違う、違います!」モリスは哀れっぽく叫んだ。

「では、この話はここまでだ。あんたの言葉は覚えておく。いつかまた考えることもあるだろう。こんなふうに話したのも、俺のためを思ってのことだろう。では、家へ帰る。」

「行く前に、もう一つ」モリスは言った。「二人でいるところを見られたかもしれない。何を話したか尋ねられるでしょう。」

「ああ、それはよく気がついたな。」

「私が店の事務員の職を勧めたことにしましょう。」

「そして俺は断った。それが話の中身だ。では、モリス兄弟。これからは事が少しでも良い方向へ向かうよう祈っている。」

同じ日の午後、マクマードが居間のストーブのそばで煙草を吸いながら物思いに沈んでいると、扉が勢いよく開き、その枠をボス・マクギンティの巨体が埋めた。マクギンティは合図を送り、若者の向かいに腰を下ろすと、しばらくじっと見つめた。マクマードも同じ強さで見返した。

「俺はあまり人を訪ねるほうじゃない、マクマード兄弟」やがてマクギンティが言った。「俺を訪ねてくる連中の相手で忙しすぎるからな。だが、今回は特別に、あんたの家まで顔を出そうと思った。」

「議員に来ていただけるとは光栄です」マクマードは心から歓迎し、戸棚からウイスキーの瓶を取り出した。「思いもしなかった名誉ですよ。」

「腕はどうだ?」ボスが尋ねた。

マクマードは顔をしかめた。「忘れようにも忘れられません」彼は言った。「だが、それだけの価値はある。」

「ああ、価値はある」マクギンティは答えた。「忠誠を尽くし、最後までやり抜き、結社の役に立つ者にとってはな。今朝、ミラー・ヒルでモリス兄弟と何を話していた?」

あまりにも唐突な質問だったので、答えを用意しておいたのは幸いだった。マクマードは豪快に笑い出した。「モリスは、俺が家にいながら稼げることを知らなかったんです。今後も知らせるつもりはない。あの人は、俺みたいな人間と付き合うには良心がありすぎる。だが、根は親切な老人です。俺が職にあぶれていると思い、乾物店の事務員に雇ってやろうとしたんですよ。」

「そういうことか?」

「そういうことです。」

「それを断った?」

「もちろん。自分の寝室で四時間働けば、十倍は稼げるんですから。」

「なるほどな。だが、モリスとはあまり付き合わないほうがいい。」

「なぜです?」

「俺がそう言うからだ。この辺りの大半の人間には、それで十分だ。」

「大半には十分でも、俺には足りませんよ、議員」マクマードは大胆に言った。「人を見る目があるなら、おわかりでしょう。」

浅黒い巨人は睨みつけ、毛むくじゃらの手で一瞬グラスを握り締めた。相手の頭へ投げつけるかのようだった。だが、やがて大声で、騒々しく、心にもない笑いを上げた。

「まったく変わった奴だ」彼は言った。「理由が欲しいなら教えてやる。モリスは結社の悪口を言わなかったか?」

「いいえ。」

「俺の悪口も?」

「言いませんでした。」

「それは、あんたを信用する勇気がなかったからだ。だが心の底では、奴は忠実な兄弟ではない。こちらはよく承知している。だから見張り、訓戒を与える時を待っている。その時は近いと思っている。俺たちの囲いに、病気持ちの羊を入れておく余地はない。だが、不忠な男と親しくすれば、あんたも不忠だと思われかねん。わかるな?」

「親しくなる心配はありません。俺はあの男が嫌いですから」マクマードは答えた。「不忠という言葉については、相手があなたでなければ、二度と口にさせません。」

「よし、それで十分だ」マクギンティはグラスを空けた。「頃合いの忠告をしに来た。もう伝えたぞ。」

「一つ聞きたい」マクマードは言った。「俺がモリスと話したことを、どうやって知ったんです?」

マクギンティは笑った。「この町で起こることを知るのが俺の仕事だ」彼は言った。「何があっても俺の耳に入ると思っておくことだな。さて、時間だ。これで――」

だが、その別れの挨拶は、思いも寄らぬ形で遮られた。突然、激しい音を立てて扉が開き、警察帽の庇の下から、険しく緊張した三つの顔が二人を睨んだ。マクマードは跳び上がって拳銃を半ば抜いたが、二丁のウィンチェスター銃が頭を狙っているのに気づき、その腕を途中で止めた。制服姿の男が、回転式拳銃を手に部屋へ入ってきた。かつてシカゴにおり、今は鉱山警備隊に所属するマーヴィン大尉だった。マーヴィンは薄笑いを浮かべて首を振った。

「いずれ面倒を起こすと思っていたよ、シカゴの悪党マクマード君」彼は言った。「どうしても騒ぎから離れられないらしいな。帽子を取って、一緒に来てもらおう。」

「この落とし前はつけてもらうぞ、マーヴィン大尉」マクギンティが言った。「いったい何様のつもりだ? こんなふうに家へ押し入り、正直で法を守る市民に迷惑をかけるとは。」

「今回は口を出さないでもらいましょう、マクギンティ議員」警察大尉は言った。「狙いはあなたではなく、このマクマードだ。我々の職務を妨げず、協力するのがあなたの務めです。」

「こいつは俺の友人だ。行状については俺が保証する」ボスは言った。

「聞くところによれば、マクギンティさん、いずれあなた自身の行状について責任を問われる日が来るでしょう」大尉は答えた。「このマクマードは、ここへ来る前から悪党で、今も悪党だ。巡査、狙いをつけていろ。武器を取り上げる。」

「拳銃ならここだ」マクマードは冷静に言った。「マーヴィン大尉、あんたと俺が一対一で向き合っていたら、こんなに簡単にはいかなかっただろうがな。」

「逮捕状はどこだ?」マクギンティが尋ねた。「畜生、おまえのような奴が警察を仕切るなら、バーミッサに住むのもロシアに住むのも同じだ! 資本家による横暴だ。この件はただでは済まさんぞ。」

「議員はご自分の義務と思うことを、できるかぎり立派に果たせばいい。我々も自分の義務を果たします。」

「俺は何の容疑をかけられている?」マクマードが尋ねた。

「ヘラルド社で老編集長スタンガーを暴行した件への関与だ。殺人容疑でなくて済んだのは、おまえの手柄ではない。」

「それしかないのなら」マクギンティは笑い声を上げた。「今すぐ諦めれば余計な苦労をせずに済むぞ。この男は真夜中まで、俺の酒場で一緒にポーカーをしていた。証人なら十二人は連れてこられる。」

「それはそちらの問題だ。明日、法廷で片をつければいい。それまでは来てもらうぞ、マクマード。頭を銃で殴られたくなければ、おとなしく来い。マクギンティさん、離れてください。警告しておきますが、職務中の抵抗は一切認めません!」

大尉の態度があまりにも断固としていたため、マクマードもボスも状況を受け入れるほかなかった。別れ際、ボスは囚人と二、三言、囁きを交わした。

「あれはどうした――」彼は親指を上へ突き上げ、偽造貨幣の設備を示した。

「大丈夫です」床下に安全な隠し場所を作っていたマクマードは囁いた。

「では、ひとまず別れだ」ボスは握手しながら言った。「弁護士のライリーに会い、弁護は俺が引き受ける。奴らにおまえを拘束し続けることはできん。俺の言葉を信じろ。」

「それはどうかな。二人とも囚人を見張れ。妙な真似をしたら撃て。俺は出る前に家を捜索する。」

大尉はそのとおりにしたが、隠された設備の痕跡は見つけられなかったらしい。階下へ戻ると、部下たちとともにマクマードを本部へ連行した。すでに日は暮れ、鋭い吹雪が吹き荒れていたため、通りにはほとんど人影がなかった。それでも数人の野次馬が一行についてきて、姿が見えないのをいいことに囚人へ罵声を浴びせた。

「呪われたスコウラーをリンチにかけろ!」彼らは叫んだ。「吊るせ!」

マクマードが警察署へ押し込まれると、人々は笑い、嘲った。当直警部による短い形式的な尋問の後、マクマードは共同房へ入れられた。そこにはボールドウィンと、昨夜の犯人仲間三人がいた。全員がその日の午後に逮捕され、翌朝の裁判を待っていた。

だが、この法の砦の奥深くにさえ、フリーメンの長い腕は届いた。夜遅く、看守が寝床用の藁束を持ってきたが、その中からウイスキー二本とグラス、それに一組のトランプを取り出した。彼らは翌朝の審理など少しも心配せず、陽気に夜を明かした。

そして結果が示したとおり、心配する理由もなかった。提出された証拠では、判事が彼らを上級裁判所へ送致できるはずもなかった。一方で、植字工や印刷工たちは、明かりが不確かだったこと、自分たち自身がひどく動揺していたこと、そして被告たちが襲撃者の中にいたとは思うものの、その身元を宣誓して断言するのは難しいことを認めざるを得なかった。マクギンティが雇った敏腕弁護士の反対尋問を受けると、その証言はさらに曖昧になった。

負傷した本人もすでに、襲撃があまりに突然で不意を突かれたため、最初に殴りかかった男が口髭を生やしていたこと以外、何も言えないと供述していた。ただし、自分を恨む者は地域にほかにいるはずがなく、歯に衣着せぬ社説のため長らく脅迫されていたことから、襲撃者がスコウラーズであることは間違いないと付け加えた。一方、マクギンティ議員という市の高官を含む六人の市民は、犯行時刻よりずっと後まで、被告たちがユニオン・ハウスのカード会にいたと、口を揃えて揺るぎなく証言した。

言うまでもなく、彼らは釈放された。法廷からは、迷惑をかけたことへの謝罪に近い言葉さえあり、同時にマーヴィン大尉と警察の出しゃばった熱意を暗に非難する言葉も添えられた。

判決は、マクマードにとって見覚えのある顔が大勢並ぶ法廷で、大喝采をもって迎えられた。結社の兄弟たちは笑顔で手を振った。だが、被告たちが被告席から一列になって出ていくのを、唇を固く結び、陰鬱な目で見つめる者たちもいた。その一人、小柄で黒い顎髭を生やした毅然たる男が、元囚人たちが前を通り過ぎると、自分と仲間の思いを言葉にした。

「この人殺しどもめ!」男は言った。「いつか必ず始末してやる!」

第五章 最も暗い時

ジャック・マクマードの仲間内での人気をさらに高めるものが必要だったとすれば、逮捕と無罪放免ほど効果的なものはなかった。結社に入ったまさにその夜、判事の前へ引き出されるような事件を起こした男は、結社の歴史でも初めてだった。すでに彼は、愉快な酒仲間、陽気な遊び人として知られ、しかも気性が激しく、全能のボス本人からでさえ侮辱を受ければ黙っていない男だと評判になっていた。さらに仲間たちは、血なまぐさい計画を考え出す頭の速さでも、それを実行する腕前でも、彼に勝る者はいないという印象を抱いた。「きれいな仕事をさせるには、あいつが適任だ」古参たちはそう囁き合い、彼を仕事に使う時を待った。

マクギンティはすでに十分な手駒を持っていたが、マクマードが並外れて優秀な道具であることを見抜いていた。獰猛な猟犬を綱につないでいるような気分だった。小さな仕事をさせる雑犬ならほかにいる。だが、いつかこの獣を獲物へ放つ日が来る。テッド・ボールドウィンをはじめ、一部の会員は新参者の急速な出世を快く思わず、そのため彼を憎んだ。しかし、マクマードは笑うのと同じくらい喧嘩にもすぐ応じる男だったので、皆、近づかないようにした。

だが仲間からの好意を得た一方、今や彼にとっていっそう重要となった別の方面では、それを失っていた。エティ・シェフターの父親は、もうマクマードと一切関わろうとせず、家へ入ることも許さなかった。エティ自身は深く愛しすぎていて、完全に諦めることはできなかったが、犯罪者と見なされている男と結婚すれば何が起こるか、良識が警告していた。

眠れぬ夜を過ごしたある朝、エティはマクマードに会おうと決心した。これが最後になるかもしれない。そして彼を引きずり下ろす邪悪な影響から救い出すため、渾身の説得を試みようと思った。以前から何度も来てほしいと頼まれていた彼の家を訪れ、居間として使っている部屋へ入った。マクマードは背を向けてテーブルにつき、目の前には手紙があった。少女らしい悪戯心が突然湧き上がった――まだ十九歳なのだ。扉を押し開けても、彼は気づかなかった。エティは爪先立ちで近づき、前屈みになった肩へそっと手を置いた。

驚かせようと思ったのなら、見事に成功した。だが、今度はエティ自身が驚かされる番だった。マクマードは虎のように跳ねて振り返り、右手を彼女の喉へ伸ばした。同時に、もう一方の手で目の前の紙を握り潰した。一瞬、彼は凄まじい目で睨んだ。やがて、その顔を引きつらせていた獰猛さに代わり、驚きと喜びが浮かんだ。あの獰猛さは、穏やかな人生に一度も入り込んだことのない怪物を見たかのように、エティを恐怖で後ずさりさせていた。

「君だったのか!」マクマードは額の汗を拭った。「愛しい君が俺に会いに来てくれたのに、俺ときたら、首を絞めようとするなんて! さあ、おいで、愛しい人」彼は両腕を広げた。「埋め合わせをさせてくれ。」

だがエティは、男の顔に浮かんだ罪深い恐怖を垣間見た衝撃から立ち直っていなかった。女の本能のすべてが、単に不意を突かれた男の驚きではないと告げていた。罪悪感――そうだ――罪悪感と恐怖だ! 

「どうしたの、ジャック?」彼女は叫んだ。「なぜ私をあんなに怖がったの? ああ、ジャック、良心にやましいところがなければ、あんな目で私を見たりしないわ!」

「別のことを考えていたんだ。そこへ君が妖精みたいな足で、あまりにも軽やかに近づいてきたから――」

「違うわ、ジャック。それだけじゃない。」

そのとき突然、疑いが湧いた。「書いていた手紙を見せて。」

「ああ、エティ、それはできない。」

疑いは確信に変わった。「ほかの女に宛てた手紙なのね」彼女は叫んだ。「わかってる! でなければ、なぜ隠すの? 奥さんに書いていたの? あなたが妻のある身でないと、どうして私にわかるの? あなたは誰も素性を知らない、よそ者なのよ。」

「結婚なんかしていない、エティ。誓うよ! 俺にとって、この世の女は君一人だけだ。キリストの十字架にかけて誓う!」

激しい真剣さのあまり顔が真っ白になっていたので、エティも信じずにはいられなかった。

「それなら」彼女は言った。「なぜ手紙を見せてくれないの?」

「話してあげるよ、愛しい人」彼は言った。「人に見せないと誓っているんだ。君との約束を破らないように、誓いを立てた相手との約束も守らなければならない。結社の仕事で、君にも明かせない秘密なんだ。それに、手を置かれて怯えたとしても、刑事の手かもしれなかったと考えれば、わかってくれるだろう?」

本当のことを言っているように思えた。マクマードは彼女を腕に抱き、口づけで不安と疑いを消した。

「ここに座ってくれ。こんな女王には奇妙な玉座だが、哀れな恋人が用意できるのはこれが精いっぱいだ。いつか、もっと立派なものをあげられると思う。さあ、もう安心しただろう?」

「どうして安心できるの、ジャック? あなたが犯罪者たちの中にいる犯罪者だと知っているのに。いつ殺人罪で法廷に立ったと聞かされるか、わからないのに。『スコウラーのマクマード』――昨日、うちの下宿人の一人があなたをそう呼んだわ。ナイフで胸を刺されたようだった。」

「言葉で骨は折れないさ。」

「でも、本当のことだった。」

「なあ、愛しい人、君が思うほど悪くはない。俺たちは貧しい者同士、自分たちなりのやり方で権利を得ようとしているだけだ。」

エティは恋人の首に両腕を回した。「やめて、ジャック! 私のために、神様のために、やめて! 今日はそれを頼みに来たの。ああ、ジャック、見て――膝をついてお願いするわ! こうしてあなたの前に跪いて、どうかやめてと頼んでいるの!」

「ああ、ジャック、どうかやめて!」

マクマードは彼女を立たせ、その頭を胸に抱いてなだめた。

「愛しい人、自分が何を頼んでいるのかわかっていないんだ。誓いを破り、仲間を見捨てることになるのに、どうしてやめられる? 俺の立場がわかれば、決してそんな頼みはしないはずだ。それに、やめたいと思っても、どうすればいい? すべての秘密を知った男を、結社が自由に去らせると思うか?」

「それも考えたわ、ジャック。全部、計画してあるの。父さんには貯金がある。この人たちへの恐怖に暮らしを暗くされる土地には、父さんもうんざりしている。出ていく覚悟はできているわ。みんなでフィラデルフィアかニューヨークへ逃げれば、もう安全よ。」

マクマードは笑った。「結社の腕は長い。ここからフィラデルフィアやニューヨークまで届かないと思うか?」

「それなら西部へ、あるいはイングランドへ、父さんの故郷のドイツへ――この恐怖の谷から逃げられるなら、どこへでも!」

マクマードは老モリス兄弟のことを思い出した。「この谷がそう呼ばれるのを聞くのは、これで二度目だ」彼は言った。「確かに、君たちの中には重い影に覆われている者がいるようだ。」

「その影が、私たちの人生の一瞬一瞬を暗くしているの。テッド・ボールドウィンが私たちを許したと思う? あなたを恐れていなければ、私たちがどうなっていたと思う? 私を見るあの暗い、飢えた目を、あなたにも見せたいわ!」

「畜生! そんなところを見つけたら、礼儀を叩き込んでやる! だが、よく聞いてくれ。俺はここを離れられない。できないんだ――これだけは、きっぱり受け入れてくれ。だが、俺のやり方に任せてくれるなら、面目を失わずに抜ける道を作ってみる。」

「こんなことに面目なんてないわ。」

「まあ、それは見方次第だ。だが半年くれるなら、人に顔向けできないような辞め方をせずに済むよう、うまくやってみる。」

少女は喜びに笑った。「半年!」彼女は叫んだ。「約束してくれるの?」

「七、八か月になるかもしれない。だが、どんなに遅くとも一年以内には、この谷を後にしよう。」

エティが引き出せたのはそれが精いっぱいだったが、それでも一歩前進だった。目の前の暗い未来を照らす、遠い光が見えたのだ。ジャック・マクマードが人生に現れて以来、かつてないほど心を軽くして、エティは父の家へ帰った。

会員になった以上、結社の活動はすべて知らされると思うかもしれない。だがマクマードはすぐ、この組織が一支部よりも広大で複雑であることを知った。ボス・マクギンティでさえ、多くのことを知らなかった。鉄道路線の先、ホブソンズ・パッチに住む郡代表という役職者がおり、いくつもの支部を支配して、唐突かつ独断的に権力を振るっていたからだ。マクマードがその男を見たのは一度きりだった。白髪で小柄、鼠のようにずる賢い男で、こそこそした足取りと、悪意に満ちた横目遣いをしていた。名はエヴァンズ・ポット。バーミッサの偉大なボスでさえ、巨漢ダントンが小柄ながら危険なロベスピエールに抱いたであろう嫌悪と恐怖を、その男に感じていた。

ある日、マクマードと同じ下宿に住むスキャンランが、マクギンティから手紙を受け取った。中にはエヴァンズ・ポットの手紙が同封されており、ローラーとアンドルーズという腕の立つ男二人を、近辺で仕事に当たらせるため派遣すると記されていた。ただし、目的の詳細は明かさないほうが大義のためになる。行動の時が来るまで、ボディマスターには彼らの宿泊と身の回りの便宜を整えてもらえないだろうか。マクギンティは、ユニオン・ハウスでは誰も秘密を保てないため、マクマードとスキャンランの下宿に数日間、二人を泊めてほしいと付け加えていた。

その晩、旅行鞄を提げた二人が到着した。ローラーは年配で、抜け目なく、無口で、感情を表に出さない男だった。古びた黒いフロックコートに柔らかなフェルト帽、まばらな白髪交じりの顎髭という姿で、全体として旅回りの説教師を思わせた。連れのアンドルーズは少年といってよいほど若く、率直で陽気な顔をし、休暇に出て一分一秒を楽しもうとする者のように、快活な態度だった。二人とも酒を一滴も飲まず、あらゆる点で模範的な結社員だった。ただ一つ例外があるとすれば、二人が暗殺者であり、この殺人結社にとってきわめて有能な道具であることを、幾度も証明してきた点だった。ローラーはすでに同種の依頼を十四件、アンドルーズは三件こなしていた。

マクマードが知ったところでは、二人は過去の仕事についてなら、いくらでも話した。その語り口には、地域社会のため善意から奉仕した者の、はにかみ混じりの誇りさえあった。しかし、現在の仕事については口が堅かった。

「俺もここの若いのも酒を飲まないから、選ばれたんだ」ローラーは説明した。「余計なことを口にしないと信用されている。悪く思わないでくれ。俺たちが従うのは郡代表の命令だ。」

「俺たちはみんな同じ仲間だろう」マクマードの相棒スキャンランが言った。四人は夕食の席を囲んでいた。

「それはそのとおりだ。チャーリー・ウィリアムズ殺しでもサイモン・バード殺しでも、過去の仕事なら日が暮れるまで話してやる。だが、仕事が終わるまでは何も言わん。」

「この辺りには、俺が一言言ってやりたい奴が半ダースはいる」マクマードは罵りを交えて言った。「まさか、あんたらが狙っているのはアイアンヒルのジャック・ノックスじゃないだろうな。奴が相応の報いを受けるところなら、遠くても見にいきたい。」

「いや、まだ奴じゃない。」

「では、ハーマン・ストラウスか?」

「いや、そいつでもない。」

「話さないというなら無理強いはできないが、知りたかったな。」

ローラーは微笑んで首を振った。誘いには乗らなかった。

客たちが口を閉ざしていても、スキャンランとマクマードは、彼らの言う「お楽しみ」に立ち会うつもりでいた。

そこである早朝、二人が忍び足で階段を下りる音を聞きつけたマクマードは、スキャンランを起こし、二人で急いで服を着た。支度を終えるころには、客たちは扉を開けたまま、こっそり外へ出ていた。まだ夜明け前だったが、街灯の光で、二人が通りのかなり先を歩いているのが見えた。マクマードたちは深い雪を音もなく踏み、慎重に後を追った。

下宿屋は町外れに近く、すぐに町境の先にある交差路へ出た。そこでは三人の男が待っており、ローラーとアンドルーズは短く熱のこもった会話を交わした。それから全員で進み始めた。人数を必要とする、かなり大きな仕事らしい。ここからは、さまざまな鉱山へ向かう道が何本も分かれている。一行はクロウ・ヒルへ通じる道を選んだ。そこは大規模な鉱山で、精力的かつ大胆不敵なニューイングランド出身の支配人、ジョサイア・H・ダンの手腕により、長い恐怖政治の中でも、ある程度の秩序と規律を守り続けていた。

夜が明け始め、煤で黒くなった道を、労働者たちが一人ずつ、あるいは集団で、ゆっくり歩いていた。

マクマードとスキャンランも労働者に交じって歩き、追っている男たちを視界に収め続けた。濃い霧が辺りを覆い、その中心から突然、蒸気笛の甲高い音が響いた。昇降籠が坑内へ下り、一日の労働が始まる十分前の合図だった。

坑道口の周囲にある広場へ着くと、百人もの鉱夫が待っていた。厳しい寒さのため、足踏みをし、指に息を吹きかけている。よそ者たちは機関室の陰で、小さな一団となって立った。スキャンランとマクマードは鉱滓の山へ登り、そこから現場全体を見下ろした。メンジーズという大柄で髭を生やしたスコットランド人の鉱山技師が機関室を出て、昇降籠を下ろす合図の笛を吹くのが見えた。

同時に、背が高く痩せた、真剣な顔つきの髭のない若者が、急ぎ足で坑口へ近づいた。進み出るうち、機関室の下で黙ったまま動かない一団が目に入った。男たちは顔を隠すため、帽子を目深にかぶり、襟を立てていた。一瞬、死の予感が冷たい手で支配人の心をつかんだ。だが次の瞬間には振り払い、不法に入り込んだよそ者に対する自分の義務だけを考えた。

「何者だ?」彼は近づきながら尋ねた。「そこで何をぐずぐずしている?」

返事はなかった。だが若いアンドルーズが進み出て、その腹を撃った。待っていた百人の鉱夫は、麻痺したかのように身動きもできず、手を出すこともできなかった。支配人は両手で傷口を押さえ、体を二つに折った。それからよろめいて逃げようとしたが、別の暗殺者が発砲し、横向きに倒れた。焼けた石炭殻の山の中で、足をばたつかせ、手で地面を掻いた。その光景を見たスコットランド人のメンジーズは怒りの咆哮を上げ、鉄のスパナを手に殺人者たちへ突進した。だが、顔へ二発の銃弾を受け、彼らの足元に即死した。

鉱夫の何人かが前へ押し出し、同情と怒りの言葉にならない叫びを上げた。しかし、よそ者の二人が群衆の頭上へ向けて回転式拳銃の弾を撃ち尽くすと、人々は散り散りになり、中には狂ったようにバーミッサの家へ逃げ帰る者もいた。

勇敢な数人が立ち直り、鉱山へ戻ったときには、殺人集団は朝霧の中へ消えていた。百人の目の前で二人を殺した男たちが誰だったのか、宣誓して証言できる目撃者は一人もいなかった。

スキャンランとマクマードは帰路についた。スキャンランはやや意気消沈していた。殺しの仕事を自分の目で見たのは初めてで、聞かされていたほど愉快なものではなかったからだ。二人が町へ急ぐ間も、死んだ支配人の妻の凄まじい悲鳴が追いかけてきた。マクマードは物思いに沈んで黙っていたが、相棒の弱気に同情は見せなかった。

「これは戦争と同じだ」彼は繰り返した。「俺たちと奴らの戦争でなくて何だ? こちらは、できるところへ打撃を返すだけだ。」

その夜、ユニオン・ハウスの集会室では、盛大な宴が開かれた。クロウ・ヒル鉱山の支配人と技師が殺されたことにより、その会社も、この地域で恐喝され恐怖に怯えるほかの会社と同列になる。それだけでなく、遠方で結社の手によって収められた勝利も祝われた。

郡代表は、バーミッサで一撃を加えるため五人の腕利きを送り込む代わりに、バーミッサから三人を密かに選び、スタイク・ロイヤルのウィリアム・ヘイルズを殺すため派遣せよと要求していたらしい。ヘイルズはギルマートン地区でも特に名高く、人気の高い鉱山主で、世界に一人も敵がいないと思われていた。あらゆる意味で模範的な雇用主だったからだ。しかし仕事の能率を重んじたため、全能の結社に属する酔いどれや怠け者の従業員を何人か解雇した。棺桶を描いた脅迫状を戸口に吊るされても決意を曲げなかった。その結果、自由な文明国にいながら死刑を宣告されたのである。

その処刑が、今や滞りなく実行された。ボディマスターの隣にある上座でだらしなく身を横たえているテッド・ボールドウィンが、一隊の指揮を執った。赤らんだ顔と、濁って血走った目は、寝不足と酒を物語っていた。彼と二人の仲間は前夜を山中で過ごしていた。身なりは乱れ、風雨に汚れている。だが決死の任務から帰還した英雄でさえ、仲間からこれほど熱烈には迎えられなかっただろう。

歓声と爆笑の中で、物語は何度も繰り返された。男が夕暮れに馬車で帰宅するのを待ち、馬が必ず歩みを緩める急坂の頂上に陣取った。男は寒さを防ぐ毛皮にくるまれていたため、拳銃に手を伸ばせなかった。彼らは男を馬車から引きずり下ろし、何度も撃った。男は命乞いの悲鳴を上げた。その悲鳴が、結社の余興として再現された。

「もう一度、奴がどんな声で泣いたかやってみろ」皆が叫んだ。

誰一人、殺された男を知らなかった。だが殺しにはいつの世にも人を惹きつける劇性がある。しかも彼らはギルマートンのスコウラーズに、バーミッサの男たちは頼りになると示したのだ。

一つだけ不都合があった。動かなくなった遺体へまだ銃弾を浴びせている最中、一組の夫婦が馬車で近づいてきたのである。二人とも撃つべきだという意見が出た。だが鉱山とは無関係な、害のない人々だったため、もっと悪い目に遭いたくなければ黙って走り去れと、厳しく命じるだけにした。こうして血の斑点に覆われた遺体は、同じような薄情な雇用主への警告として放置された。三人の高貴な復讐者は山中へ急いだ。そこでは手つかずの自然が、溶鉱炉と鉱滓の山のすぐ縁まで迫っている。そして今、三人は無事に帰還し、立派に仕事を果たし、仲間の喝采を浴びていた。

スコウラーズにとって、偉大な一日だった。谷を覆う影はいっそう暗くなった。だが賢い将軍が、敵に惨敗から立ち直る暇を与えぬよう、勝利の瞬間を選んで攻勢を強めるのと同じく、ボス・マクギンティも陰鬱で悪意に満ちた目で作戦区域を見渡し、自分に逆らう者への新たな攻撃を考えていた。その夜、半ば酔った一同が解散すると、マクギンティはマクマードの腕に触れ、初めて面談した奥の部屋へ連れていった。

「いいか、若いの」彼は言った。「ついに、おまえに相応しい仕事がある。すべておまえの手に任せる。」

「そいつは光栄です」マクマードは答えた。

「二人連れていっていい――マンダーズとライリーだ。すでに仕事に備えさせてある。チェスター・ウィルコックスを始末しないかぎり、この地区は決して安泰にならん。奴を倒せば、炭鉱地帯の全支部から感謝されるぞ。」

「とにかく最善を尽くします。どんな男で、どこにいるんです?」

マクギンティは、いつも口の端にくわえている、半分噛み潰され半分燃えた葉巻を取り、手帳から破った一枚に大ざっぱな図を描いた。

「アイアン・ダイク社の主任監督だ。手強い男で、戦争では古参の軍曹だった。傷痕だらけで、髪も髭も灰色だ。二度狙ったが運がなく、そのせいでジム・カーナウェイが命を落とした。今度はおまえが引き継げ。これが家だ――この地図にあるとおり、アイアン・ダイクの交差路にぽつんと建っている。声の届く範囲にはほかの家がない。昼間は駄目だ。武装していて、誰何もせず素早く正確に撃つ。だが夜なら――奴は妻、三人の子供、それに使用人一人と家にいる。選り好みはできん。全員か、一人もなしかだ。玄関に爆破用火薬の袋を置き、遅燃性の導火線をつければ――」

「その男は何をしたんです?」

「ジム・カーナウェイを撃ったと言わなかったか?」

「なぜ撃った?」

「そんなことがおまえに何の関係がある? カーナウェイが夜、奴の家の周りにいて、撃たれた。それだけで俺にもおまえにも十分だ。きっちり始末しろ。」

「女二人と子供たちも吹き飛ばすんですか?」

「そうするしかない。でなければ、どうやって奴を殺す?」

「何もしていないのに、気の毒に思えます。」

「何を馬鹿なことを言っている? 尻込みするのか?」

「落ち着いてください、議員。俺が自分の支部のボディマスターの命令に背くと思わせるようなことを、これまで言ったり、したりしましたか? 正しいか間違っているかを決めるのは、あなたです。」

「では、やるんだな?」

「もちろん、やります。」

「いつだ?」

「家を調べて計画を立てるため、一晩か二晩ください。それから――」

「よし」マクギンティは手を握った。「おまえに任せる。吉報を持ち帰る日は、素晴らしい日になるぞ。最後の一撃で、全員を屈服させられる。」

マクマードは突然自分の手に委ねられた任務について、長く深く考えた。チェスター・ウィルコックスの住む孤立した家は、隣の谷の約五マイル(約八キロメートル)先にあった。その夜のうちに、マクマードは一人で下見へ出発した。偵察から戻ったときには、すでに夜が明けていた。翌日、彼は部下となるマンダーズとライリーに会った。向こう見ずな若者たちは、鹿狩りへ出かけるかのように浮かれていた。

二日後の夜、三人は町外れで落ち合った。全員が武装し、そのうち一人は採石場で使う火薬を詰めた袋を担いでいた。孤立した家へ着いたのは午前二時だった。風の強い夜で、欠けた雲が四分の三ほど満ちた月の前を、速く流れていた。番犬に注意せよと警告されていたので、三人は拳銃を撃鉄まで起こし、慎重に進んだ。しかし、風の唸り以外に音はなく、頭上で枝が揺れるほかに動くものもなかった。

マクマードは孤独な家の扉へ耳を当てたが、中は静まり返っていた。火薬袋を扉に立てかけ、ナイフで穴を開けて導火線を取りつけた。火がしっかりつくと、三人は一目散に駆け出した。かなり離れた安全な溝の中へ身を伏せたとき、すべてを粉砕する爆発音と、建物が崩れる低く深い轟音が響き、仕事の完了を告げた。血塗られた結社の歴史でも、これほど鮮やかな仕事はなかった。

ところが、これほど周到に計画され、大胆に実行された仕事も、悲しいかな、すべて無駄だった! 数々の犠牲者の運命を見て、自分も抹殺の標的にされていると知ったチェスター・ウィルコックスは、わずか前日に家族を連れ、警官が警護する、より安全で人に知られていない場所へ移っていた。火薬で吹き飛ばされたのは空き家だった。戦争帰りの厳格な老軍曹は、今なおアイアン・ダイクの鉱夫たちに規律を教えていた。

「奴は俺に任せてください」マクマードは言った。「俺の獲物です。一年待つことになっても、必ず仕留めます。」

全体集会でマクマードへの感謝と信任が決議され、ひとまずこの件は終わった。数週間後、ウィルコックスが待ち伏せされ、銃撃を受けたと新聞が報じたとき、マクマードが未完の仕事をまだ続けていることは公然の秘密だった。

これがフリーメン結社の手法であり、スコウラーズの所業だった。彼らは長きにわたり、その恐るべき存在に取り憑かれた、広大で豊かな地域へ恐怖の支配を広げた。これ以上の犯罪で、なぜこの頁を汚す必要があるだろう? 彼らがどんな人間で、どんな手段を用いたかを示すには、もう十分ではないか? 

これらの所業は歴史に刻まれ、詳細を読める記録も残されている。結社員二人を逮捕しようとしたという理由で、ハント巡査とエヴァンズ巡査が射殺された事件も、そこに記されている。バーミッサ支部で計画され、無力で武器を奪われた二人に対して冷酷に実行された、二重の凶行だった。ボス・マクギンティの命令で瀕死になるまで殴られた夫を看病していた、ラービー夫人の射殺事件も読める。ジェンキンズ兄の殺害、それに続く弟の殺害、ジェームズ・マードックの身体切断、スタップハウス一家の爆殺、ステンダル一家の殺害――同じ恐ろしい冬に、すべてが立て続けに起こった。

影は暗く、恐怖の谷を覆っていた。春が訪れ、小川は流れ、木々には花が咲いた。長い間、鉄の手に締めつけられてきた自然界のすべてに、希望が訪れた。しかし恐怖の軛の下で暮らす男や女には、どこにも希望がなかった。一八七五年初夏ほど、人々の頭上の雲が暗く、絶望的だったことはない。

第六章 危機

恐怖政治は最盛期に達していた。すでに内務助祭に任命され、いずれはマクギンティの後を継いでボディマスターになると目されていたマクマードは、今や仲間の協議に欠かせない存在となり、彼の助言と協力なしには何一つ行われなかった。しかしフリーメンの間で人気が高まるほど、バーミッサの通りを歩く彼に向けられる市民の視線は険しくなった。恐怖に怯えながらも、市民たちは勇気を奮い起こし、圧制者に対抗するため団結し始めていた。ヘラルド社で秘密集会が開かれ、法を守る市民の間に銃器が配られているとの噂も、結社に届いていた。だがマクギンティと配下は、そうした情報にも動じなかった。こちらは人数が多く、覚悟もあり、十分に武装している。敵は散らばり、無力だった。これまでと同じく、目的のない議論と、おそらくは成果のない逮捕で終わるだろう。それがマクギンティとマクマードをはじめ、強硬派全員の見方だった。

五月のある土曜の晩だった。土曜はいつも集会の夜で、マクマードが家を出ようとしていると、結社でも気の弱いモリス兄弟が訪ねてきた。額には悩みの皺が刻まれ、優しい顔はやつれ、憔悴していた。

「率直にお話ししてもよろしいですか、マクマードさん?」

「もちろん。」

「以前一度、あなたに心の内を打ち明けたことを忘れられない。ボス本人に尋ねられても、あなたは秘密を守ってくれた。」

「信用された以上、ほかにどうしろと言うんだ? あんたの話に同意したわけじゃないがな。」

「それはわかっています。だが安全に話せる相手は、あなただけだ。ここに秘密がある」モリスは胸に手を当てた。「その秘密が、私の命を焼き尽くそうとしている。私以外の誰かに知らされたのならよかった。話せば、必ず殺人が起こる。話さなければ、我々全員の破滅を招くかもしれない。神よ、お助けください。このことで頭がおかしくなりそうだ!」

マクマードは男を真剣に見た。モリスは全身を震わせていた。マクマードはグラスにウイスキーを注いで差し出した。「あんたみたいな男には、これが薬だ」彼は言った。「さあ、話を聞こう。」

モリスが飲むと、白い顔にわずかな血色が戻った。「一言で話せます」彼は言った。「探偵が我々の跡を追っている。」

マクマードは驚いて見つめた。「どうした、頭がおかしくなったか」彼は言った。「この土地には警官も刑事も溢れているが、これまで俺たちにどんな害を与えた?」

「違う、違う。地元の人間ではない。あなたの言うとおり、地元の連中なら素性もわかっているし、大したことはできない。だが、ピンカートン探偵社のことは聞いたことがありますか?」

「そんな名の連中について、何か読んだ覚えはある。」

「ならば覚えておきなさい。あそこに狙われれば勝ち目はない。当たっても外れても構わない政府の仕事とは違う。本気で結果を求める商売で、どんな手を使ってでも成果を得るまでやめない。ピンカートンの探偵がこの件に深く入り込んでいるなら、我々は全滅です。」

「殺すしかない。」

「ああ、それが真っ先に浮かんだのですね! 集会でも同じ結論になる。殺人に終わると言ったでしょう?」

「殺人がどうした? この辺りじゃ珍しくもない。」

「確かにそうだ。だが、殺される男を指し示す役は御免です。二度と心安らかに眠れない。だが、我々自身の首が懸かっているかもしれない。神よ、私はどうすればいい?」

決断できない苦しみに、モリスは体を前後へ揺すった。

だが、その言葉はマクマードにも深い衝撃を与えていた。危険の大きさと、それに対処する必要について、モリスと同じ考えであるのは明らかだった。マクマードはモリスの肩をつかみ、力を込めて揺さぶった。

「よく聞け」彼は叫んだ。興奮のあまり、ほとんど金切り声になっていた。「通夜で泣き叫ぶ老婆みたいに座り込んでいても、何にもならない。事実を話せ。そいつは誰だ? どこにいる? どうやって知った? なぜ俺のところへ来た?」

「あなたなら助言してくれると思ったから来た。ここへ来る前、東部で店を持っていたと話したでしょう。向こうには親しい友人が残っていて、その一人が電信関係の仕事をしている。これは昨日、その男から届いた手紙です。頁の上から、この部分を読んでください。」

マクマードが読んだ文面は、こうだった。

そちらのスコウラーズはどうしている? 新聞ではよく記事を見かける。
ここだけの話だが、近いうちに君のところからニュースが届くと思う。
大企業五社と鉄道会社二社が、本腰を入れてこの問題に取り組み始めた。
連中は本気だ。間違いなくやり遂げる! すでに相当深く入り込んでいる。
各社の指示でピンカートンが動き、社で最も優秀なバーディ・エドワーズが
活動中だ。この件には、今すぐ終止符が打たれる。

「追伸も読んでください。」

もちろん、ここに書いたことは仕事上知った情報だから、他言無用だ。
毎日何ヤード(何メートル)も扱いながら、まるで意味を読み取れない
奇妙な暗号というものもある。

マクマードはしばらく黙り、力の抜けた手に手紙を持って座っていた。霧が一瞬晴れ、その先に深淵が口を開けていた。

「このことを、ほかに誰か知っているか?」彼は尋ねた。

「誰にも話していません。」

「だが、この男――あんたの友人は、ほかの誰かにも手紙を書きそうか?」

「まあ、ほかにも一人か二人、知り合いはいるでしょう。」

「結社員か?」

「おそらく。」

「尋ねたのは、このバーディ・エドワーズという男の人相を、そいつが書いているかもしれないからだ――そうすれば、跡を追える。」

「可能性はあります。しかし、本人を知っているとは思えない。ただ、仕事を通じて入ってきた情報を教えてくれただけです。どうしてピンカートンの男を知っているでしょう?」

マクマードは激しく身を震わせた。

「畜生!」彼は叫んだ。「わかったぞ。なぜ気づかなかったんだ、俺は大馬鹿だ! いや、運が向いてきた! 奴が害をなす前に始末できる。なあ、モリス、この件を俺に任せるか?」

「ええ、私の手から引き取ってくださるなら。」

「引き取ろう。あんたは完全に手を引き、俺に任せればいい。あんたの名前を出す必要さえない。この手紙が俺のところへ届いたことにして、すべて俺が背負う。それで満足か?」

「まさに、そうしてほしい。」

「なら、それで決まりだ。口を閉じていろ。俺は集会へ行き、ピンカートンの爺さんをすぐ後悔させてやる。」

「その男を殺すつもりでは?」

「モリス兄弟、知らないことが少ないほど、あんたの良心は楽になり、よく眠れる。何も尋ねず、成り行きに任せろ。今からは俺が引き受ける。」

モリスは悲しげに首を振りながら帰っていった。「あの男の血が、自分の手についたように感じる」彼は呻いた。

「正当防衛なら、どのみち殺人じゃない」マクマードは冷たく笑った。「奴か、俺たちかだ。この男を谷に長く置けば、俺たち全員を滅ぼすだろう。なあ、モリス兄弟、いずれあんたをボディマスターに選ばなきゃならんぞ。結社を救ったのは、間違いなくあんただ。」

しかしマクマードの行動を見るかぎり、言葉で示した以上に、この新たな侵入者を深刻に考えているのは明らかだった。後ろめたい良心のせいかもしれず、ピンカートン探偵社の名声のせいかもしれず、巨大で裕福な企業がスコウラーズの一掃に乗り出したと知ったせいかもしれない。理由が何であれ、最悪の事態に備える者の行動だった。家を出る前に、自分の罪を示す書類をすべて焼き捨てた。それから満足そうに長い息を吐いた。これで安全になったと思えたからだ。それでも危険はなお心に重くのしかかっていたらしい。集会へ向かう途中、老シェフターの家へ寄った。家へ入ることは禁じられていたが、窓を叩くとエティが出てきた。恋人の目からは、陽気なアイルランド人らしい悪戯っぽさが消えていた。その真剣な顔を見て、エティは危険を悟った。

「何かあったのね!」彼女は叫んだ。「ああ、ジャック、危ないことになったのね!」

「それほど悪くはないよ、愛しい人。だが、もっと悪くなる前に動いたほうが賢明かもしれない。」

「動くって?」

「いつかここを出ると約束しただろう。その時が近づいていると思う。今夜、悪い知らせが入った。面倒が起きそうだ。」

「警察?」

「いや、ピンカートンだ。だが、それが何なのか、俺みたいな人間にとって何を意味するのか、君にはわからないだろう。この件に深入りしすぎた。急いで抜け出さなければならないかもしれない。俺が行くなら、君も一緒に来ると言ったな。」

「ああ、ジャック、そうすればあなたは救われるわ!」

「俺にも、正直なところはある、エティ。この世のすべてをくれると言われても、君の美しい頭の髪一本傷つけない。雲の上の黄金の玉座――俺にはいつも、君がそこに座って見える――そこから君を一寸たりとも引きずり下ろしはしない。俺を信用できるか?」

エティは無言で手を差し出した。「では、よく聞いて、俺の言うとおりにしてくれ。それが二人に残された唯一の道だ。この谷では何かが起きる。骨身に感じるんだ。自分の身を守らなければならない者が、大勢出るかもしれない。少なくとも俺はその一人だ。昼でも夜でも、俺が行くときは、君も一緒に来るんだ!」

「あなたの後を追うわ、ジャック。」

「違う。後からではなく、俺と一緒に来るんだ。この谷に戻れなくなり、警察から身を隠して、連絡する機会もなくなったら、どうして君を残していける? 一緒に来なければ駄目だ。俺の故郷には信頼できる女がいる。結婚できるまで、そこに君を預ける。来てくれるか?」

「ええ、ジャック。一緒に行くわ。」

「俺を信じてくれてありがとう! その信頼を裏切るなら、俺は地獄から出た悪魔だ。よく覚えておけ、エティ。君には一言だけ知らせる。その知らせが届いたら、何もかも放り出し、駅の待合室へ直行して、俺が迎えに行くまで待っているんだ。」

「昼でも夜でも、知らせがあれば行くわ、ジャック。」

逃亡の準備に着手したことで幾分気持ちが楽になり、マクマードは集会へ向かった。すでに会合は始まっており、厳重に秘密を守る外側と内側の見張りを、複雑な合図と応答の合言葉によって通り抜けた。中へ入ると、喜びと歓迎のざわめきが起きた。細長い部屋は人で埋まり、煙草の煙越しに、ボディマスターのもつれた黒い髪、ボールドウィンの残忍で敵意に満ちた顔、書記ハラウェイの禿鷹のような顔、そして結社の指導層をなす十数人の姿が見えた。自分の知らせについて協議するため、全員が揃っていることをマクマードは喜んだ。

「来てくれて嬉しいぞ、兄弟!」議長は叫んだ。「ここにはソロモン王ほどの知恵がなければ、正しく裁けぬ問題がある。」

「ランダーとイーガンの件だ」マクマードが席に着くと、隣の者が説明した。「スタイルズタウンのクラッブ爺さんを撃った褒賞金を、二人とも自分が受け取るべきだと主張している。どちらの弾が当たったか、誰にもわからない。」

マクマードはその場で立ち、手を挙げた。その顔つきに、一同の注意が凍りついた。期待に満ちた完全な静寂が訪れた。

「高位なるボディマスター」彼は厳粛な声で言った。「緊急動議を提出します!」

「マクマード兄弟より緊急動議が提出された」マクギンティは言った。「本支部の規則により、ほかの議題に優先する。兄弟、聞こう。」

マクマードはポケットから手紙を取り出した。

「高位なるボディマスター、ならびに兄弟諸君」彼は言った。「本日、私は悪い知らせをもたらした。だが、我々全員を滅ぼす一撃が警告もなく振り下ろされるより、事前に知り、協議するほうがよい。この州で最も強大かつ裕福な組織が、我々を滅ぼすため手を結んだとの情報を得た。そして今この瞬間にも、バーディ・エドワーズなるピンカートンの探偵が谷で活動し、我々の多くの首に縄をかけ、この部屋にいる全員を重罪人の独房へ送る証拠を集めている。この事態を協議するため、緊急動議を提出した。」

部屋は水を打ったように静まった。議長が沈黙を破った。

「その証拠は何だ、マクマード兄弟?」彼は尋ねた。

「私の手に入った、この手紙です」マクマードは言い、該当箇所を声に出して読んだ。「名誉に関わる事情から、手紙についてこれ以上の詳細は明かせず、皆さんの手へ渡すこともできません。しかし、結社の利益に関係することは、ほかに何一つ書かれていないと保証します。私に届いた情報を、そのまま提示しました。」

「議長、一言よろしいか」年長の兄弟の一人が言った。「バーディ・エドワーズの名は聞いたことがある。ピンカートン探偵社で最も優秀な男との評判だ。」

「顔を知っている者はいるか?」マクギンティが尋ねた。

「私が知っています」マクマードは言った。

広間に驚きのざわめきが広がった。

「奴はすでに我々の手の内にあるも同然です」マクマードは勝ち誇った笑みを浮かべて続けた。「素早く賢明に動けば、短時間で片づけられる。皆さんの信頼と協力を得られるなら、恐れるものはほとんどありません。」

「そもそも何を恐れる必要がある? 奴に我々の何がわかる?」

「誰もがあなたほど揺るぎないなら、そう言えるでしょう、議員。しかし、奴の背後には資本家の何百万ドルという金がある。全支部に一人も、金で買収される気の弱い兄弟がいないと思いますか? 奴は秘密を手に入れる――いや、もう手に入れているかもしれない。確実な治療法は一つだけです。」

「奴を生きて谷から出さないことだ」ボールドウィンが言った。

マクマードはうなずいた。「さすがだ、ボールドウィン兄弟」彼は言った。「俺たちにはいろいろあったが、今夜は正しいことを言った。」

「それで、奴はどこにいる? どう見分ける?」

「高位なるボディマスター」マクマードは真剣に言った。「これは公開の集会で論じるには、あまりにも重大な問題です。ここにいる誰かを疑うなど、神に誓って望みません。しかし、噂の一言でも奴の耳に入れば、捕らえる機会は永久に失われる。議長には、信頼できる委員を選んでいただきたい――差し支えなければ、あなた自身と、ここにいるボールドウィン兄弟、それにあと五人。そうすれば、私の知っていることと、取るべき行動について、自由に話せます。」

提案はただちに採択され、委員が選ばれた。議長とボールドウィンのほか、禿鷹顔の書記ハラウェイ、残忍な若い暗殺者タイガー・コーマック、会計係カーター、そして恐れを知らず、どんなことでもためらわないウィラビー兄弟だった。

いつもの酒宴は短く、沈んだものになった。男たちの心に雲が垂れ込め、長い間暮らしてきた平穏な空へ、復讐する法の雲が湧き上がるのを、多くの者が初めて見たからだ。他人に与えてきた恐怖は、あまりに日常の一部となっていたため、報復という考えは遠いものになっていた。それだけに、報復がすぐそばまで迫った今、衝撃はいっそう大きかった。彼らは早々に解散し、指導者たちを協議のため残した。

「さあ、マクマード!」二人きりになると、マクギンティが言った。七人の男は席についたまま凍りついていた。

「先ほど、バーディ・エドワーズを知っていると言いました」マクマードは説明した。「奴がその名でここにいるはずはない。勇敢ではあっても、狂人ではありません。スティーヴ・ウィルソンと名乗り、ホブソンズ・パッチに下宿しています。」

「なぜわかった?」

「たまたま話をしたからです。そのときは気にも留めず、この手紙がなければ二度と思い出さなかったでしょう。だが今では、奴だと確信しています。水曜日、鉄道で先へ行ったとき、列車で出会いました――どう見ても一筋縄ではいかない男です。新聞記者だと言ったので、そのときは信じました。ニューヨークの新聞へ載せるため、スコウラーズと、奴の言う『凶行』について、できるかぎり知りたがった。情報を引き出そうと、ありとあらゆる質問をしてきた。当然、俺は何も漏らさなかった。『記事になる情報をくれれば金を払う。たっぷりとな』と奴は言った。そこで、奴が喜びそうな話をしてやると、情報料として二十ドル札を渡した。『欲しい情報を全部手に入れてくれるなら、その十倍を払う』とも言いました。」

「それで、何を教えた?」

「適当にでっち上げた話です。」

「なぜ新聞記者ではないとわかった?」

「説明します。奴はホブソンズ・パッチで降り、俺も降りた。たまたま電信局へ入ると、奴が出てくるところでした。

「奴が出ていった後、通信士が『これは料金を倍にしてもいいくらいだ』と言った。『そうしたほうがいい』と俺は答えた。用紙には、こちらが見ても中国語としか思えない文字がびっしり書かれていた。『毎日、この一枚を送っている』と係員が言った。そこで俺は、『新聞の特別記事で、ほかの社に傍受されるのを恐れているんだろう』と答えた。それが通信士の考えで、そのときの俺の考えでもあった。だが今は違います。」

「畜生! おまえの言うとおりだろう」マクギンティは言った。「それで、どうすべきだと思う?」

「今すぐ押しかけ、始末してはどうだ?」誰かが提案した。

「ああ、早いほどいい。」

「居場所がわかるなら、今この瞬間にも出発します」マクマードは言った。「ホブソンズ・パッチにいるが、家がわからない。ただし、俺の助言に従ってくれるなら、計画があります。」

「どんな計画だ?」

「明朝、パッチへ行きます。通信士を通じて奴を見つける。おそらく居場所を突き止められるでしょう。それから、自分もフリーメンだと明かし、金と引き換えに結社の秘密をすべて売ると持ちかける。奴は必ず食いつく。書類は俺の家にあり、人目のある時間に来させれば命が危ないと話す。奴にも筋が通っているとわかるはずだ。夜十時に来れば、すべて見せると言う。これで確実に釣れます。」

「それで?」

「後は皆さんで考えてください。未亡人マクナマラの家は人里離れている。あの女は鋼のように信用でき、しかも柱のように耳が遠い。家にいるのはスキャンランと俺だけです。奴の約束を取りつけたら――取れたかどうかは知らせます――七人全員、九時までに来てください。奴を中へ入れる。そこから生きて出られたなら――残りの人生、バーディ・エドワーズの幸運を自慢できますよ!」

「近いうちにピンカートン探偵社で欠員が出る。そうでなければ俺の見当違いだ。よし、マクマード、その計画でいく。明日の九時に全員で向かう。奴の背後で扉を閉めさえすれば、後は俺たちに任せろ。」

第七章 バーディ・エドワーズを捕らえる罠

マクマードの言葉どおり、彼の住む家は孤立しており、一同の計画したような犯罪にはきわめて都合がよかった。町のいちばん外れにあり、街道からもかなり奥まっていた。ほかの相手なら、これまで何度もしたように、ただ外へ呼び出して、その体へ拳銃の弾を撃ち尽くせばよかった。しかし今回ばかりは、相手が何を知り、どうやって知り、雇い主へどこまで伝えたかを突き止める必要があった。

すでに手遅れで、仕事を終えられている可能性もあった。もしそうなら、せめてやり遂げた男へ復讐することはできる。だが連中は、重大な情報はまだ探偵の手に入っていないと期待していた。そうでなければ、マクマードが与えたという些細な情報を書き留めて送る必要はないはずだ、という理屈だった。いずれにせよ、すべて本人の口から聞き出せる。ひとたび手中に収めれば、喋らせる方法は見つかる。口を閉ざす証人を扱うのは、初めてではなかった。

約束どおり、マクマードはホブソンズ・パッチへ向かった。その朝、警察は彼に特別な関心を抱いているようだった。シカゴでの古い知り合いだと主張したマーヴィン大尉は、駅で待つマクマードに実際に声をかけた。だがマクマードは顔を背け、話を拒んだ。午後には任務を終えて戻り、ユニオン・ハウスでマクギンティに会った。

「奴は来ます」マクマードは言った。

「よし!」マクギンティは答えた。巨人は上着を脱ぎ、シャツ姿だった。大きな胴衣の上では鎖と印章が輝き、逆立つ顎髭の間からダイヤモンドが光っていた。酒と政治によって、ボスは権力者となっただけでなく、大富豪にもなっていた。それだけに、前夜垣間見た監獄や絞首台の幻は、いっそう恐ろしく感じられた。

「奴は多くを知っていると思うか?」不安げに尋ねた。

マクマードは暗い顔で首を振った。「かなり前からいる――少なくとも六週間です。景色を眺めるため、この辺りへ来たわけではないでしょう。鉄道会社の金を背後に、ずっと俺たちの中で活動していたなら、成果を上げ、すでに報告していると考えるべきです。」

「支部には気の弱い男など一人もいない」マクギンティは叫んだ。「全員、鋼のように信頼できる。だが、畜生! あの卑怯者のモリスがいる。奴はどうだ? 俺たちを売る者がいるとすれば、あいつだ。今夜までに若い衆を二人送り、痛めつけて、何を吐くか見たくなったぞ。」

「まあ、やって害はないでしょう」マクマードは答えた。「モリスには好意を持っているし、ひどい目に遭えば残念だとは言っておきます。結社のことで一、二度話したが、あなたや俺と同じ見方をしていなくても、密告するような男には見えなかった。しかし、俺があなたとの間に立つつもりはありません。」

「あの老いぼれは始末してやる!」マクギンティは罵った。「この一年、ずっと目をつけていた。」

「その辺りは、あなたがいちばんよく知っている」マクマードは答えた。「だが何をするにしても明日です。ピンカートンの件を片づけるまでは、目立たないようにしなければならない。よりによって今日、警察を騒がせる余裕はありません。」

「そのとおりだ」マクギンティは言った。「情報をどこから得たか、バーディ・エドワーズ本人から聞き出す。先に心臓を抉り出すことになってもな。罠の匂いを嗅ぎつけた様子はなかったか?」

マクマードは笑った。「奴の弱みを突きましたからね」彼は言った。「スコウラーズの確かな手掛かりが得られるなら、地獄まで追うつもりだ。金も受け取りました」マクマードはドル紙幣の束を取り出して笑った。「書類を全部見せれば、同じ額をもう一度払うそうです。」

「何の書類だ?」

「書類なんかありません。ですが、規約や規則集、会員名簿の用紙などがあると思わせておいた。帰るまでに、すべての核心を掴めると期待しています。」

「確かに、核心へ行き着くことになるな」マクギンティは冷酷に言った。「なぜ書類を持ってこなかったのか、奴は尋ねなかったか?」

「そんな物を持ち歩けますか? 俺は疑われている男で、今日も駅でマーヴィン大尉に声をかけられたばかりだというのに!」

「ああ、その話は聞いた」マクギンティは言った。「この件でいちばん厄介な役目を背負うのは、おそらくおまえだ。始末した後、古い坑道へ投げ込むことはできる。だがどうやったところで、奴がホブソンズ・パッチに住んでいたことと、今日おまえがそこにいたことは消せん。」

マクマードは肩をすくめた。「正しく処理すれば、殺人を証明することは絶対にできません」彼は言った。「暗くなってから奴が家へ来る姿は、誰にも見えない。そして、出ていく姿は誰にも見せない。さあ、議員、俺の計画を説明しますから、ほかの連中を配置してください。皆さんは早めに来る。そこまではいい。奴は十時に来る。三度ノックし、俺が扉を開けることになっている。それから背後に回って扉を閉める。その瞬間、奴は俺たちのものです。」

「簡単で、わかりやすい。」

「だが、その次は考える必要がある。奴は手強い。重武装している。うまく騙したとはいえ、警戒している可能性は高い。俺一人だと思って部屋へ入ったところに七人いたら、どうなる? 銃撃戦になり、誰かが負傷します。」

「そのとおりだ。」

「しかも銃声を聞けば、町中の忌々しい警官が押しかけてくる。」

「おまえの言うとおりだろう。」

「俺ならこうします。皆さんは大部屋――以前、俺と話した部屋です――で待つ。俺は奴に扉を開け、入口脇の応接間へ通し、書類を取ってくると言って一人にする。そこで皆さんに、様子を報告できる。それから偽物の書類を持って戻る。奴が読んでいる隙に飛びかかり、拳銃を持つ腕を押さえる。俺が叫んだら、皆さんが突入する。早いほどいい。奴は俺と同じくらい力が強く、手に余るかもしれない。だが皆さんが来るまでは押さえていられると思います。」

「いい計画だ」マクギンティは言った。「この件で、結社はおまえに借りができる。俺が議長席を退くとき、後を継ぐ男の名を挙げられそうだ。」

「議員、俺はまだ新入り同然ですよ」マクマードは言った。だが顔には、大人物からの賛辞をどう受け止めたかが表れていた。

家へ戻ると、マクマードは目前に迫った恐ろしい夜に備えた。まずスミス&ウェッソンの回転式拳銃を掃除し、油を差し、弾を込めた。それから探偵を罠にかける部屋を調べた。広い部屋で、中央には長い松材のテーブル、片側には大きなストーブがあった。ほかの三方には窓がある。鎧戸はなく、薄いカーテンが引かれているだけだった。マクマードは入念に調べた。これほど秘密の会合を開くには、あまりに外から見えやすい部屋だと思ったに違いない。しかし、街道から離れているので、それほど問題にはならなかった。最後に、同宿人と話し合った。スキャンランはスコウラーではあっても、無害な小男だった。仲間の意見に逆らうには気が弱すぎたが、時に協力を強いられる血なまぐさい所業には、心の底で恐怖を抱いていた。マクマードは予定を手短に説明した。

「俺があんたなら、マイク・スキャンラン、今夜は休みにして、近づかない。朝までに、ここでは血が流れる。」

「まったくだ、マック」スキャンランは答えた。「俺に足りないのは意思ではなく、度胸なんだ。あの炭鉱でダン支配人が倒れるのを見たときは、耐えられなかった。俺は君やマクギンティのようにはできていない。結社が悪く思わないなら、君の言うとおりにして、今夜は君たちだけにしよう。」

男たちは取り決めどおり、早めに集まった。外見は身なりもよく清潔な、立派な市民だった。しかし人相を見る目のある者なら、その固い口元と無慈悲な目に、バーディ・エドワーズの希望をほとんど見いだせなかっただろう。その部屋には、過去に十数回も手を血で染めていない男は一人もいなかった。人間を殺すことに、肉屋が羊を殺すのと同じほど慣れていた。

外見でも罪深さでも、筆頭はもちろん恐るべきボスだった。書記のハラウェイは痩せて苦々しい顔をし、長く筋張った首と、神経質に跳ねる手足を持っていた。結社の財務に関しては絶対に買収されない忠実さを持つ一方、その外の人間に対する正義や誠実さという観念は、まるでなかった。会計係のカーターは中年で、無表情かつやや不機嫌そうな顔と、黄色い羊皮紙のような肌をしていた。有能な計画者であり、ほぼすべての凶行の具体的な手順は、その頭脳から生まれていた。ウィラビー兄弟は行動派で、背が高くしなやかな体と、意志の強い顔をした若者たちだった。一方、仲間のタイガー・コーマックは、がっしりした浅黒い若者で、その獰猛な気性のため、仲間からさえ恐れられていた。ピンカートンの探偵を殺すため、その夜マクマードの屋根の下へ集まったのは、こうした男たちだった。

主人役のマクマードはテーブルにウイスキーを置き、彼らは目前の仕事に備え、急いで酒を腹へ入れた。ボールドウィンとコーマックはすでに半ば酔い、酒によって獰猛さをむき出しにしていた。コーマックは一瞬、ストーブへ両手を置いた。夜はまだ寒いため、火が入っていた。

「これが使える」彼は罵りを交えて言った。

「ああ」その意図を察したボールドウィンが言った。「奴をこれに縛りつければ、真実を吐かせられる。」

「必ず真実を吐かせる。心配するな」マクマードは言った。まさに鋼の神経を持つ男だった。すべての重責を負っているにもかかわらず、その態度はいつもどおり冷静で無頓着だった。ほかの者もそれに気づき、称賛した。

「奴を扱うには、おまえが適任だ」ボスは満足そうに言った。「おまえの手が喉にかかるまで、何の警告も得られん。窓に鎧戸がないのは残念だが。」

マクマードは窓を一つずつ回り、カーテンをきつく閉めた。「これでもう誰にも覗かれません。そろそろ時間です。」

「来ないかもしれん。危険を嗅ぎつけるかもしれない」書記が言った。

「必ず来る」マクマードは答えた。「あんたたちが会いたがっているのと同じくらい、奴も来たがっている。ほら、聞け!」

全員が蝋人形のように動きを止めた。グラスを口へ運ぶ途中で、手を止めた者もいた。扉を三度、強く叩く音がした。

「静かに!」

マクマードは警告するように手を挙げた。勝ち誇った視線が輪の中を巡り、それぞれの手が武器にかかった。

「命が惜しければ、物音一つ立てるな!」

マクマードは囁き、部屋を出ると、背後の扉を注意深く閉めた。

「命が惜しければ、物音一つ立てるな!」

マクマードは囁いた。

殺人者たちは耳を澄まして待った。廊下を進む仲間の足音を数えた。やがて玄関の扉が開く音がした。挨拶らしい短い言葉が交わされた。それから、聞き慣れない足音と、知らない声が中へ入ってきた。次の瞬間、扉が閉まり、錠に鍵をかける音が響いた。獲物は罠の中へ収まった。タイガー・コーマックが恐ろしい笑い声を上げたので、ボス・マクギンティは巨大な手でその口を塞いだ。

「黙れ、この馬鹿!」ボスは囁いた。「いつか、おまえのせいですべてが台なしになるぞ!」

隣室から低い話し声が聞こえた。いつまでも続くように思えた。やがて扉が開き、マクマードが唇に指を当てて姿を現した。

彼はテーブルの端まで来ると、一同を見回した。その姿には微妙な変化があった。重大な仕事を成し遂げようとする者の態度だった。顔は花崗岩のように固く引き締まり、眼鏡の奥の目は激しい興奮に輝いていた。人を率いる指導者の姿が、そこにはっきりと現れていた。皆は強い関心を込めて見つめたが、マクマードは何も言わなかった。同じ異様な視線のまま、一人ずつ顔を見ていった。

「どうした!」ついにボス・マクギンティが叫んだ。「奴は来たのか? バーディ・エドワーズはここにいるのか?」

「いる」マクマードはゆっくり答えた。「バーディ・エドワーズはここにいる。俺がバーディ・エドワーズだ!」

その短い言葉の後、十秒間、部屋が無人になったかのような深い静寂が続いた。ストーブの上でやかんが立てる音が、鋭く耳障りに響いた。全員を圧倒する男を見上げた七つの青白い顔は、凄まじい恐怖のため微動だにしなかった。次の瞬間、ガラスが激しく砕け、光るライフル銃身の列が各窓を突き破った。同時にカーテンが留め具から引きちぎられた。

それを見たボス・マクギンティは、傷ついた熊のように咆哮し、半開きの扉へ飛びついた。だが、向けられた回転式拳銃と、その照準の向こうで光る鉱山警察のマーヴィン大尉の厳しい青い目が、彼を迎えた。ボスは後ずさりし、椅子へ崩れ落ちた。

「そこにいるほうが安全だ、議員」彼らがマクマードと呼んでいた男は言った。「それからボールドウィン、拳銃から手を離さないなら、絞首刑執行人の手間を省くことになるぞ。手を出せ。さもなければ、俺を造った神にかけて――よし、それでいい。この家の周りには武装した男が四十人いる。勝ち目がどれほどあるか、自分で計算してみろ。マーヴィン、拳銃を取り上げろ!」

ライフルの脅威を前に、抵抗の余地はなかった。男たちは武装解除された。不機嫌で、しょげ返り、呆然としたまま、なおテーブルを囲んで座っていた。

「別れる前に、一言話しておきたい」罠にかけた男が言った。「今度会うのは、法廷の証人席に立つ俺を見るときだろう。それまで考える材料を与えておく。今では俺の正体がわかったはずだ。ついに手札を全部、テーブルへ出せる。俺はピンカートン探偵社のバーディ・エドワーズだ。おまえたちの一味を壊滅させるため選ばれた。苦しく危険な芝居だった。誰一人、本当に誰一人、俺にとって最も身近で愛しい者でさえ、俺がこの役を演じているとは知らなかった。知っていたのは、ここにいるマーヴィン大尉と雇い主だけだ。だが今夜ですべて終わった。神に感謝する。そして勝ったのは俺だ!」

七つの青ざめ、強張った顔が男を見上げていた。目には決して鎮まらぬ憎悪があった。エドワーズは、その容赦ない脅しを読み取った。

「まだ勝負は終わっていないと思っているかもしれない。よし、その危険は引き受けよう。だが少なくとも、おまえたちの何人かは、もう二度と手を出せない。おまえたち以外にも、今夜中に監獄へ入る者が六十人いる。言っておくが、この任務を与えられたとき、俺はおまえたちのような結社が本当に存在するとは信じなかった。新聞が作った話で、それを証明することになると思っていた。フリーメンが関わっていると言われたので、シカゴへ行き、会員になった。そこでますます、新聞の作り話だと確信した。結社に害はなく、それどころか多くの善を行っていたからだ。

「それでも任務は果たさなければならない。そこで炭鉱の谷へ来た。この土地へ着いて、自分が間違っていたこと、安っぽい小説の話ではなかったことを知った。だから残って調査した。俺はシカゴで一人も殺していない。これまで一ドルたりとも偽造したことはない。おまえたちに渡した金は、ほかの金と同じ本物だ。そして、あれほど有効に金を使ったこともない。おまえたちの好意を得る方法はわかっていた。だから法に追われているふりをした。すべて思ったとおりに進んだ。

「こうして俺は、この忌まわしい支部へ入り、おまえたちの協議にも加わった。俺も同じ悪党だったと言う者がいるかもしれない。おまえたちを捕らえられるなら、何とでも言わせておく。だが真実はどうだ? 俺が入会した夜、おまえたちはスタンガー老人を襲った。時間がなく、警告はできなかった。だが、おまえが殺そうとしたとき、その手を押さえたぞ、ボールドウィン。仲間であり続けるため、俺が何かを提案したことがあっても、それは阻止できるとわかっていたことだけだ。ダンとメンジーズは救えなかった。十分な情報がなかったからだ。だが二人を殺した者が絞首刑になるよう、必ず見届ける。チェスター・ウィルコックスには警告しておいた。だから俺が家を吹き飛ばしたとき、本人も家族も隠れていた。止められなかった犯罪も多い。だが振り返って考えてみろ。おまえたちが狙った男が別の道から帰ったこと、襲いに行った日に町へ出ていたこと、外へ出ると思ったのに家へこもっていたことが、どれほど多かったか。それが俺の仕事だ。」

「呪われた裏切り者め!」マクギンティが歯を食いしばって吐き捨てた。

「ああ、ジョン・マクギンティ、少しでも痛みが和らぐなら、そう呼べばいい。おまえとその仲間は、この土地の神と人類の敵だった。おまえたちに締め上げられていた哀れな男や女と、おまえたちの間に割って入るには、男が一人必要だった。方法は一つしかなく、俺はそれを実行した。おまえは俺を裏切り者と呼ぶ。だが何千もの人々は、自分たちを救うため地獄へ下りた解放者と呼ぶだろう。三か月続けた。ワシントンの国庫を自由に漁らせると言われても、こんな三か月は二度と御免だ。すべてを手に入れるまで、ここにいなければならなかった。全員の名と、あらゆる秘密が、今この手にある。俺の正体が露見しかけていると知らなければ、もう少し待っただろう。一通の手紙が町へ届き、おまえたちにすべてを知らせようとしていた。だから行動し、それも急いで行動する必要があった。

「もう話すことはない。ただ、自分の最期が来たとき、この谷で成し遂げた仕事を思えば、少しは楽に死ねるだろう。さあ、マーヴィン、これ以上引き止めない。連行して、片をつけてくれ。」

語るべきことは、もうわずかである。スキャンランは、ミス・エティ・シェフター宛てに封をした手紙を届けるよう頼まれていた。彼は意味ありげに片目をつぶり、事情を心得た笑みを浮かべて、その役目を引き受けた。未明、美しい女性と、衣服に深く身を包んだ男が、鉄道会社の用意した特別列車に乗り、危険な土地から一気に、停車することなく走り去った。エティも恋人も、二度と恐怖の谷へ足を踏み入れなかった。十日後、二人はシカゴで結婚し、老ジェイコブ・シェフターが婚姻の証人を務めた。

スコウラーズの裁判は、仲間たちが法の守り手を脅せないよう、その土地から遠く離れた場所で行われた。彼らは必死にあがいたが、無駄だった。地方全体から恐喝で搾り取った結社の金も、救出のため水のように使われたが、やはり無駄だった。彼らの生活、組織、犯罪の細部まで知り尽くした男の、冷静で明快、感情を交えない証言は、弁護人のあらゆる策略にも揺るがなかった。長い歳月の末、ついに彼らは打ち砕かれ、散り散りになった。谷を覆っていた雲は、永遠に晴れた。

マクギンティは絞首台で運命を迎えた。最期の時が来ると、身をすくめ、泣き言を並べた。主要な配下八人も同じ運命をたどった。五十数人には、それぞれ刑期の異なる懲役刑が科された。バーディ・エドワーズの仕事は完了した。

しかし本人が予想したとおり、勝負はまだ終わっていなかった。次の一手があり、その先にも、さらに次の一手があった。たとえばテッド・ボールドウィンは絞首台を免れた。ウィラビー兄弟も同じだった。一味でも特に凶暴な者が、ほかにも数人いた。十年間、彼らは社会から隔離された。そして再び自由になる日が来た。人を見る目のあるエドワーズは、その日を境に平穏な生活が終わると確信していた。彼らは神聖だと信じるあらゆるものにかけて、仲間の復讐にエドワーズの血を流すと誓っていた。そして実際、その誓いを果たすため、執念深く追ってきた。

シカゴでは二度命を狙われ、いずれも成功寸前だったため、三度目には必ず殺されると思われた。エドワーズは名を変えてシカゴからカリフォルニア州へ移った。そこでエティ・エドワーズが死に、彼の人生からしばらく光が消えた。再び殺されかけた後、今度はダグラスと名乗り、寂しい峡谷で働いた。バーカーというイングランド人の相棒とともに財産を築いたが、ついに猟犬たちがまた跡を追っているとの警告を受け、間一髪でイングランドへ逃れた。そして、そこからジョン・ダグラスという男が生まれた。彼は二度目の結婚で立派な伴侶を得て、サセックス州の郷士として五年間暮らした。その生活は、我々がすでに聞いた奇怪な出来事によって、終わりを迎えたのである。

後日譚

警察裁判所での審理が終わり、ジョン・ダグラスの事件は上級裁判所へ送致された。続く四季裁判では、正当防衛が認められ、無罪となった。

「どんな犠牲を払ってでも、ご主人をイングランド国外へ逃がしてください」とホームズはダグラス夫人に書き送った。「ここには、ご主人がこれまで逃れてきた者たちよりも危険な勢力が存在します。イングランドにいるかぎり、ご主人の身に安全はありません。」

二か月が過ぎ、事件もいつしか私たちの記憶から薄れかけていた。そんなある朝、郵便受けに謎めいた一通の紙片が投げ込まれた。「これはこれは、ホームズ君。これはこれは!」――奇妙な文面は、それだけだった。宛名も署名もない。私は風変わりな伝言に笑ったが、ホームズは珍しく深刻な表情を見せた。

「邪悪な企みだ、ワトソン!」そう言うと、曇った顔でいつまでも考え込んでいた。

昨夜遅く、下宿の女主人であるハドソン夫人が、ある紳士がホームズ氏に面会を求めており、しかも火急の用件だと告げに上がってきた。その使いに続いて、堀に囲まれたバールストン館で知り合ったセシル・バーカーが姿を現した。顔は憔悴し、ひどくやつれていた。

「悪い知らせです――恐ろしい知らせが届きました、ホームズさん。」

「やはり、そうでしたか」とホームズは言った。

「まさか、そちらにも電報が?」

「電報を受け取った人物から、手紙が来ました。」

「気の毒なダグラスです。本名はエドワーズだそうですが、私にとってはいつまでも、ベニート・キャニオンのジャック・ダグラスです。三週間前、夫妻がパルミラ号で南アフリカへ向かったことはお話ししましたね。」

「ええ。」

「船は昨夜、ケープタウンに到着しました。そして今朝、ダグラス夫人からこの電報が届いたのです。

「セントヘレナ島沖の暴風雨で、ジャックが船外へ転落し、行方不明。
事故がどうして起きたのかは、誰にもわかりません。

「アイヴィー・ダグラス。」

「ほう! そういう形で来ましたか」とホームズは考え深げに言った。「なるほど。疑いなく、見事に演出された芝居です。」

「事故ではないと?」

「断じて事故ではありません。」

「殺されたのですか?」

「もちろんです!」

「私もそう思います。あの忌まわしいスコウラーズめ、執念深い犯罪者どもの呪われた巣窟が――」

「いや、いや、バーカーさん」とホームズは遮った。「ここには達人の手が働いています。銃身を切り詰めた散弾銃や、無骨な六連発拳銃で片づくような事件ではありません。巨匠は、ひと刷毛の運びを見ただけでわかる。私には、モリアーティの手口がわかるのです。この犯罪はアメリカ合衆国ではなく、ロンドンから来たものです。」

「しかし、いったい何のために?」

「仕損じることを許されない男の仕業だからです。手がけることのすべてを成功させる――その事実だけが、彼の比類なき地位を支えている。一人の人間を抹殺するために、巨大な頭脳と大組織が総力を挙げたのです。蒸気槌で木の実を叩き潰すようなもの――馬鹿げるほど大仰な力の浪費ですが、それでも木の実は完全に砕かれた。」

「その男が、なぜこの事件に関わったのです?」

「この一件について最初に我々へ知らせてきたのが、その男の腹心の一人だった――今言えるのは、それだけです。あのアメリカ人たちは、抜け目なく手を打っていた。イングランドで仕事をするにあたり、外国の犯罪者なら誰でもそうするように、この偉大なる犯罪顧問を仲間に引き入れたのです。その瞬間から、標的となった男の運命は決まっていた。まず彼は、自分の組織を使って標的の居場所を突き止めるだけで満足したでしょう。次に、どう始末すべきかを指示する。そして最後に、差し向けた手先が失敗したという報告を読むと、自ら乗り出し、巨匠の一手で決着をつける。私はバールストン館で、過ぎ去った危険よりも、これから来る危険のほうが大きいとダグラス氏に警告しました。私の見立ては正しかったでしょう?」

バーカーは、どうにもならない怒りに駆られ、握り締めた拳で自分の頭を殴った。「まさか、このまま黙って耐えろと言うのですか? あの悪魔の王に、借りを返せる者は誰一人いないと?」

「いや、そうは言いません」とホームズは答えた。その両眼は、遠い未来を見通そうとしているかのようだった。「彼を倒せないとは言いません。しかし、時間が必要です――私に時間をください!」

私たちは数分間、黙って座っていた。その運命を見据える両眼はなおも、未来を覆うとばりを貫こうと凝らされていた。

公開日: 2026-07-13